3-4. 最初はタワマン
「まぁ、それは正解じゃろうな」
レヴィアもうなずく。
「へぇ、オディーヌすごーい!」
レオはうれしそうに笑った。
「そして次はこうよ!」
気を良くしたオディーヌは幹線道路に直角に、商業地を貫く線を引く。
「うんうん、いいね!」
レオはこぶしを握って喜んだ。
「でも……。この次は難しいわ……」
「そう言う時はこうじゃ」
レヴィアは棒を取ると、中心部は碁盤の目状に、周辺部は放射状に線を引いた。
「なるほど、さすがレヴィア様!」
オディーヌは笑顔で言った。レヴィアは上機嫌で、
「一辺が十キロだから、太い道は五百メートルおきにするか……」
そう言いながら一旦線を足で消して再度描きなおす。
「そして、細い道を補完的にこうじゃ……」
そう言って緻密に線を描き込んでいった。
「わぁ! すごい、すごーい!」
レオは大喜びである。
「はい、じゃあ、次は建物ね。最初はタワマンからー」
そう言ってシアンは、レゴブロックみたいな四角い棒をニ十本出してレオに渡した。
「え? タワマン?」
棒を受け取りながら首をかしげるレオ。
「五十階建ての高層住宅だよ。これ一本で五千人が住めるんだ」
シアンはニコニコしながら言う。
「え!? ちょっと待ってください。ここにタワマン立てるんですか!?」
焦るレヴィア。
「だって十万人住むんでしょ?」
「うちの星では最高が五階建てなんです。ちょっとオーバーテクノロジー過ぎません?」
レヴィアは冷や汗を浮かべながら言う。
「レヴィアは細かいなぁ……。ドラゴンなんだからガハハハ! って笑ってればいいんだよ」
「ガハハハ……ですか……」
そう言ってる間にも、レオはタワマンを住宅地に建て始めた。
「綺麗に並べたいね」
レオは目をキラキラさせながら、タワマンの棒を近づけたり離したりして配置に悩む。
「商業地を囲むようにしたらどう?」
オディーヌが声をかける。
「そうだねぇ……。商業地には何を建てるの?」
レオがシアンに聞く。
「何建てようかねぇ、ショッピングモールにオフィスビルにスタジアム……それから美術館?」
「学校は?」
オディーヌが聞く。
「学校は住宅地の公園側がいいんじゃないかな? 病院も」
そう言いながら、シアンはいろんな形のブロックを取り出して地面にバラバラと転がした。
「わぁ! すごい!」
レオは喜んでブロックを見ながらイメージを膨らませていく。
「この長細いのは何?」
オディーヌがシアンに聞く。
「これはオフィスビルだね。僕たちの事務所や会議場とかも中に作ろうかなって」
「ずいぶん……、高いビルですね」
「二百階建てだよ」
シアンはニコニコして言う。
「シアン様、それはさすがに……」
レヴィアは渋い顔をして言った。
「君はガハハハ! って言ってなさい」
シアンはレヴィアをにらむ。
「……。ガハハハ……」
レヴィアはうなだれながら言った。
この後、倉庫や工場などのブロックも並べていった。
◇
ブロックを並べ終わると、シアンは満足そうに街並みを眺め、
「それでは動かしてみるよ~」
と、言って両手を地面に向けた。
すると、プロジェクションマッピングのように地面に映像が投影される。それは自動車が走り、人が動いているシミュレーション画像だった。人はタワマンからたくさん湧き出して、それぞれショッピングモールやオフィスビルに行き、また、バスに乗って工場の方へ移動していく。
「わぁ! すごい!」
レオはキラキラした目で人の動きを追った。
「あれ? ここで人がたまっちゃったわ」
商業地への太い道で、渡ることができずに多くの人がたまってしまっている。
「横断歩道では数万人はさばけんのじゃな」
レヴィアが言う。
「じゃあ、立体交差だな」
そう言ってシアンは板を商業地域の道の上にかぶせる。
すると人の流れも車の流れもスムーズになった。
「この板は何ですか?」
オディーヌが聞く。
「ここは二階の高さがずーっと続く通路だよ。下には道がそのまま通ってるんだ」
「バッチリだね」
レオはうれしそうに言った。
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