番外編、プロローグ2

「いやー、小学生の時からずっと一緒だった俺らが高校生だってよ!どう思うよ秀頼!?」

「今更何も思わねーよ」

「照れんなよ」

「何も照れてねーよ」


電車の中では大人しい会話を秀頼と楽しむ。

理沙は佐々木と楽しいガールズトークをしている。


「今年も同じクラスだと良いな!」

「俺は純粋にタケルと同じクラスは嫌だよ」

「照れんなよ」

「何も照れてねーよ」


秀頼弄りがつい面白くて白熱していた。


「そういや、理沙ちゃんに朝タケルが起きない時の起床法伝授したけど使われた?」

「使われたよ。ガッツリ今朝キスされそうになったわ!」

「照れんなよ」

「いや、あれは照れるって!照れないの無理っすよー!秀頼も妹が居たらわかるよ」

「妹だぁ?残念ながら居たとしても興味ねーな。むしろ抱けないし最悪じゃねーか」


こいつの思考は女=抱くしかないのが最悪だ……。

まぁ、秀頼は典型的な一人っ子だし仕方ないか。


「今年のタケルの抱負、シスコンをやめる」

「今年の秀頼の抱負、女と会話しない」


俺と秀頼が無言で、同時に顔を向き合わせる。

お互いがお互いを探る顔になる。


「……」

「……」

「……無理だな」

「……諦めるしかねーな」


秀頼に決められた俺の抱負は4月の最初で打ち止めになる。

中身のない会話をしたまま、電車は学校へと向かっていた……。







学校に着くと新入生の人だかりが出来ている場所を見付ける。

そこはクラス表とデカデカと書かれているが、肝心の誰がクラスの何組なのかは小さくて読めない。


「クラス貼り出されてるな」

「見るのダルいな。タケル、コンビネーションプレイだ!」

「おおっ!秀頼からそんな言葉が出るなんて頼もしいぜっ!」

「作戦はタケルがあの輪に入り俺らのクラスを見に行く。把握したら俺にラインする。よし、この作戦で行くぜ」

「いや、君が楽しようとしてるやん」


秀頼が動く気ゼロのガバガバ作戦を披露してきた。

俺だってできることならあの輪に入りたくない。

理沙と佐々木も人の多さに嫌な顔をしている。


あの人の輪に入るかと考えていると、近くに見慣れた星飾りのカチューシャを身に付けている緑色の髪の女を発見した。

というか知り合いだった。


「おーい、津軽!」

「気安く呼ぶなや、男子がっ!」

「えぇ……」


男子を嫌い、女子に喜ぶ津軽円という何気に付き合いが長い女を発見した。

俺の知り合いではあるが、理沙の友達という感じではある。


「あれ!?理沙の胸春休みで成長してない!?」

「そんな簡単に変わらないです……」

「絵美の身長伸びてない!?」

「多分変わってない……」

「あわわわわわ、可愛いよぉ!円ハーレム作りたいよぉ!男子は消えて良いわよ」

「……」

「……」


頭がレズ方向にぶっ飛んだ女は、俺と秀頼を激しく嫌う女である。

理沙の友達でなければ、多分知り合うこともなかった女であろう。


「円さんは私たちのクラスわかりますか?」

「理沙ちゃんも絵美ちゃんも私と同じクラスのA組よ!……まぁ、そこの2人とかいう邪魔者も一緒だけど……」

「俺ら邪魔者扱い!?」

「女子校行けば良かったわ……。バカな十文字の顔も、チンピラな秀頼の顔もない楽園に行きたかったわ」


津軽はちょっと男子を舐めてる節があるからあまり近寄らないようにしている。

知り合いの女では断トツ1番の変態、変人の名を欲しいままにしているのだ。


「あと、懐かしい名前もあるわよ。一時期一緒にしていた永遠の名前があるわ」




★選択肢★

→永遠?……誰だっけ?

 あー、懐かしい名前だな!【永遠好感度+1】

 そんなことより津軽を抱き締めたい【全員好感度-2】




「永遠?……誰だっけ?」

「兄さんったら……。宮村永遠さんよ。いつかデパートで水着買いに行った……」

「あぁ、彼女か……」


あの後、彼女に不幸が起きたらしくそれ以降全然会話する機会がなかった……。

本当に一時期に理沙や佐々木や津軽と仲良くしていた子だ。

見掛けたら声掛けてみよ。


「あれ?そういえば秀頼と佐々木が消えてない?」

「本当だ」

「あいつA組と知ったらこそっと抜け出して行ったわ。なんだ、十文字気付いてなったのね」




★選択肢★

→理沙、教室行こうか【理沙好感度+1】

 秀頼が気になる

 そんなことより津軽に告白したい【BADEND】




「なんだ、そうだったのか。じゃあ教室で会えるか。理沙、教室行こうぜ」

「そうしましょうか」

「相変わらずシスコンなようで……。じゃあ後でクラスで会おうね理沙!」


俺にはなんの一言もなく、津軽は理沙だけ見送った。

なんか悲しくなるな……。

そのまま2人で廊下を歩くと1つの影が俺にぶつかってくる。


「……おっと」

「あ……。す、すいません……。ボク、ちょっと急いでて……」

「気にすんな」


ぶつかって来た人はペコリとお辞儀して消えていく。


「兄さんとぶつかった人、女子よね?」

「だよな、ボクって言ってたな」


俺の知り合いにはいないタイプだ。

広い学校だし、女子でもボク、オレ、オラみたいな一人称女子だって居てもおかしくないか。

しかし、活気溢れた学校だ。

優等生かギフト持ちばかりな学校だから、さぞ凄い人がたくさんいる学校なのだろう。


「……フフフ。お姉様をこの学校で殺す案を実行するわ」

「……」


すれ違っただけだけど、なんか怖いこと呟いていた生徒がいたよな?

こわっ、優等生とギフト持ちばかりだけど頭のぶっ飛び方も凄い学校だ。

……見なかったことにしよう。


「1年A組、ここが教室みたい」


理沙が学校の地図を見ながらようやく教室を発見したようだ。

ここから、俺と理沙の新しい生活が始まるのか。

緊張してくるな……。








タケルから妹が居たらと振られている秀頼ですが、内心かなり苛ついています。

2ページ前参照。



>>あー、懐かしい名前だな!【永遠好感度+1】


本人が居ないところでも好感度が上がるあるある。




>>あの後、彼女に不幸が起きたらしくそれ以降全然会話する機会がなかった……。


個別ルートじゃないと明かされない設定は都合良く隠されるあるある。



見えてる地雷兵器・津軽円。

シリアスに関わらない・津軽円。

というか多分、秀頼が円をシリアスに関わらせないんだと思います。

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