ほろ酔い気分の誠

「あら!誠君、来てたの?・・・あらら!お酒飲んじゃったの、顔が赤いよ」紀子の母親が誠に気づき、声をかけた。

「あっ!お・・おじゃましてます、杜氏の坂岡さんに酎ハイをすすめられちゃって・・」

「あらあら、坂岡さんったら、大丈夫?」

「ええ!なんとか大丈夫です。」

誠は、会釈して座り込んだ。そこに紀子も入ってきた。

「誠君、大丈夫?ごめんなさいね。ちょっと横になった方が良さそうね。」

誠は、紀子の言葉に、

「ちょっとだけ、横になって休みます」そう言って居間に入り、横になって休んだ。・・・約1時間後、誠は起き上がって、紀子と母親にお礼を言った

「あら!もう大丈夫そうね!顔の赤みも無いし、酔いも覚めたみたいね。この後、三宮方面に行ってみない?そこでお昼も食べようよ。」紀子は誠の顔を見てこう言った。昼頃、誠と紀子は、阪神電鉄で三宮に行き、復興しつつある街中を出歩いた。

「まだまだ、震災の爪痕が残っているから、どうしょう!」震災から3年経つが、三宮付近は、爪痕が見受けられる。誠と紀子は、神戸港に向かった。その途中、東遊園地に寄った。

「ここで、一昨年から、毎年1月17日には、追悼式が行われているわ。あと、震災の年の年末から(ルミナリエ)も開催されてるわ。」

紀子は誠に言い聞かせた。


「ルミナリエは、聞いた事あるけど、行った事無いよ」


「あら!そうなの?今年でも行ってみようよ、かなり綺麗よ。ただ、混雑はするけどね」


二人はまた、神戸港に向かって歩き初め、メリケンパークに着いた、そして、震災メモリアルパークを散策しながら紀子は


「震災の爪痕がよくわかるわ、昨年オープンした震災メモリアルパークなの。」


また誠に言い聞かせた。誠は

「かなりひどい状況がよくわかるよ、震災の恐ろしさを眼に浮かんできたよ」

誠も大阪市内で震災を体験したが、神戸での震災の恐ろしさに圧倒されたようだ。神戸港を散策しながら二人は、昼食をどこでとるか探し回り、

「軽い食事でいいんじゃない」

と誠は紀子に言った。ハンバーガーの店を見つけ、昼食をとる事にした。その後

「もう、戻ろうか、またいつかこれたら来ようよ、また、神戸を案内するわ」紀子は誠に言って、三宮駅に向かった。三宮駅から阪神電鉄で石屋川に戻り

「誠君、このまま帰る?今日初めてお酒飲んじゃってまだ、気分悪いんじゃない。帰って、ゆっくり休む?その方が良いかも。ごめんなさいね、無理やりお酒飲ましちゃって。一人で大丈夫?」紀子は誠に気を遣うかのように言った。

「あっ!うん。そうするよ。またいつでも来れるし、今日はこのまま帰るよ。一人で大丈夫だから、お母さんや坂岡さんによろしく言っといて。お世話になったので、お礼も。それじゃまた」そして、大阪に戻った誠は、黒門市場によって、夕食を買うことに。お魚屋の女将さんに声をかけた。

「先日は、お世話になりまして。」

「あら!お兄さん、久しぶりね、彼女と上手くやってる?」

「はい、今日は紀子さんの実家に行って酒蔵を初めて見ました。初めてお酒飲んじゃって」「あらら!大丈夫?」

「はい!酎ハイだったので、まだ大丈夫です」その後、夕食用に、お刺身等を買い、家路に着いた、そして、紀子に電話をかけた

「あっ!もしもし、今、無事に帰宅したよ、今日はありがとう」

「ああ!はい!大丈夫?気分悪くない?」

「うん!大丈夫だよ。今度は、僕の実家に招待するよ、明石海峡大橋が開通したら、洲本まで、すぐ着くみたいだし。

「うん!わかった。また都合がいい時に、誠君の実家にお邪魔するよ、洲本に行くの初めてだし、それじゃ、今夜はゆっくり休んでね」

「うん!わかった、ありがとう」

そう言って電話を切った。

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