ラストワン〜刻印がもたらす神話〜

Pー

世界線の真意

第1話 世界の歯車が回り始める時

「そろそろ歪ゆがみが増殖する頃合だろ? 誰を向かわすんだ?」


 そう言った者は傍目に見ても、自信に満ち溢れた青年である。


「遊撃部隊と特攻部隊の両方に指令は出している。オレを疑うのか?」


 返答したのは話しかけた青年よりも少し若い。

 世間一般でいう少年以上青年未満といったところだろう。


「いや? 皇王こうおうの立場にあるお前のことを疑うなんてことはないさ。ただ、こればかりは確認しとかなきゃならないんでな」


「ふん。どうだか」


 青年はあっけらかんと言い訳しているが、まったく信用されていない。


「大丈夫だよ。ワタシが見てるし。キミが恐れてることは起きないよ、神王しんおう


 と、ここで声を上げたのは少しクセのある雰囲気を醸し出している立派な大人だ。


「そうかい。帝王ていおうが見てるなら心配はしてないさ。だが万一に備えなければならないのも事実だ。騎士団にも声をかけておけよ」


 帝王という者が神王の懸念を否定しても、神王は納得しない。


「分かっている。暗殺者にも令はだした」


「ならいい。俺たち守護者ラスト・ワンが世界にいる意味を忘れないかぎり、俺がとやかく言うことはないさ」


「キミは心配性なのがいけないね。歪ゆがみが作用するのは世界だけだよ。よ」


 帝王の発言には経験による自信が溢れていた。


「最悪に備えるもの王たる者の勤めだぞ」


 神王の発言を最後に彼らの会話は幕を閉じた。








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 ようやく序列五位にまで上り詰めたぞ」


「長かったなここまで来るのに」


「特に八位との戦いはそれがしなりに最も肝が冷えたぞ」


 集まっている三人の男は自分たちの祝杯を挙げていた。


「序列五位から代表者には王の名を冠さなければならないらしいな」


「俺につけさせてくれよ。………………お前は魔導王まどうおうとかどうよ」


「魔導王…………特に問題はない」


 まんざらでもない様子で魔導王は頷く。


「次は…………絶戒王ぜっかいおう………………!」


それがしは名など気にはせん。好きにつけろ」


 投げやり気味に絶戒王は返す。


「俺は殲滅王せんめつおうな!」


「決まったか」


 ここに新たな王が三人誕生した。


「我々が目指すは一位だ。だが、焦れば物事は円滑に進まん。故に敵情視察といこう」


 魔導王が残りの二人に計画を話す。


「異論はない」


「俺も大してねぇぜ」


 三人の王が世界の行く末を決めた。





 ___________________






「あと…………四………………人…………。完全なる刻印まで…………あと少し」


 謎の声が意味不明なカウントダウンを開始する。




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 世界が連なり世界線と成す。


 これは様々な世界線によって紡がれる物語である。


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