怪奇談話「買い物に来た幼馴染」
こーたろ怪談
買い物に来た幼馴染
なおさんという女性から聞いた話。
彼女はアパレル店員として働いている。
コーディネートのセンスが良く、対応も丁寧
ハキハキと喋る素敵な店員だ。
彼女は以前大型ショッピングモール内にある店舗で働いていた。
週末となればお客さんの数も多く、目が回るような忙しさだ。
その日は朝から夕方までのシフトに入っていて、店頭で接客をしていた。
お昼頃になりお客さんが少なくなってきた頃、彼女は棚を整理したり品出しをしていた。
商品を箱から出して棚に陳列していると、
「すみません。」声をかけられた。「いらっしゃいませ!」「あ!まるまるちゃん!久しぶりー!元気にしてた??」声をかけてきたのはなおさんの幼馴染 Iさんである。
彼女は幼稚園の頃からの付き合いで仕事柄転勤が多く、今は地方にいるためなかなか会えない。
「今日はなおに服を選んでもらおうかと思ってさ」「あら!嬉しい〜買うなら社割り使うよ」「いいよ(笑)しっかりお金払うからコーディネートお願いね」
そんなやり取りの後懐かしい話が弾みながら選び終わって会計を済ます。「今日はありがとうね!またなおに服選んでもらいに来るからよろしく!じゃあ!」そうして彼女は店を去っていった。
(今日はいいことあったな〜。残りの時間も頑張ろう!)
その日の夜。帰宅して入浴後ビールを飲んでいると
母親が悲痛な面持ちでなおさんに言った。
「今日幼馴染の〇〇ちゃん交通事故で亡くなったって…」
「えっ!?嘘…」
「お昼頃に交通事故にあったってご両親から連絡があったのよ。」
なおさんはショックで言葉が出なかった。
次の休みにお線香をあげに行き、ご両親にもあってお悔やみを伝えた。
それから一週間が経ち、なおさんはまだまだ落ち込みながら仕事をしていると同僚達の様子がおかしいことに気づいた。
みんなどこかよそよそしく、彼女を避けているような雰囲気なのだ。
勿論彼女に何か落ち度があるわけではない。
仕事は真面目にこなしているし、ミスも殆ど無い。
変なのと思いつつ店の締め作業をしていると、鏡の前を通りかかった。
そして違和感の原因に気がついたのだった。
鏡にうつる彼女の隣に全身を血で真っ赤に染め顔の半分が潰れている女性がおり、残った半分の口を何かをつぶやくように動かしている。声は聞こえないがその口は「おいで」と言っているように見えた。
その後なおさんはお払いに行き、改めてお墓参りをした。
そして今は新しいショップで店員として働いている。
怪奇談話「買い物に来た幼馴染」 こーたろ怪談 @kotaro_kaidan
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