~妖~ 人界見聞録

@jiminatouhi

第1話 人と妖の歴史

太古の昔から、人と妖怪が存在していた。 

 

しかし、互いに相容れぬ者と認識されていたため、長年に渡り争いが絶えなかった。

 

そのため、大半の妖怪や人間達は付かず離れずに暗黙の了解で、共存して争いには加わることない。


争いは何も生み出さないことを知っていたから。


だから、人間は妖怪を恐れ敬いつつも、滅多に妖怪の領地へ近づかないようにしていた。

 

妖怪も山や海などの領地を侵さない限りは、あまり人里へ降りてくることはなかった。

 

それでも、人と妖怪との問題は無くならない。

 

人と妖怪は同じ生物であり、食物連鎖の一部であるのだから。


人は数が増えて、食べ物や住居の不足すると野山を切り開き、海を埋め立て、それらを創り出す。

 

妖怪達は本能的にそれを知っているので、それを防ぐために人を脅かして追い払う。

 

それも長くは続かない。

 

最初は一部の妖怪と人間達の小競り合い程度のモノが、


長い月日をかけて徐々にエスカレートしていき、


次第に妖怪と人間全体を巻き込む大きな戦争へと発展して行く。

 

その戦争は熾烈を極め、双方とも多数の犠牲を産みながらも、混迷の色を濃くしていく。

 

それでも、どんな事も終りは常にやってくる。

 

個々の能力が人間より高い妖怪達だが、人間と比べて数は少ないために徐々に追い詰められていった。

 

千年後には、大半の妖怪達は人間の手によって封印もしくは退治されていた。

 

生き残った妖怪達は山や海底の奥地へと姿を消し始める。

 

この生存競争に勝ち抜いた人間達は妖怪の領地を次々と奪い、領地を拡大して行く。

 

人間達は勝利の美酒に酔いしれ、どんどん数を増やし、繁栄していく。

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