第23話

「ヒッ!」



と、思わず声が漏れる。



夢が散乱した教材を踏まないようにして隣りに立った。



スマホ画面には『損失を与えました』の文字が表示されている。



やっぱり、これが損実だったんだ!



「よかった」



「え?」



あたしは夢の言葉に驚いて視線を向けた。



「だって、これがさっきの損失だったんだよね? やっぱり靖子は傷つかないってことだよ」



「それはそうかもしれないけど……」



あたしは散乱した教材へ視線を落とす。



今回はたまたまケガをしなかったけれど、毎回大丈夫だという保証はどこにもない。



そんなことアプリの説明にも書かれていなかったし。



「ねぇ、そうとわかれば次の相手を決めないと」



夢が目をランランと輝かせて言う。



それはまるで、あたしの心配なんてまるでしていないように見えて、あたしはなんとなく寒気を感じたのだった。

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