悪魔に願いを叶えてもらう三回目の願いは

梔子

第1話 朝

「君の三回目の願いは何だい」

俺はまぶたを開いたことにより視界が広がっていく、そこからは毎度のことながら霧という女性の顔が前にある。

「おはようございます。今日はお早いお目覚めですね」

そう言って立ち上がり窓の方に行きカーテンを開ける。そこからは眩い光が差し込んでくる。

「うっ…おはようさんてかすげえ眠いな」

壁に掛けてある時計を見たらまだ六時ちょっとだった、いつものアラームで起きる時間よりだいぶ早かったみたいだ。

「本当にらしくないですね」

「本当にな、て一体いついるんだよこの部屋に」

「さあどうでしょう知りたければずっと起きていますか?」

「嫌だね眠たいのを我慢してまで」

眠たい目をこすりがら長い黒髪とヒラヒラの服をなびかせながらシャーという音共に日の光が入る。

「ならいいではないですかそんな些細な事」

「まあそうだけど、でも言ってくれれば済む話だと普通に思うんだけどな」

まあ気になるけどやっぱめんどくさいな。

「どうしますか朝食の方はもう食されますか」

「どうしようかな。まだ時間もまだあるし朝早いしもうひと眠り」

頭に軽くチョップを受ける。

「ダメです。寝たら私が面倒なので起きてください」

「正直だな」

「当たり前です」

「遠慮がないって言ってるんだけどなーまあせっかく早く起きたからちゃんと食べますか」

「そうですか、かしこまりました」

制服姿で綺麗に腰を曲げ優雅なお辞儀をする。そして腕を掴まれ立たされる。

「これで少しは目を覚まされましたか」

「立ったぐらいじゃあまり変わらないけどね。でもなんだかそういわれると目が覚めた気もするよ」

「そうですか、ではいきましょう」

そう言って扉を出ていく、俺は扉が閉まるまでを見送りながらスマホを開いた。

「マスターおっはよう今日はいつもより早いですね」

スマホの画面からアニメのキャラのような二次元キャラが動いて元気いっぱいのあいさつを喋っている、いわゆるAIって奴だ。

「なんか目が覚めちゃったんだよ」

「そうなんですか、じゃあアラームの方は消しておきますね。あ、あとおねーちゃんの方にも送っとくよー」

「ああ、ありがと」

そう言って数秒たったらパソコンが勝手に起動され、また同じような二次元キャラがでてくる。

「おはようございます」

「おはよう」

こいつらは互いにAIだが違いがちゃんとある。スマホに居る方は赤紙サイドポニーで名前はロゼ、合成音声を使っている。そしてもう一方のパソコンにいる方は、銀髪ロングの名前はシルで機械音声である。合成音声の方は知人の声を借り作っている、パソコンの方が機械音声なのは単に子供の頃に作ったため気づかなかったからである。

変えてもよかったが機械音声の方がなんだか落ち着き愛着もあるので変えないでいる。

「ですがこんなに早くて大丈夫ですか。風邪とか引いてるんじゃないですか」

「そうですよおねーちゃんの言う通り風邪なんじゃないの」

「ひどいな人が少し早く起きただけで」

「ですがお体には気おつけてぐださい私たちの楽しみのためにも」

「そうそう私たちが退屈だからねー」

最終的に自分たち基準とは、まあ基盤を作ったのが俺だから仕方ないとは思うんだけどね。それにしてもこいつらの成長速度はやばいなと思う、やっぱバグを組み合わせたことによってかなりの所まで情報を手に入れることができるからな、もし他の人にこれが渡ったらおれもう絶対刑務所行きだな確実にいやこれはマジで。

