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@Sumaphonekentyan

第1話


タバコは、幼いニオイだった。

火を灯した途端に、灰皿の周りを走り回る。

子どもの様な無邪気さで。

大きくカッコよくなりたいと信じて、はにかむ口の中から飛び立っていく。


タバコは、くさいニオイだった。

口から飛び立つのは、彼女との情事やくだらないロマンを放ちながら、笑顔で走り回る

灯が消えたら、広がる煙が宿になる。


タバコは、お香のようなニオイだった。

火を灯した途端に、無邪気に走り回る

その無邪気さは、お経と一緒にしか走り回れない。


無邪気な香りは、この日を最期に現れなくなった。

百合とともになくなった。

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