第15話 ポイズンスライム
昨夜の実験で使い切った分の魔力は、ぐっすり寝たことで全回復している。
今日はスライムなんかを探して、レベル上げのために積極的に狩っていこうと思う。
まずは朝食を食べたら、【気配察知】で敵を探すのを優先しながら日課のアップルン採取に行くか。
そのあと余った時間は、この周辺でスライム狩りに使おう。
◇◇◇◇
昼頃にはアップルンの生えているところに着いた。
ここに来るまでの間に、スライムやほかの魔獣が【気配察知】に引っかかることはなかった。
アップルンの付近にも魔獣はいなかった。
【気配察知】にも反応はない。
いつもはひとつしか採取しないが、今日はふたつ採取しようと思う。
進化して鳩ぽっぽサイズまで大きくなった今なら、頑張れば一度にふたつは持って帰れるだろう。
ひとつを予備の食料として巣においておけば、アップルンを採りに来るのは二日に一回で済むので、余った時間でスライム狩りができるだろう。
予備として巣に置いておくほうのアップルンは、ずっと置いておいたら当然腐る。
だから、二回目の採取以降に取ってきた二つのうち片方を予備として古いほうの予備と交換し、その日の夜に古いほうの予備を食べる。翌日は新しくとってきたほうの残りの一個を食べる、というようにしようと思う。
そうすれば、予備のアップルンを腐らせて無駄にするというようなことも起きないだろう。
アップルンをふたつ採取したら実と枝の付け根を咥えて持ち上げ、さらにそれを両翼で抱えることで何とかふたつ持つことができた。
◇◇◇◇
アップルンをふたつ抱えて巣まで帰ってきたとき、木の根元でガサガサと何かが動いているのに気付いた。
戦うときに邪魔になるので、さっと木の上まで飛び上がり巣の中にアップルンを置いた。
ちなみに【飛翔】がLv3になったことで、地面から四メートルくらいまでなら飛び上がれるようになった。
空中での制御はまだうまくできないので、まだまっすぐ飛ぶことしかできない。
曲がろうとしたりすると、どんどんと下に落ちていってしまう。
その辺は要練習だ。
何かがガサガサと動いている場所は、俺が採ってきた毒草をまとめて置いてるところだ。
気配の強さは俺と同じくらいなので、毒草泥棒はそこそこ強い魔獣みたいだ。。
しばらくの間じっと睨んでいると、薄紫のゼリーのような体をした粘体が毒草の中から這い出てきた。
え? これもスライムなのか?
でも、なんか
こういう時は【鑑定】だな。
これで正体がわかるだろう。
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種族:ポイズンスライム Lv3
名前:なし
状態異常:なし
体力 :51/51
魔力 :16/18
攻撃力:24
防御力:31
魔法力:17
素早さ:18
ランク:F+
固有スキル
【触手Lv3】【ポイズンタッチLv2】【分裂Lv2】
スキル
【捕食Lv3】【受け流しLv3】【再生Lv2】
耐性スキル
【物理耐性Lv2】【魔法耐性Lv2】【毒耐性Lv7】【麻痺耐性Lv2】
称号
【毒使い】【レアモンスター】
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ランクF+!? しかもレベル3って俺よりも上じゃねえか!
何でこんなのが巣のそばにいるんだ?
とりあえず種族の説明を出してくれ。
考えるのはそれからだ。
【ポイズンスライム F+ランク】
【毒を好むスライムの上位種。毒を好むスライム自体が珍しいので、ポイズンスライムを見ることは滅多にない。毒のあるものに集まる性質を持つ。攻撃手段が接近戦のみなので、対処はそれほど難しくない。炎属性の攻撃と核が弱点。また、このスライムが持つ毒も炎に弱く炎に近づけるだけでも毒性を失う。もっと進化すれば毒も強くなっていくが、今はこの程度の毒しか出せない。摂取した毒を体内でオリジナルの毒に変換し、それを用いて攻撃する。】
これって採ってきたドクダミ草をまとめてたから、ポイズンスライムが寄ってきたってことだよな?
ポイズンスライム自体がかなり珍しいそうだから、今回遭遇したのは運がなかったってことなんかな。
どっちみち巣のそばにいる以上、どうにかしないといけないことは確かだ。
ステータスは体力・防御力がかなり負けているが、素早さでは俺のほうが圧勝している。
攻撃力は同じくらいだ。
ポイズンスライムは、攻撃手段が近接しかないうえに炎に弱い。
素早さのアドバンテージを生かして相手の攻撃をよけつつ、【ファイアーボール】や【爪撃】で核を狙えれば勝機は十分にあるだろう。
それに、ポイズンスライムの毒は炎に近づけるだけで解毒できるといったよくわからない性質がある。
仮に毒状態にされても、【ファイアーボール】で炎を発生させてその中に飛び込めば解毒できるだろう。
その時は全身火だるまになって、俺自身も少なからずダメージを負うことになるが。
ポイズンスライムのスキルだが、【ポイズンタッチ】はおそらく相手を毒状態にするスキルだろう。
一応詳しい説明を出してくれ。
【毒をまとった触手で相手を攻撃するスキル。】
このスキルで攻撃されて避けられなかった場合でも、全身炎上する方法で解毒することができる。
決して不利な相手ではないはずだ。
勝ち目がなければ逃げて拠点を変えるか、スライムがどっかいくまで別のところに行けばいい。
ポイズンスライムは遠距離攻撃手段はないし、素早さも俺のほうが高い。
解毒する手段もある。
ポイズンスライムの攻撃力じゃ一撃で死ぬことはない。
やれるだけやってみる価値はある。
負けても死ぬ可能性は極端に低い。
ならばやるしかないだろう。
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