第五章 ガエネロンの物語 揚陸戦

敵は幾万ありとても♪


 グレモリイの副官ガエネロンに命令が下った。

 教皇府がある教皇本星を防衛する、三つの教皇府宇宙要塞を攻略せよというもの。

 三つの宇宙要塞は教皇本星の赤道軌道上に位置し、互いに連絡しており、どこかを攻撃すると両隣から攻撃される……


 しかしガエネロンには考えがあった……


     * * * * *


 グレモリイさんの副官は元からのゴモリー、ガモリー、ゲモリーの三人と新たに加わったガエネロンの四人。

 珍しく四人がそろって、リンダウ・ステーションのオートレストランでお茶なんてしています。


 レイルロードのオートレストランは自動販売機が並んだタイプですが、そんなにメニューはありません。

 からあげチキン、焼きおにぎり、ホットドッグ、ハンバーガー、フライドポテト 、ソース焼きそば…

 あとはカップ麺関係ですが、飲み物は含めて一律五十円相当、レイルロードの物資補給担当部の直轄工場で作られている冷凍食品です。


 多少、コッペハウスよりはお高いようです。

 ただね、レイルロードの関係者は無料、チョーカーやリング、軍務加算徽章等をかざせば良いわけです。


 主要幹線などのオートレストランは品数もかなりあるのですが、リンダウ・ステーションのような簡易鉄道のオートレストランは最低限の品数なのです。


 さすがにもう少し良くしようと、物資補給担当部は計画中ですが、なかなか実現出来ないようです。


 四人の前には、カップのコーヒーとホットドッグまたはハンバーガー、そしてフライドポテト……


「この頃思うのだけど、ガエネロン、雰囲気が変わったと思うわ」

「そうですか?」

「そうよ、最初は堅苦しかったわよ」


「妙に明るいし、何かあるの?」

「多分ですが……近頃、キスキル=リラさんと親しくなって……その影響かと……」

「キスキル=リラさん?納得ね、あの方、ポジティブですものね♪」


「ところでガエネロン、今度の『仕事』の話しだけど、大丈夫?」

「私も気になるわ、何かあったら相談してね、怒られるかも知れないけど手を貸すわよ」


「ありがとうございます、しかし大丈夫です、考えがありますから」

「ならいいけど、無理は禁物よ、いざとなったら逃げるのよ」


 三人はかなり心配してくれているようですね。


 何故かと云えば、先頃ガエネロンさんは、『教皇府がある教皇本星を防衛する、三つの教皇府宇宙要塞を攻略せよ』との命令を受けたのです。


 ガエネロンさんの計画とは、この三つの教皇府宇宙要塞に『転移爆弾』で攻撃するというものです。

 キスキル=リラさんを真似して、『大出力ドロップ燃料気化爆弾』を使用、連続して爆発させスクラップにするつもりのようです。


 要塞の熱源なら外からも場所が分ります、また電波が飛び交う場所も分りますので、この管制室らしき場所には『電磁波爆弾』を放り込みます。

 この後、要塞が沈黙したら小型陸戦ロボット兵団を揚陸させるのです。


 つまりかなりの遠距離から、要塞内部に攻撃を加えるわけです。

 モグンツィアクム大司教区宇宙要塞の戦闘を詳細に調べた結果、『大出力ドロップ燃料気化爆弾』の効果は絶大のようですのでね。


「これなら敵が幾万隻あれど問題はありません、我が方の転移攻撃は敵の探知能力の範囲外と分っています」


「なるほどね、キスキル=リラさんの実績を踏まえての戦法ですね♪」


「非戦闘員の女奴隷を保護しなくてはならないので、一気に破壊するわけにはいきません、厄介ですが無力化して内部に突入するつもりです」

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