第5話 冒険者登録へ お約束? ~ヒロイン候補は?
※本作品は小説家になろうにて昨年2020年7月1日より連載を開始し
なろうでは7/5現在190話まで投稿が完了しております。
予めご了承ください。
なお、なろう版の第1話プロローグはかなり異なります。(無駄に長いです)
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異世界へ転移し2日目の朝を迎えた。
目覚ましは無いがわずかに開けていた板窓の隙間から朝日が差し込み顔を刺激したのである。
昨夜の騒ぎと後始末、それに異世界転移初日の心労から起き掛けは少しぼやっとしていたが板窓を押し上げ朝日を拝むと新鮮な空気と共に体がリフレッシュされたように目が覚め頭がすっきりとしてきた。
眼下を見渡すと都市は既に活発に動き出し人々の喧騒が聞こえ行きかう大勢の人々が見える。
「あーっ、うーぅうん、天気の良い朝はどこの世界でも気持ちのいいもんだな!」伸びをしながら気持ち良い朝を満喫する。
元々知矢は日本でも若い頃から朝は目覚めも良く早い方であった。
20代の頃も60代になってもそれは変わらず朝からアクセル全開で元気だったのだが妻などは「朝からハイテンション止めてよ・・・こっちはまだ半眠なんだから・・・」
などと嫌がられるほど朝から元気である。
早速着替えた知矢は昨夜壊し修復した裏庭で被害の免れた手桶を使い冷たい水で顔を洗い朝食を食べに食堂へ向かった。
「おはようございます!!昨夜はお騒がせして申し訳ありませんでした。」
と元気よく食堂にいた泊り客や主、ミンダに声をかけた
「おう宿をぶっ壊すなよ」とか
「おまえ魔法使うなかれ」とじと目の老魔法使いから言われたりしたがほとんどの人には苦笑いをされながらも許してもらえたみたいだ。
ミンダも「ほれ朝飯だよ、今日から色々廻るんだろしっかり食べて元気よくね」
とパンと野菜スープの乗ったプレートを手渡してくれ励ましてくれた。
「ミンダさんありがとうございます、昨日は本当にごめんなさい。今日からは都市の外で魔法の練習もしながら色々まわってってみますね」
ああ気を付けてねと片手を上げて忙しく去っていった。
早々と食事を済ませた知矢は早速先ずは冒険者登録をするためにギルドへと向かった。
冒険者ギルドの場所は昨日都市へ入場してきた門の直ぐ傍にあったが昨日は表の様子を観ただけで通り過ぎたのだが剣と矢をモチーフに竜をあしらった看板を出してある如何にもな建物だった。
「さて先ずは登録登録!、こんにちは!新規登録に来たのですが!」
ギルドの重厚なドアを開け中に入ると左手のカウンターへ元気よくあいさつしながら近づいた。
すると「はい!新規の方はこちらへどうぞ」とカウンターのさらに左奥に設けられていた個別の低いカウンターに座る女性から声をかけられた。
髪はブロンドで長く、背はスラット高く細身だが出るところが出ている様で知矢のまさに趣味な女性であった。
「はい、どうぞこちらに座ってくださいね。冒険者新規登録はこちらで受け付けます。
私はギルドサービスマネージャーのニーナ・スコワールドと申します、一般的には皆主任と呼びますからそう呼んでもらっても結構ですよ」
と笑顔で椅子をすすめられ”ラッキー!!”と心の中でホイホイ浮かれながら座るのであった。
「初めまして、俺、いや私は知矢・塚田と言いますが言いにくいのでトーヤで通してます、ニーナ主任!よろしくお願いします。」
一応好みの人だからいい子にしておかないとと口調に気を付けながら自己紹介をする。
「うふっ、かしこまらなくて結構ですよトーヤさん、では新規登録ですのでこちらの書類にかけるところだけで結構ですので記入をお願いします。基本的には登録は自由に出来ますが指名手配や重犯罪の過去が無い事が条件ですがトーヤさんは・・問題なさそうですね」
知矢の顔をにこっと見ながら書類を渡すニーナであったが実はニーナは冒険者ギルドの若き主任であるにはその持つ特殊能力も評価されてのことだ。
”鑑定LV3”
それが彼女の持つ能力である。これがもっとLVの高い能力であったのなら知矢の異常とも思われる数々の高いLVの能力や神の加護も鑑定出来たのであろうがLV3だと名前、年齢、過去に犯した犯罪・重罪、LV3以下の能力の保持の有無などだけであった為事なきを得たがこれがLV20等になるとほとんどの能力を鑑定であらわにしてしまい彼女がみたら悲鳴を上げて卒倒するか自分の能力がおかしくなったかとどのみち騒ぎになっていただろう。
知矢は申込用紙にな”名前(本名)”通称”年齢”得意な武器・魔法”職種”等の項を記入していった。
”職種に関しては未だ決めかねていたので取り敢えず使った事のある剣と弓”を書いたうえで”剣士”と記入した。
魔法の方は”炎””水””土”とだけ記入し 身体レベルは先ほど自分で確認したら2だったのでそのまま記入した。
「はいこちらでどうでしょうか」と差し出した
「拝見しますね・・・ハイ、記入は結構なのですが身体LVが2とありますが本当ですか?」
ニーナは鑑定で確認しているので本当だと知っていたが一般的に16歳だとほとんどがLV10以上、高い者だとLV20を超えているのが一般的でありLV2だと一般人の非力な者程度の力とみなされる。
「はい本当です、ダメですか?」知矢は少し不安そうに答えるが
「ダメと言う訳ではありませんが、冒険者はご存知の通り危険な職業です。魔物や危険な環境下での仕事、体力的にも辛い職業なのでLV10程度以上の方が初心者でもほとんどだったものですから。」
とニーナは憐れむような心配するようなまなざしで困った顔をしている。
すると横のカウンターから
「主任、初心者試験を受けさせてハッキリ力を分からせてやればいいんですよ!」
見ると茶髪でショートカットの目つきが何かばらばら?の嫌味そうな女が割って入ってきた。
「身の程知らずで死んで迷惑かけられても困りますからね、丁度Dランクの暇そうなのがいるからあいつらに試験させますよ」
とニヤニヤしながら顔なじみであろう冒険者に声をかけた。
「ギャポーズ、あんた暇でしょ!この初心者入会希望の相手をしてやってよ、LV2だから気を付けなよw」
と勝手に話をすすめる女にニーナは「ソメッツさん勝手に決めないでください、試験はギルド長の了解を受けてからでないと」
と注意するが聴きゃあしない
「大丈夫っすよ主任いまギルド長は出かけてますから」
おいギャポーズ、と先程の冒険者にさらに声をかけるがこの女、言いようが俺をどうこうよりニーナさんに何か含むところがあるような言い方だ。
ひょっとしたら綺麗で聡明なニーナさんに対する容姿も性格も良くない女の嫉妬が絡んでいるのか?
そんなこととは無関係に呼ばれた冒険者は「ソメッツさんお呼びですか」とまるで媚でも売るようだ。こいつ大したことないなとその様子で確信する知矢が一応と鑑定すると
”ギャボーズ (30)LV19、両手大刀LV5、冒険者レベルD、特殊能力無し”
と出た。
知矢はLVには未だ感覚的な強さを掴めていないが30歳でLV19、Dランクは低すぎると感じていた。
「ダメですよギャボーズさんも!」と止めるニーナさん優しいな!
だが「ちぇ!ギャボーズ、なら訓練場で手合わせって事にしな互いに納得してりゃ何の問題もないぜ」
とまたあの女が余計な事を言うが俺もこれはお約束のあれ!だなと流石異世界だなどと感心してしまった。
するとギャボーズと言われた冒険者もその気になって俺に「おい小僧そんなわけだから俺が訓練場で手合わせしてやるぜ、魔物に殺される前に実力を教えてもらえるんだからソメッツさんと俺に感謝しな、それとも怖くなって逃げかえってもいいんだぜw」
女と冒険者はそんな事を言いながらせせら笑いをするがニーナさんはおかんむりだ!。
「ソメッツさん!主任命令です!止めさせなさい!!」
そんな怒ったニーナさんお言葉なんか気にするそぶりも見せず「いや~本人同士のの手合わせは自由ですからね私は止められませんよW」
酷い女だ。
そんなニーナさんへ俺は
「主任さん、大丈夫ですよちょっとした訓練ですよ」と言いながら小声で「ニーナさん、鑑定持ってますよね、でも鑑定のLVで見えない力やLVが在るの知ってますか?」とウインクしてみせる。
鑑定持ちであることを見透かされハッとしたニーナは知矢と名乗る年下の若者が自分より上の鑑定持ちでありもっと高い力を持っているのだと即座に理解した。
「なら私もその手合わせに立ち会います、ソメッツさんも立ち会いなさい!良いですね!!」
と言い様子をうかがっていた他の職員へ指示を出し後を任せると4人で地下にあると言う訓練場へ移動した。
※1)どこかの国の賄賂満載疑惑な上にで突貫工事で死者を出しながら作られた競技場の様な巨大で広々としたとても地下と思えない彩光もかなり取り入れられてるその施設は中央に石畳の広場を有し周囲は闘技場の様な観客席を配置する。
ドカドカとした足音で中央部へあがったギャボーズは「おい小僧、獲物は何だ!その腰のか細い棒きれかw」と知矢をあざ笑いながら自らの獲物、両手剣、かなり大ぶりで重そうな剣をどっこいしょと肩に担ぎあげた。
どうみてもその大剣持て余してね?と思いながら石畳へ足音もさせず歩を進める知矢だったがその挙動に気が付いた者が数人いた。
周囲の観客席には先ほどのやり取りを聞いて興味半分、遊び半分で覗きに来た他の冒険者やニーナとソメッツそ争いの代理戦争なのだとその結果を見に来ていた一部の職員もいた。
「おら、さっさと始めろよ」と煽るソメッツの声をかき消すようにニーナは
「良いですか!
あくまでも手合わせですから無為に相手をひどく痛みつけたり卑怯な手を使う事は厳禁です。
相手が武器を失ったり、戦意を無くす、意識を失うなどした場合即手を止める事、もしくは私の判断で止めますから必ず指示に従う事。出来なければギルド評議会に上げて資格はく奪も辞しません」
と強い意志を示すように宣しさらに
「ソメッツさん、あなたも同様です良いですね」と何故か受付である女にも注意を促す。
「ちぃっ、わかってるよ主任様w」とあざける態度だ。
なんでこんな品の無い女がニーナさんの部下で、同僚なのか理解に苦しんでいると
「おい坊主、どっち見てんだ始めるぞ、剣を抜け!」と肩の大剣に力を籠める。
冒険者の戦法はおそらく大剣を重さで振り下ろすだけの単純な攻撃だろう。当たれば確かにその重さで大けが、下手をすれば体を両断されそうである。
しかし知矢はその大剣を肩に担ぎあげる仕草を見ただけでおおよその力を見抜いていた。
さてどう対応してやろうかなとゆっくり歩を進めるが未だ己の剣は腰にくくった鞘の中だ。
「おいどうした小僧、早く構えろや」じれた様子の冒険者の言葉に
「悪いな、俺の剣、その流儀は”鞘の内”で勝負が決まるって言われててな、構わないから掛かって来て良いぜ」
初心者に見えしかも年下のか細い小僧に”かかってこい”等と言われギャボーズはすぐに頭に血を登らせ「何訳の分かんねえ事言ってんだ!ぶった切ってやるから後悔すんなよ!!」
と言い放ちドスドス駆け寄ってくる。
が、ドスドス音を立てて重そうに駆ける様子と言い先ほどの大剣の振り回される様子と言いとても手練れには見えなかったが周囲の観客席からの目にはDランクの猛者と初心者のか細い若者としか映っていない者が殆どの為「ありゃあ殺されるぞ」とか「ああぁぁぁーー」と目を塞ぐ職員の女性もいたが中には、
「ほほう!」と薄笑いを浮かべて感心しながら知矢の挙動に注視する目もあった。
「小僧くたっばっちまいな!!」と冒険者はドカドカ駆けてきて重そうな大剣を力と言うより勢いと重みだけで振り下ろす。
対する知矢は未だその細身に見える剣を抜く様子は無く左手で軽く鞘を握り右手は柄、それも柄巻きの鍔元を親指、人差し指の二本の指をわずかに沿えるだけであった。
誰もがその振り下ろされる重い大剣に押しつぶされると思った瞬間、知矢が僅かに、ほんの微かにその歩を斜め右前方に一歩進めたのを見えたものはその場に一人しかいなかった。
ガヂャシャアアーンと大剣が石畳を激しくたたいたと思ったが冒険者の男は何故か前に倒れ込み手を中心にゴロゴロ転がって倒れた。
との直後”カランカラン”と音を立てて先ほど知矢を打ち据えようとした箇所に大剣の刃のみが落ちて転がってきた。
知矢と言えば先ほどの構え、右手を柄巻きに携えてままの姿で微動だにしていない。
いや実際には一歩だけ右前方に進んだのは先のとおりだが見ている者には微動だにしていないようにしか見えなかった。
間を置き冒険者の男が「いてててて」と何が起こったか周囲を確かめる様に起き上がりながら見て大剣が刃のみで転がり自分の手には柄しか握られていない事に気が付いた。
「何だ!!たたき折っちまったのか!!」
「何やってんだギャボーズ!自分で折りやがって、なら未だ決着ついてねえぞ、体術で仕留めちまいな!」と品の無い声で叫ぶソメッツだったが、
「ハイ!そこまでです!」と手合わせを止める声はニーナであった。
「最初に宣言しました通り武器を失ったのでギャボーズさんの負けです」
勝負ありの判定を宣したニーナであったがすぐに二人から異論が飛び出した。
「そりゃあねえよ、俺のてが滑って石畳をたたいて折っちまったんだ、小僧にやられたわけじゃねえ!!」
「そうさ、まだ勝負はついてないよっ!ギャボーズさっさと勝負付けちまいな」
と勝手なことを言っている二人に観客席から
