第116話 お前は猛禽類、俺は脳筋類。イェァ

「大丈夫か?」


 ゼストがヒベアの意識を引き付けながら、リアにそう問いかける。

 俺たちの手前に着地したリアを見れば、目立った外傷などは見当たらなかった。


「飛行型の魔物が私を狙ってきたみたい。避ける瞬間にナイフで軽く切りつけたから、多分こちらのことを警戒してると思う」

「ただでさえ強い魔物と戦ってるのに面倒ね」


 俺たちとヒベアが戦っているところに漁夫をしに来たわけか。

 俺たちのほうが有利だとふんで、リアに攻撃をしたのだろう。


 【野生の魔物の戦いにおいて、勝つことや餌を手にいれることは重要ですからね。漁夫の利を狙ってくる頭のいい魔物も当然いるでしょう。】


 野生の生存競争においては勝つことが正義だ。相手にもよるだろうけど、基本的に騎士道みたいなものは存在しない。

 それを卑怯だと非難する気はないが、できればやめていただきたいですね。

 警戒しないといけない相手が増えたら、それだけ戦うのが大変になるからな。


 さて。横やりをいれてきた魔獣は……|鷹(タカ)っぽいな。

 上空にとどまってこちらの様子をうかがっているのは、リアにナイフで切りつけられたからだろう。

 迂闊に手を出すと反撃されると理解したみたいだな。


 【ちなみに日本では、大きいものを|鷲(ワシ)、それより小さいのを鷹と呼びます。|鳶(トビ)なんかもそうですが、大きさで呼び方を変えているだけで、ほとんど同じようなものなんだとか。ちなみに「ピーヒョロロ」と鳴くのは鳶だそうです。目の前のアレは鷹ですが。】


 へー、猛禽類って大きさで名前が違ってたんだ。初めて知ったよ。

 雑学知識ありがとう、レイラさん。


「朱雀! 横やりをいれてきた魔物は鳥型だ! ヒベアは俺たちで何とかするから、お前はあの鳥の相手をしてくれ!」

「空を飛ぶ魔物は私たち不利だから、あの魔物の相手お願いできるかしら?」

「こっちは三人でも大丈夫だよ」

「ピュイ!」


 おう、任せてくれ。

 あいつは今晩の飯にしてやるよ!

 ……そもそも鷹って食えるのか?


 【せっかくカッコよく言ったのに最後ので台無しですね。地球の鷹は知りませんが、あの魔物なら食べられますよ。焼いたら美味しいんです。】


 サンキュー、レイラさん。


 【では、天空デスマッチショー開幕です。あの魔物のステータスを出すので、あとは頑張ってくださいね。】


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種族:雷撃ホーク Lv58

名前:なし

状態異常:なし


体力 :682/724

魔力 :665/713

攻撃力:721

防御力:412

魔法力:689

素早さ:712

ランク:C+


固有スキル

【飛翔Lv8】【方向把握】【超帯電】


スキル

【クチバシ攻撃Lv7】【電撃クチバシLv6】【爪撃Lv7】【爪雷撃Lv7】【サンダーボールLv7】【サンダーアローLv7】【放電Lv4】【気配察知Lv8】


耐性スキル

【雷属性耐性Lv8】【麻痺耐性Lv8】【毒耐性Lv3】


称号

【漁夫プロ】【雷鳥】【死体漁り】


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 すごく厨二チックな種族名だな。

 それはそうとして、ランクはC+で能力値は俺より少し低いくらいだ。

 レベル差が結構あるのに能力値が俺とあまり変わらないぶん、防御力の数値だけは極端に少なくなっている。

 それから、雷撃ホークも俺と同じく雷属性の魔法を得意とする種族なので、【超帯電】などの見慣れたスキルがいくつかある。

 気をつけないといけないのはクチバシや爪、それから【サンダーアロー】だ。

 俺は【雷属性耐性】を持っているのでほかの雷魔法なら効かないが、【サンダーアロー】は電気はともかく矢の部分は普通に刺さるから注意が必要だ。

 それから、爪の部分は特に注意しないといけないだろう。

 切り裂かれるのも危ないが、それ以上に掴まれた時が危険なはずだ。

 猛禽類って握力がすごいからな。鳥使い(猛禽類)の人が腕を厳重に守っているのは、鷹などを腕にとまらせたときに肉を持っていかれないようにするためだったはずからな。


 【扇状の尾、鷹独特の|鷹斑(たかふ)と呼ばれる模様、気流に乗る飛び方。この辺は日本の鷹の特徴と一致しますが、大きさが一メートルを超えたりなどあべこべな部分も多いですね。】


 それにしても、あいつのフォルムカッコいいな。

 今はかわいい系の路線で進化してるけど、次くらいからは朱雀やフレイムヴァーミリオンのときみたいにカッコいい系の路線に戻りたいね。朱雀はどちらかと言えば美しい路線のほうが勝ってたけど。

 とりあえずこのアホ毛とは早くおさらばしたい。いまだに違和感があるからな。

 俺のアホ毛、川で水をかけて寝かせても三十秒もしないうちに立ち上がって来るんだよな。

 絶対に屈しないという鋼の意思を感じる。


「ピーヒョロロロ!」


 こちらのほう、特に俺を警戒していた雷撃ホークが動き出した。

 翼の傷はかなり浅いようで、体に電撃をまといながら俺のほうへ一気に突っ込んできた。

 三人組よりも空を飛んでいる俺のほうを危険と判断したみたいだ。


 雷撃ホークの突っ込んでくる速度はなかなかのものだが、その程度の単調な攻撃であれば簡単に対処できる!


「ピュイ!」


 下降することで【雷撃クチバシ】を躱しつつも、体をひねって【爪炎撃】を雷撃ホークの胴体に当てた。

 大ダメージにはなっていないだろうが、幸先のいい出だしだ。

 早くゼストたちのサポートに戻るためにも、さっさとケリをつけないとな。


 ……全然関係ない話になるが、今回はあいつにあだ名をつけたりはしないぞ。

 種族名がすでに百点満点だからな。

 俺の考えた「ヴァリヴァリバード」はダサすぎるし、雷撃ホークよりも長ったらしいからな。


 【よくそんな変なあだ名を思いつきますね。バカと天才は紙一重っていいますし、実質あなた天才なのでは?】


 もしかしたらそうなのかもしれない……というのは置いといて、今回も白熱した戦いになりそうだ。

 高速天空バトルとかワクワクするな。

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