定員オーバーになります


 リンダウ・ステーションに待機しているリリスさんのもとに、ベルクト村長がルイーゼ・バーデンさんとともに直談判にやってきています。


「リリス様、このままでは定員オーバーになります!とくに孤児院とかが足りません!」


 大体戻る場所がない女たちが、一つの大司教区宇宙要塞から平均三百名ぐらい発生します。

 教団の大司教区は十二教区、三千六百名は最低でも増えるわけです。


 五千五百名に三千六百名……

 

 標準簡易ステーションは一万二千名が一応の定員……


「分かりました、とにかく拡張致しましょう、また孤児院関係のメイドロボットは増強いたします」

「でも教皇府がある教皇本星、それを防衛する三つの教皇府宇宙要塞から、女たちを保護したりすれば……一万二千名では……」


「うーん、こんなことになるとは……想定外……困ったわね……相談してみるわ」

 リリスさん、グレモリイさんと相談の結果、三軍統合司令部に問題を訴えましたね。


「そんなに女が増えるの?」

 さすがにイシスさんも顔が曇っています。

 イザナミさんなんて、蒼ざめた顔をしています。


「なんとかしなくては……ミコ様を絶対に呼ばないでね!」

 イザナミさんのこの言葉に、三軍統合司令部の首脳陣も頷いています。


 皆、百合の会議で糾弾されるのを恐れているのです。

 近頃はイシスさんでも危ない……


 通称、『吊し上げ会議』といわれる百合の会議、ここに召喚されると碌なことにはならない。

 ほとんどはミコさんが『吊し上げ』られるのですが、皆さん一度は女がらみで呼ばれて……

 二度と御免と思っているようです。


「未踏宇宙を開拓するとこの結果が待っているのか……そういえばM33トライアングル銀河のときも……あの時、もっと気が付いておくべきだった……」

「とにかくさっさと開拓終了、さっさと惑星管理局に引き渡す!これしかないわ!」


 なぜ皆がこんなにうろたえているかと言えば、時期が悪いのです。

 ラグナロク戦争の結果、膨大な数の女の惑星が加盟……なんとか、この後始末を終えたところ、そんなところにまた女問題となると……

 

「皆の不満がマグマのように地下に溜まっているのよ!いまこの問題が百合の会議で持ち上がるとタダでは済まないわよ!わかるでしょう!」

「未踏査宇宙探査開拓計画は惑星管理局の要望に応えただけ、だから問題なく惑星管理局に引き渡せば、『吊し上げ』は惑星世界管理局です!」


 ミリタリーとしては未踏査宇宙探査開拓計画は迅速に処理、問題なく惑星管理局に引き渡す、これが至上命令となった訳ですね。


 イシスさんの願いで、マレーネさんが標準簡易ステーションの増築オプションを設計してくれました。

 マイクロ・インフェニティ・カーゴで建造できるものです。


 標準簡易ステーション分割結合型の改良した物で、同じ円筒系で直径も同じ、長さは五百メートル、これを最大前後に直列につなぐわけです。

 増築オプション一つで六千名の定員を増加できます。


 これ以上は標準小型ステーションに置き換えることになりますが、マイクロ・インフェニティ・カーゴでは建造できません。

 

「リリスさん、これでリンダウ・ステーションの定員は倍増できますが、これ以上は増やさないでね!」

「なんとしても現地に引き渡すのよ!とくにキスキル=リラには釘をさしてね!」

 グレモリイさん、イザナミさんに現状を聞かされたのでしょうね、いささかパニックになっています。


 でも……本人は……


「いやあ、感謝されるのっていいものね♪」

 とか、いっており、このままいくとどうなるか、あまり理解していないようなのです。


 FIN

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