「待った!!その勝負、若いのの勝ちだ!」
とニーナの審判に同意し再度宣した声に武台や観客席の目が集まった。
「「「ギルド長!」」」ニーナや他、皆の声が重なる。
いつ頃から観客席に交じっていたのか皆が驚きしーんとする中、知矢だけは最初から観客席に存在する強い者の気配は感じていた。
「ギルド長だったのか、道理でビンビン強い気配がするはずだ。
ありゃあ強そうだな」と人心地つきながら※2)残心を解きギルド長の方へ視線を移す。
「なんだよギルド長!武器を失ったって俺が折っちまっただけだ勝負はついちゃいねえぜ」と言いつくろうギャボーズと「そうだそうだ」と擁護するソメッツにギルド長はツカツカ静かに観客席を降り武台に近付いて
「ギャボーズ、お前まだわかって無い様だな、その折れたって言う剣の断面見てみろ」
と言いながら武台に登りもう片方の”刃”を拾い上げ断面を確認した後、近づいてきたニーナにも断面を差し見せるのであった。
「これは!折れたり、割れたのではありませんわ、・・斬った・・・斬りおとされたのです!」
「!!!!」
観客席を始めその場にいた者たちはニーナの言に衝撃と混乱で言葉が出ない。
「そんな訳あるか!この大剣が切れるなんてミスリルの剣でもあるまいし」とわめく冒険者と
「第一あいつは剣をさやから抜きもしなくてぶるって微動だにできなかったんだぞ」とはソメッツ
「ばかやろうだなお前ら、ありゃあ動けなかったんじゃねえ動かなかったんだ、
正確には必要最小限一歩だけ右に歩を進めすれ違う瞬間刀を抜き、大剣の根元を斬りつかさず鞘に締まったんだ、だからお前らの目には微動だにせず刀も抜いたように見えなかった、そうだろ若いの!」
と話を知矢に振るギルド長に”ふふ~ん”と少し勝ち誇った様な顔を向けると
「まあ、おおよそそんな感じですが残念ながらもう一手向けてますよ」
ギャボーズさん左の眉はどうしました?という知矢
はっとした冒険者は己の顔をすりすり確認すると「・・・おっ・俺の眉毛がねえ!!!!」
そんな馬鹿なとソメッツも近寄り確認すると確かにきれいに眉毛が左だけ剃られて失っていた。
ええええぅえっ??と声にならない声をあげた二人は「うわぁぁぁぁぁぁあああ」と叫びながら転がるようにその場を逃げ出すのであった。
その場で見守っていたもの達は声にもならない様子でいると
「おっし!おまえら茶番は終わりだ、さっさと仕事に戻りやがれ!」
と号令をかけると金縛りにあっていたかの様だったもの達が我に返りいそいそと訓練場を後にするのだった。
残されたニーナと知矢にギルド長は
「ニーナすまなかったな、またソメッツの嫌がらせまがいのやつだな、あの野郎そろそろ許せん、近いうちにケジメを付けるから待っててくれ。
しかし初心者をかばいさらに恐れず宣を下すその姿勢は大したものだ、主任にした甲斐があるってもんだ、これからも頼むぞ、それから二人ともついて来い、この後は俺の部屋で話そう」
言うだけ言ってさっさと歩きだすギルド長に「ありがとうございます」と頭を下げるニーナ、知矢はその横顔を「やっぱり可愛いな」などと中身はジジイのくせに見とれていた。
「トーヤさんどうしました?」
頭を上げたニーナが知矢の視線に気づいた、慌てて知矢は「いえいえニーナさん助かりましたおかげで無事終わったようですね」
と分けがわからない返事に?と思いながらも「はいご無事で何よりです、あっでもまだ手続きが終わってませんしギルド長も呼んでますからすぐ行きましょう、ご案内しますね」と爽やかで優しい笑顔を振りまくのであった。
その笑顔に知矢は手合わせの事などすっかり無かったかのように案内に立つニーナの後ろに従って歩き出すのであった。
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