第86話 友達は大事にしよう

「アップルンを採取していくわよ。全部で十五個ほどでいいわ」

「オッケー。じゃあ、私はこの木で採取しとくね」

「それなら、私はこっちの木で採取するわ。すーちゃんはそっちのほうをお願い」

「ピュイ」


 今現在、俺たちはアップルンの採取をしている。

 魔獣に遭遇したりといったことはなく、安全にアップルンの群生地までたどり着くことができた。

 道中ずっと暴露されていたゼストに関しては、ご愁傷さまとしか言いようがない。

 本人が聞いたら絶対に恥ずかしいであろうエピソードが何個か出てきていたが、あれは聞かなかったことにしてあげよう。

 そのほうが絶対にゼストのためになるだろ。


 アップルンの枝と実の付け根を爪で切ることで採取する。

 ふたつ採取したところでふたりのほうを見ると、風魔法を使って上手い具合にアップルンの実を切り落としていた。


「アップルン四つ採ったよ、はい。それから、このアップルンおいしいよ」

「もう食べてるのは置いといて、アップルンありがと。これは【次元収納】にしまっておくわね」


 リアの食いしん坊がさっそく発動してるな。

 まあそれは置いといて、俺もアップルンを渡そう。

 俺の体長や体格だと、アップルンは一度にふたつまでしか持てないからな。


「ピュイ」

「ありがとすーちゃん」


 アップルンを抱えて持って行き、アリスに手渡す。

 それが終わったら、もう一度同じようにアップルンを採取してアリスに渡す。


「追加で4個採ってきたよ、はい」

「ありがとね。これで充分だから、もう採取しなくてもいいわよ」

「はーい」

「ピュイ」

「ひとつ提案があるんだけど、帰る前にアップルンを少し食べながら休憩しない?」

「それいいね。私は賛成。すーちゃんは?」

「ピュイ」

「ありがと。それじゃあ、アップルンを3つ採ってみんなでひとつずつ食べましょ」

「りょーかい」


 リアはそういうとすぐにアップルンの木の枝に飛び乗り、ササッと三つ採取して戻ってきた。

 相変わらずすごい身体能力だ。


「はい、これはアリスの」

「ありがと」

「はい、こっちはすーちゃんのね」

「ピュイ」

「それじゃあ、いただきまーす」

「いただきます」

「ピュイ」


 アップルンの木の根元に腰を下ろし、採れたてのアップルンにかじりつく。

 相変わらず、みずみずしくて程よい酸味がたまらないな。


「おいし~」

「採れたて新鮮なのはおいしいくていいね」

「ピュイ」


 しばらくの間、アップルンを食べるのを楽しむことができた。

 そろそろ時間的にも帰ったほうがいいかもな。

 じゃないと、暗くなる前にふたりが町に戻れないだろう。

 ふたりから聞いた話だと、町の門は暗くなると閉まるって話だったからな。


「ごちそうさまでした」

「ごちそうさま~」

「ピュイ」

「それじゃあ帰るとしましょ」

「時間的に歩いてたらギリギリ間に合わなそうだから、少し走っていこうよ」

「そうね。それがいいと思うわ」


 あ、そうだ。

 帰る前に、俺の飯用のアップルンを何個か採って巣に持って帰ろう。

 確か、巣に予備のアップルンはなかったはずだ。

 ふたりにあげたからな。


「ピュ」

「どうしたのすーちゃん?」


 ふたりが先に帰ってしまわないように呼び止めたあと、急いでアップルンをふたつ採取する。


「もしかして、それって巣に食料として置いておく分?」

「ピュイ」

「すごい、リア。よくわかったわね」

「すーちゃんがアップルンをくれたときって、いつも巣から持ってきてたでしょ。だから、このアップルンを食料として持って帰るのかなって思ったの」

「あー、なるほど。言われてみれば確かにそうね。あ、そうだわ。そのアップルン【次元収納】にしまって持ち運んであげるわ」

「ピュイ」


 アップルンをアリスに手渡して【次元収納】にしまってもらったら、巣に向けて出発する。

 時間的に少し厳しいので、ふたりは駆け足で帰り俺はその後ろを飛んでついていった。






◇◇◇◇



「それじゃあ、私たちとはここでお別れね」

「いろいろとあったけど、レビア草を探すの手伝ってくれてありがと」

「ピュイ」


 あのあと一回巣に戻ってアップルンを置いてから、街道のほうまで移動してきた。

 今は街道一歩手前の草原のところにいる。

 ふたりとはここで別れることになるな。


「今度はゼストも連れてくるから、またみんなで何かしましょ」

「次会う時まで元気でね」

「ピュイ」


 この三日間、みんなで一緒に戦ったりゼストの過去話が暴露されたりといろいろあったけど、なんだかんだすごく楽しかったな。

 次会うときが楽しみだ。

 次はゼストもいるだろうしな。


「それじゃあ、私たちは帰るわね。バイバイ」

「また来るからね。バイバイ」

「ピュイ」

「日が暮れるまでニ時間ちょっとしかないし、走って帰りましょ」

「うん」


 最後に頭を撫でられたあと、ふたりは手を振りながら駆け足で帰っていった。

 俺も手を振って見送った。

 次会うときが本当に楽しみだな。

 やっぱり友達がいるって最高だよ。

 ひとりじゃ寂しいしな。


 さてと、俺も帰るか。

 もう夕方だから、帰ったらスキルの確認や検証をして巣でじっとしておこう。

 それと、新しく獲得したスキルの練習なんかをしないとな。

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