今度こそしあわせをきみに

駄ウサギの焼肉。

こんな幸せな夢知らない

終わりの、その先

これは、夢なのだろうか。


 ふよふよと頼りない四肢に力を籠めると、泣きそうな顔をした幼い女の子がきゅっと手を握ってくる。


 おそらく生まれたばかりなのだろう、どこぞの赤ん坊に何の間違いかこの意識が入り込んだのか、それとも赤ん坊の見ている光景を脳に映し出されているのか。少なくともこうしている自分自身はまず間違いなく死んだ……というより殺された記憶があるだけにまるで理解ができない。人生に幕に下ろした瞬間ガキの体に押し込められるなんて一体何の悪夢だ、思わず喚きたくなるが口から漏れるのは音にもならない泣き声のようなものだけ。


「(なんなんだよ、これ……)」


 表現し難いショックに見舞われていると身体に引きずられたのか一気に眠気がやってくる。もっといろいろ考えなければいけないことがあるのに、小さな身体は容赦なく意識を落とそうとする。


「(ちく、しょう…………)」


 暗闇に包まれていく視界の中。


「今度こそ、お姉ちゃんが守るから」


 何か後悔を押し殺したような、苦しげな……いっそ悲痛な決意に満ちた声。強い熱を宿した知らないどこかで見た眼差し。似合わねえ、朗らかに笑っている方がよほどいいと、それだけをずっと思い続けていた……。

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