【未完】アオハル・オブ・サイコパス

夏目くちびる

プロローグ

パラノイア: 不安や恐怖の影響を強く受け、自らを特別な人間であると強く信じる妄想を持ってしまう精神病。ナルシズム、支配欲、サタニズム(悪魔主義)、色情などを満たす為、攻撃的かつ被害者的な思考に囚われてしまう。

 ただし、『変異人類』においてそれは被害となり得ない。何故なら、変異人類はパラノイアによる強烈な妄想によって、自らの『変異技能』に絶大な影響を及ぼす事が、近年の研究によって判明したからだ。


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 トドメを刺しに来くるか?その瞬間にドギツいのを顔面に叩き込んでやる。もう許さねぇ。こんなに頭にキタのは久しぶりだ。

 足は、切断されたんじゃねえな。肉も骨も、右回りに狂っている。多分、魔女を殺す拷問器具みたいに捩じって引きちぎったんだろう。首をやらなかったのはなんでだ?照準を合わせる必要があるのか?なら、狙いやすい脚を攻撃したのも頷ける。冷静だ。


 だったら、このまま失血を狙うなんてあり得ない。捻じったせいで血管が中途半端に閉じて、吹き出す量が既に甘くなってる。この状況をあいつは分かってるはずだ。


 オラ、来いよ。準備は万端だ。後悔するぞ。寝首を搔かれる夢を見ることになるぞ。そうやって生きていきたくねぇだろ?

 ……なぁ、お前は俺と同じ匂いがするんだよ。初めて出会ったはずなのに、まるで懐かしい友達みてぇにお前の考える事は手に取る様に分かるぜ。


 だって、俺たちは臆病で仕方ねぇもんな。その目は、そういう目だ。


 心を許せば、それを失った時に立ち上がれねぇ性分だもんな。俺もそうさ。俺は、まだ爺さんが死んだあの時に座り込んで止まったままなんだ。未来に何かを残すって事は、そこに向かって時間が動き始めるってことだ。お前には、その恐さがよく分かるだろ。


 だから、早くしやがれ。ここで終わらせようや。


「……なんだ」


 来ねぇのか、なら。


 次は、必ず潰す。

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