貴方が傍に居れば

@sj17

第1話 

会場から漏れる音と同時に、悲鳴のような歓声。

今の時代、人との関わりなんて興味のないような人が多い時代の中で、目の前の自分が求めたいものに対しては周りを気にせずに追い求めていく…。


「キャー!」 「キャー!」

「アンコール!」「アンコール!」


鳴りやまない歓声。俺はこの、今までに感じた事のない空気に興奮と感動を感じていた。


 ××××年1月1日午前1時。


「お疲れさまでした!」

「お疲れー!」

「いやー、初の年越しライブ、最後のアンコールまで盛り上がってくれたなー!」

「symFnyサイコー!」


俺は茫然と立ち尽くすだけで、メンバーとスタッフの輪の中に入る事が出来なかった。


「潤ちゃん、お疲れー!」

「お、お疲れ様です!」


俺に声をかけてきたのはsymFnyのリーダーでパフォーマーのTAKEさん。


「年末のこの業界は大変だけど、体調とか崩してない?」

「俺たちもこんな年越しは初めてで、でも売れてるという証拠みたいなものだから」


と、TAKEさんの後に続いてきたのはボーカルのTAIGAさん。鍛え上げられた上半身裸のままで、まだ興奮が冷めない状態で声をかけてきた。


「あっ、は、はい!大丈夫です!」


「えー、それでは、去年は春以降、怒涛の忙しさでしたが、今年は本当に勝負の年になると思う!気合を入れて今年も盛り上がるために、明日は1日ゆっくり休んで、3日からはハワイで新曲のPV撮影に行きます!では、今年もよろしくっ!」


TAKEさんの優しい口調と力強い言葉に、そこにいた全員が同じ方向に進んでいく決意をし、一瞬、なんとも言えない身震いする空気となった。

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