第48話 道案内をすることになった

「ねえすーちゃん、最近ゴブリンがたくさん出てるみたいだけど何か心当たりない?」


 リアが突然そんなことを聞いてきた。

 ゴブリンっていったら昨日集落を壊滅させたばっかりだが、何で急にそんなことを聞くんだ?

 そう思ったら、ゼストが先に聞いてくれた。


「リア、何でそんなことを朱雀に聞くんだ?」

「すーちゃんってここに住んでるでしょ。だから何か知ってないかなぁって思ったの」

「ああ、そういうことか」


 俺にはどういうことなのかさっぱりわからない。

 なので首をかしげて、わからないですアピールをする。


「そうか。俺たちがこんなことを急に言っても、何も知らない朱雀には訳がわからないよな」

「先に何で私たちがこの森にいるのかということから説明したほうがよかったね」


 ゼストたちは冒険者でゴブリンの情報が知りたい、森にいるというキーワードをつなげて考えると、ゴブリンの調査かなんかに来ているのではと思い至った。

 ゴブリンがたくさんいるみたいってリアが言ってたが、確かに集落にはすごい数のゴブリンがいたからな。


「まず、この森についてから話すか。街道がすぐ近くにあるから、森の浅いところでは魔物討伐がときたま行われるんだ。魔物の素材を集めるのだったりゴブリンの駆除が主な目的でな。だから、森の浅いところにはあまり魔物がいないんだ」

「それが、最近街道のほうにゴブリンが何度か出てきてるみたいなの」

「森の浅いところにゴブリンがいることはあまりないんだ。エサになるものが少ないからな。それが、最近になって街道のほうに何匹か出てきたから、森の中に集落ができてるんじゃないか?ってことになってな。」

「それで私たちがギルドで依頼を受けて調査してたんだよ」


 なるほど、そういうことか。

 街道にゴブリンが何匹も現れるようになったため、どこかに集落でもできてたくさん繁殖しているのではとなって調査に来たわけだな。


「すーちゃんはこの森に棲んでるんだし、何かゴブリンについて知らないかな?」


 リアの質問に大きくうなずく。


「ほんとか?」

「私たちに教えてくれる?」


 もふるのに夢中になってるアリスを正気に戻し、腕の中から出させてもらう。

 集落の伝え方だが、地面に絵をかいて伝えることにした。

 以前暇つぶしで絵を描いたことがあるので、足の爪で描くのには慣れている。

 あと、絵自体はそこそこうまいほうだし。

 まあ白黒で線を描くだけならだけど。

 色塗りのほうはうまくできん。


 あの時の暇つぶしが、まさかここで役に立つとは思わなかったよ。

 何事もやってみるものだな。


 地面に家をたくさん描いて、それを柵の絵で囲む。


「このたくさんあるのは家か?」


 ゼストの質問に頷いて、合っていると伝える。


「柵みたいなので囲まれているね」


 集落を描いたら、その中にゴブリンの絵を描く。

 普通のゴブリンや上位種のナイトの絵を描いてみたが、なにも見なくてもそこそこうまく描くことができた。


「これはゴブリンで、こっちは上位種のゴブリンナイトで合ってるかな?」


 リアが気づいてくれたので合っていると伝える。


「家がたくさんあってその中にゴブリンってことは、これはゴブリンの集落か? というか、絵上手だな」


 ゼストが正解に気づいてくれた。

 思ったよりもすんなりと伝えることができたので良かったよ。


「もしかして、すーちゃんゴブリンの集落の場所を知ってたりする?」


 さっきまで蚊帳の外だったアリスがいきなり話に入ってきた。

 なんか、心なしかさっきまでより落ち着いてる気がする。

 ステータスを見ると状態異常がなしになっていた。


「なんか落ち着いたな、アリス」

「うん。もふもふ成分をいっぱい補充したからね。仕事のストレスがすっきりしたよ」


 やっぱりストレスたまってたのか……。

 冒険者の仕事って大変なんだな。


「ゴブリンの話に戻るが、やっぱり集落があるのか?」


 頷いておく。

 正確には、「ある」じゃなくて「あった」だけど。


「場所を知ってるんだったら案内してくれるか?」


 鳥生が始まってから、正直時間はかなり余っている。

 アップルン採取を除けば、探索とレベル上げ、釣りぐらいしかやることが浮かばない。

 何も問題ないので、頷いて道案内するということを伝える。

 それに、ゴブリン集落がつぶれたのを確認させたほうが、仕事で来ているゼストたちにとってもいいだろう。


「ありがとな朱雀。それからアリスは歩くの大丈夫か?」

「うん。もふもふ成分を補充できたし、十時間くらいぶっ通しで歩けるわよ」

「一時間ちょっとで疲れたって言ってたやつのセリフじゃないぞ、それ……。一応聞いておくがリアも大丈夫だよな」

「うん。私は大丈夫だよ。すーちゃん道案内よろしくね」

「ピュイ」


 アリスがシートをしまってから、俺は三人を連れて出発した。

 俺が先頭を歩いて、後ろからゼストたちがついてくる。

 ゴブリン集落まで普通に歩いたら三時間ちょっとはかかるが、ゼストたちなら問題なくついてこれるだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る