第48話 一発も

 昨年の今頃、太平洋戦争ついて書きました。7・8・9話、どうにかして伝えなくては、という思いにかられてのことです。

 真摯な反応もいただき、気が済んで、今年はもう、と思っていたら、ロシアの暴挙。やはり書かずにいられなくなりました。

 この時期、つまり8月は、戦争について語られることが多いですしね。


 戦艦大和について、大和ミュージアムの館長・日高さんが語るのを聞きました。大和に関しては数年前に見た映画「アルキメデスの大戦」冒頭にて、一方的にやられて撃沈されるまでの様子がリアルに描かれ、正視できず、今もトラウマです。正直、話を聞くのも嫌でしたが。


 あれだけの巨艦、攻撃力も大きかったはずなのに、放った砲弾は、「一発も当たらなかった」とは衝撃でした。双璧と呼ばれた戦艦武蔵も同様だった由。

 原因は遠くから撃ったから。

 遠くからなら、命中すれば、こちらの損傷はありませんが、当たらなかった場合、悲惨です。大和は一発も当てられなかった。もっと敵を引き付けて近くからなら当たった、と日高氏。

 いつ、どのように出撃しどう戦うのか、無条件降伏まで数が月の時期です、小さな戦艦はことごとく失われ、護衛もなく単独で出撃となってしまった。しかも砲弾は当たらない、丸腰で、沈められに行ったようなものですね。


 40年ほど前、日高氏は海軍の生き残りの幹部の会議に関わり、その後、テープ起こしをし本にまとめたものの、何故あの戦争を始めてしまったのか等、肝心のことは分からずじまいだったとか。

 最後に日高氏は、戦争は絶対にやってはいけない、と。誰でも言いそうなことを口にし、しかし、次の言葉が重かった。

「あの戦争を、この国の最後の戦争にしなければならならない」

 胸に刻んでいきたいです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る