「マスターそういえばご飯はいいのご飯は、ご飯は朝の栄養の源だよー」

「そうですせっかく早く起きたなら食べるべきです」

マジで人工知能恐し、こんな言葉昔入れてなかったような気がしたんだけどなーまさかいつの間にかこんな言葉まで吸収してるとはな。

「わかってるよ、せっかく起きたんだからしっかり食べてくるよ」

「はい、そうしてください」

「あ、ちゃんとおねーちゃんの所に繋げといてよー」

軽く返事を返しながらパソコンのケーブルをスマホと接続してやる。

「これでおねーちゃんとゲームできるね」

「はい、今日も負けません」

この二人は対戦ゲームをやったりオンラインで競い合ったりしている。普通にかなり強い。今はまってるオンラインゲームもかなりランキング上位にいる。俺はその二人の成長が普通にかなり怖くなってきているところだ。

階段に降りてリビングに向かうそこにはもう父さんが座っていて母さんと霧がリビングで朝食を食っている。

「母さん父さんおはようそれと霧もね」

「ふふふ今日は早いのね。もうすぐできるから待ってて」

母さんと言ったが実の母ではない、再婚相手だなでもこういったら少し父さんが可愛そうだな正確には俺を生んで死んでしまったんだから俺のせいである。そこからどこかに預けられて俺が十歳の時に再婚するからと一緒に暮らすようになった。

「まあ座って待ってろよ直人」

「うんそうだね」

父さんの対面に俺は座る。父さんは耳ではニュースを聞き目ではスマホを見ている当たりスケジュールと資料でも見ているのだろう。

なにせ父さんは親からもらった大手の会社の社長で、その会社をさらに大きくした天才でもある。

俺はその会社の跡継ぎになる予定なんだと、俺にそれを言われてもそれが俺の人生を楽しくしてくれるならなるつもりでもあるが、まあどっちにしろ小さな会社と一緒にやっていくつもりではあるがな。

「学校は楽しんでるのか」

「うん、まあ楽しまないと人生損だからね」

「まあ大人になったら俺みたいに爺の会社に縛られることになると思うから楽しんどけよ」

アンタそれでも親かよって思うよ、犠牲者をこれ以上だそうなんてな。自然とため息が出るよ。

「じっちゃんに縛られても楽しむつもりだけどな」

「ほらほら、もうできたからね二人とも」

母さんと霧が料理を次々と運んでいく中階段から降りる音がした。

「みんなおはよう…ってにぃに今日は起きるの早い」

「それを今日みんなに言われているよ」

「当然」

義理の妹である瑠莉は物静かな子で懐いてきてくれてすごくかわいがっているのだが、どうやらこの家庭じゃあ俺がこの時間に目覚めるのはかなり珍しいらしい。

「じゃあせっかくだし千沙も呼んでくるわ」

「いや別に起こさなくても来るだろ直人なんかよりしっかりしてるからな」

「うわっひでぇな。俺も起きようと思えば起きれるけどめんどくさいから起きないってだけなのに」

「日頃の行いのせい」

「まったく持ってその通りですよ直人様」

ダメ出しがくる中一階の部屋から家の一番下が顔を出した。

「もう、うるちゃいよ」

「おぉごめんようるさかったか」

「あらまあまあ、お兄ちゃんがちゃんと起きているから一緒に食べましょーねー」

父さんは結構親バカであるからな俺も一緒に住み始めた。子供の時なんてかなり我がままやってたからな、まあ今もなんだが、うちの可愛い妹は共にわがままじゃなくてよかったなと思うよその分思いっきりわがままできるからな俺が。

「にぃに悪い顔してるよ」

「瑠莉様、直人様が悪い顔しているのはいつもの事でございます」

「ひどいな霧、俺は楽しい事しか考えてないって言ってるのに」

「大体その面倒ごとが来るのが私だと思うのですが」

霧は深いため息をついた。そして周りを見てこのままじゃあ食事がどんどん遅れると考えみんなを瞬時に席に着くように促した。

「それではみなさんしっかり食べてぐださいね」

みんな一様に返事をし、食事を開始する。これを経て久々に朝早く起きるのも悪くないなと思った。

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