第68話

「魔女のような妖精って、どういう事? 美影たちの言っていた魔女って妖精なの?」



「……わからない。俺たちも、噂でしか聞いたことがないから」



美影は、首をよこに振った。



疑問を残したまま、画面をスクロールされて文字を目で追う。



魔女を探しに出た【僕】だったが、魔女に関する情報を得ることができず、結局魔女と会う事はできなかった。



だけど……。



【僕】のブログには、最後の方に写真が載せられていた。



グリーン、ピンク、イエローの宝石のような石。



「【魔女を探している僕を助けてくれた動物たち、ありがとう。



だけど僕はもう妖精を見ることができなくなってしまった。



結局、魔女にも出会いないまま……。



この石は、またどこかの街に散らばるだろう。



そして、僕のブログは一旦ここで終わります。



また妖精たちと出会えるまで……】」



あたしは、石の写真の下に書かれていた文章を声にだして読んだ。



そして、ポケットに入れていおいた2つの石を取り出す。



グリーンと、ピンク。



あたしは公園の鳥とコンビニの猫を思い出す。



「動物たちって……」



まさか、あの動物たちが、あたしたちを助けてくれていたっていうの?



でも……。



こんな石、何に役立つっていうの?



「月奈、やっぱりこの噂は本物だ」



美影が、目を輝かせてそう言った。



「え?」



「その石にこのブログ。全くのデマなら、ここまで共通したものが出てくるワケない」



「僕も、そう思う! 動物は僕たちが見えるんだよ? だから協力してくることだって、あり得ると思わない!?」



白堵が、美影の言葉に賛同する。



「そうだな。その石が何か重要なヒントになっている可能性もある」



「と、なりゃぁ。あとは黄色い石と魔女の居場所だけだ」



菜戯と汰緒も、目を見合わせてそう言った。



「ちょ、ちょっと待ってよ。石を集めたからって、魔女に会えるワケじゃないのよ? このブログの人も諦めてしまったんだから」



「そんなの、まだわかんねぇだろっ!?」



美影が、あたしの右肩に飛び乗ってきた。



「菜戯の言うとおり、石にヒントがあるかもしれねぇ」



その言葉にうながされ、あたしはまた石に目を落とした。



石は相変わらずに綺麗輝き、パソコンの光で眩しいくらいだった。



でも、特に気になる個所はない。



「ヒントは見当たらないけど、でも……重要なものであることは、確かかもしれないわね」



そう言い、あたしはあの童話を思い出していたのだった。

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