第10話 Hello again ~昔からある場所~-10

 風に 誘われ

 季節に 招かれ

  導かれるままに 彷徨した

 雨を しのいで

 嵐を 避けて

  気持ちのままに 放浪した


 太陽は 自らの エネルギー

  仰ぎ見れば その元の何処かに

  必ず 生きている

 夜空は 癒しの 空間

  眺め見れば その元の何処かに

  必ず まゆみがいる


 天地が すべて

  信じうる すべて

  頼りうる すべて

 自らが 存在

  欲する 存在

  望む 存在


 あぁ

  世界の何処に まゆみは 存するのか


 空に訊けば 風が語る

  知らない 言葉で はっきりと

 星に問えば 光が応える

  理解できない 信号で 確かに

 天に訊こうか 地に問おうか

 日に尋ねるか 月に聞こうか

  やはり 人に頼るか……


 欲するのは まゆみ

 要するのは 金


 守銭奴と化した己の姿も 見えぬまま

 餓鬼と化した己の姿も 見えぬまま

 恥をばら撒き 無知を曝し

 偽善の言葉の元で 悪行を積み重ね

  いつしか 鬼に変わっている

 見えない角は 金の前で 静かに輝き

 見えない牙は 血の香で しっとり潤む

 死屍累々を踏み分けて

  辿り着くのは 地獄の三丁目

 手にした金は 血に汚れ

  大義名分も 虚構の影


 気づいたときは 途を失い

 彷徨う場所さえ わからない

 泣き叫ぶ 迷い子のように

 ただ 人恋しくて 甘えたくて

  拾われたかった……


 限界 なんて 考えたこともない

 永遠に 独りでも 生きていくつもり


 なのに

 どうして

  人恋しくて

  誰かに すがってしまう


 あぁ 我が心の寂しさを

  声に翻えて

 愛を以て 愛を語らん

 生を以て 生を語らん


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