翼《よく》とドラゴンの物語
環
翼とドラゴンの5メートルの冒険
「ボクの名前は
誕生日にじいじとばあばに雨がっぱと長靴をもらったんだぁ。
これからミカコさんと雨を探しに行くんだよ!
約束してるんだ!」
少し赤茶の髪の毛と大きなお目々がくりくりとした、とっても元気な男の子の
リビングの窓から外を見ていると、青い空に灰色の雲が見えています。
見つけたのはアマガエル色のレインポンチョ。
ハンガーから引っ張って外し、頭からスポッとかぶり、ポンチョから顔を出すと、玄関へと走ります。
玄関にはレインポンチョとおそろいのアマガエル色の長靴が揃えてあります。
その様子を近くで見ていた者が、
「イヤイヤイヤ〜、ちょっと待ちなさいよ〜。ミカコさんを忘れてますよ〜!3歳児の行動力は早いな〜。」
あまり慌ててないような口調でつぶやきながら、
「あ、みなさま、初めまして。
わたくし、
ある事情で今は
まだ3才の
「
赤が
人の、いやドラゴンの話を聞かないのも今どきの3歳児の特徴なのだとも。
赤はとにかく
灰色の雲を見つけて、「あーっ!あめのくもだー!」と、空を指しながら走り出す。
その途端、新しい長靴を履きなれていない
瞬間、「うわあ〜ん。痛いよ〜!ころんだよ〜!」と、大声で泣き出した。
「やれやれ」と思いながら、赤は
そこにポツポツと大粒の雨も降り出してきました。
あれだけ探していた雨は気にもせずに、泣いている
赤と
「わ〜ん、ミカコさ〜んっ!」と泣き叫びながら、走りよる
あ、
ミカコさんの足に抱きついて、わんわんと泣いている
ミカコさんが傘を片手で持ちながら、しゃがんで
「転んだの?痛いね〜。痛かったね〜。」と、優しく
「痛かったあっ!」と顔をまっ赤にして涙と鼻水でグチャグチャなのに怒ったように言う
「あらあら、顔がグチャグチャだよ?キレイにしてから、またお出かけしよ?」と
こうして本日の
でもきっとまた、小さな冒険がこれからもあるんだろうなと、ドラゴンの赤は想像してため息をつきます。
「やれやれ」と、つぶやきながら小さな羽根をパタパタと羽ばたかせて家に入って行きました。
翼《よく》とドラゴンの物語 環 @sansui092
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。翼《よく》とドラゴンの物語の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます