第1話 今日が人類滅亡の日かもしれない?





ーーー1999年7の月、恐怖の大王が来くるだろうーーー


1973年、フランスの占星術師ノストラダムスの「予言集」の記載されて世界を震撼させた大予言。


恐怖の大王アンゴルモアが来て人類は滅亡すると予言された…


そして1999年、世界は空前のオカルト大ブームとなった。


TVや雑誌どこでも「ノストラダムスの大予言」の特集を見ない日はなかった。


常に予言肯定派と否定派の論争は勃発し、その日が来るまで誰も真実を知る物はいなかった…










ーーーついにーーーー



「ついに…来てしまったか…」



ーーーこの時がーーー


ジミ子はベットの上から天井をじっと睨みつけていた。



わたしジミ子は恋人なし、取り柄なし、気づいたらあーら不思議の30歳、アラサーOL。


とにかく子供の時から地味で…地味で、地味に、生きてきた。



幼い頃、地域の子供会でみんな大好きネズミーランドに行くも、まる1日迷子センターで過ごして誰にも気づかれなかった…



小学校では、いつもノートを写させてと頼まれ。いつも誰かに消しゴムを貸すが返って来たことはない…



中学校では毎回、学級委員で文開催の準備や後片付けを任されていた…



高校生の頃は友達もいなく修学旅行の帰り置いていかれて誰よりも一泊ながく京都に泊まっていた…



そのわたしでも幼い頃からずっと続けて来たことがあるのだ。

6歳の頃からずっと…お年玉…お小遣い…バイト代…お給料…そしてボォーナァスをコツコツコツコツコツコツコツコツと貯め続けてきた結果、今現在の貯金は1000万円を突破したのである!!






そして今日…あの世紀の大予言!!

7月1日が、来たのであるっ!!




「お金は死んだら使えないしなぁ〜…」




明日死ぬかもしれない…いや、今この瞬間いつ死んでもおかしくない…!?



死ぬ前に今までの溜め込んできた全地味パワーを「解放」するのだッ!!



「人類滅亡前に誰よりも贅沢して散ってみせよう!」



「うわっはっはっはっはっ!」



ーーー「ハァー…とりあえず着替えよう…」ーーー



死ぬ前に贅沢がしたい。

そうだ!超高級イタリアン料理のフルコースにしよう!




そう思ったのに…



「…なぜか…ハイゼリアに来てしまった…」


「お待たせしました。ミラノ風ドリアです」

店員がテーブルにオーダー品を置く。



あぁ…わたしは、地味の習慣が心と体の奥深くまで浸食されてしまっているのか……明日アンゴルモアの大王が来てしまうかもしれないのにッ……



お金を使う習慣がなかったからどうしてもブレーキが、かかってしまう。


うーん……。やっぱり無駄なお金の使い方は無意味だよなぁ〜。使うなら最後全力で良かったって思える物にしたい!!




それか宇宙船で逃げるとか?いや1000万じゃとてもじゃないけど無理だ。桁があと5個は足りない…



いっその事、ハワイとか行ってハネムーンでも満喫するかな?



言葉も通じない見知らぬ土地で1人寂しく最後を迎えるのはちょっと……




ーーそうだ…やっぱり死ぬ間際は家族の下がいいかもしれない。マミーもパパもオカルト好きだから震えているに違いない…マミーに電話しよう。



ジミ子はPHSを取り出し電話かけた。



「あっ、もしもしマミー?…ジミ子だよ」



「ーーー久しぶりね。どうしたの?」



「元気?とうとう大予言の月が来てしまったし、実家に帰還しようかなーって思って」



「そうね。だから私たちは今からアメリカに逃げるとこなのよ!!あなたは仕事があるでしょ?今、準備で忙しいのッ切るわよッ」



ーーープッ…電話が切られたーーー




…いやいやいやいやいやいやいや!!


ーいやいやいやいやいや!!マミーよ。

わたしは、あなたの1人娘よ?

なのにわたしを普通に置いていくの!?

血も涙もねぇーなっ!!




「てか、アメリカ行っても逃げられねぇーしッ!!」



テーブルに強く当たり、店員がビクッとしてジミ子を不気味そうに見ていた。



ーーーあーどうしよう。とりあえずわたしのしたい事は何か考えないとーーー




「ミラノ風ドリアとドリンクバーで420円になります!」




なんか周りは、サワムラナミエブームでサワムラーばかりだなぁ…オタクのわたしでも知ってるし、サワムラー憧れるもんねぇ…



「思えば…ちゃんとオシャレした事ないな…」



服といえば、ファッションセンターましむらかウニクロでしか買わないし、あとはアニメのTシャツくらいしか買ってない。



バックとかちゃんとしたの買った事ないなぁ〜…

もし恐怖の大王がきたら、わたしはこのファッションで逝くのか…ん…



「そうだ!銀座にいこうっ!」



華の銀座で飛びっきりのオシャレをしよう。

女の子らしく、可愛く素敵なろう!

さよなら地味なジミ子

わたしは、可愛くて素敵になるっ!

ついでにオシャレなカフェでティータイムもしよう。



よぉーし、なら宇都宮駅からレッゴー東京ッ!!ビバッ東京!!














ーーー銀座ぁ〜銀座ぁ〜、お出口は右側になりますーー





…やっちまった…





ーーークスクスッーーーーなにあのTシャツ?ーーー田舎から来たのかな?ーーーウケるーーープッーーー





や……やっべー…


めちゃくちゃ笑われてる気がする…





これが銀座……みんな都会のオシャレをしている中、わたしと来たら…一張羅の『新世紀ゲヴァンゲリオン』のTシャツで来てしまった…




「あぁ…来るなら今来てアンゴルモア……」




恥ずかしすぎる…前向けねぇ〜…

生きた心地しねぇ〜…





「痛ッ!」



通りすがりに誰かと肩がぶつかった。




「あっ!!ごっごめんなさい!!」



相手側の女性が頭を下げていた。




「あっ…いえ…こちらこそすみません…」




その時ジミ子は、相手のTシャツをじっと見ていた。




そのTシャツの真ん中には「なんくるないさ〜」文字が書かれていた。




これはわたしと同等…

いや、むしろわたしより…銀座への反逆度は高いかもしれない。



あーなんか、自信湧いて来たっ!!




強く生きろよっ!

ジミ子はその場を離れた



「…?」





ーー銀座デパートーー





お…おぉぉぉぉ…っ……




こっ…これが銀座!!




ジャネルッ!……ゴッチ……ルイ・ボストン!!

やだ、これ、なに可愛い〜




これあのアニメでヒロインが、もってるやつじゃん




ジャネル!!このバックにしようっ。

あっなんか鼻血でそう…やばっ





値段、値段はと…




378000円ッ!?




「高っ…」





いやいやいや

怖気づくなわたし

わたしは1000万もっているんだ。明日、世界が滅びるかも知れない…



全ゲヴァTシャツの人類を代表して、わたしが銀座にゲヴァTを舐めるなよっと見せつけてやらねばならん…





か…買わねば…




なんか震えてきた…



あっ…あれ?



鼻血?…め…目が…回って…



「…まっ…さま!…お客様っ…!?…大丈夫ですか!?」



「だ、誰か!!救急車を!!」




あー意識が…






ーーーーーーーー









「わたしは、銀座のプレッシャーに敗北したわけだ…」




病院の天井を睨みつけていた




「はぁー…なにやってんだろ…わたし…」





今日使ったお金


ファミレス 420円

電車代  2840円

入院費  12000えん






































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