第500話「これは内なる声ではない」

※第500話到達です!

いつもご愛読頂きありがとうございます!


※当作品は、これまで毎日の更新を続けて来ましたが、

『週に数回、不定期』となる予定です。

またツイッターなどで、更新も事前告知する予定です。


皆様のご愛読と応援がとても励みとなっております。

引き続き、何卒宜しくお願い致します。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


動かなくなったドラゴンどもを見たリーダーの少年ゴーレムは手を挙げ合図。


ゴーレム4体は素早く、「さささっ」と走り、森の奥へ消えてしまった。


既に俺と仲間達の存在にゴーレム達は気づいているだろう。


ここですぐに全員で追っかけたら、ひどく警戒されてしまうに違いない。


リオネルはその場で「じっ」と待った。

仲間達にもその場で待機するよう命じる。


地図を見て記憶していた。


この先にはストーンサークルを備えた古代遺跡3棟がある。


もしリオネルの推測が当たっているならば、

ゴーレム達は『移動』の為、ストーンサークルへ向かったと思われる。


1,2,3,4,5,6,7,8,9,10……


よし!

充分、先へ行っただろう。


『10』数えたリオネルは、頃合いと見て、歩きだした。


仲間達は、引き続き待機させた。


ちなみに、ゴーレム達に行動不能にされたドラゴン3体は放っておく。


リオネルが見たところ、しばらくされば回復するだろうし、

特別な場合を除き、他者が無抵抗にした魔物を倒す趣味はない。


さてさて!

好奇心に満ちあふれ、はやる気持ちを、リオネルは精一杯、抑える。


いつものようにシーフ職スキルを駆使し、

リオネルは、『隠形』『忍び足』で、すっ、すっ、すっ、と空気の如く進む。


索敵――魔力感知を最大範囲で張り巡らせ、ゴーレム4体の動きは把握している。


気持ちがはやって、距離を詰めないよう、リオネルは注意した。


ゴーレム達は、リオネルの予想通り、ストーンサークルへ向かっている。


そして、ストーンサークルへ到着すると、中央のマークポイント。


……強き魔力のゆらぎを感じる。


その瞬間!

ゴーレム4体の気配が消え去った!


やはりだ!!


ここでリオネルは猛ダッシュ。

大地を蹴り、飛ぶように走った。


すぐにストーンサークルへ到着。


案の定、ゴーレム4体の姿は影も形もない!


やはり、このストーンサークルは、転移装置だ!


そして、いわば、マークポイントが転移門! つまり出入り口だ!


……確信を深めるリオネル。


転移したら、何かを残して行くわけではない。

何も証拠は残らない……多分。


念の為、マークポイントを中心にストーンサークル全体を丁寧に調べる。

だが、若干の魔力残滓があっただけで、転移魔法発動の確固たる証拠はなかった。


まあ、仕方がない。

焦りは禁物だ。

……とリオネルは思う。


自分と仲間達が転移する場へ押しかけたら、必ずやトラブルになるだろうから。


リオネルは視線を移す。


……ストーンサークルの奥には、ギルドの公式地図に記載された通り、

古代遺跡3棟が並んでいた。


ここを調べて、また探索再開だな。


大きく頷いたリオネルは、いつものように、

古代遺跡3棟の危険度チェックを始めたのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


魔導光球とゴーレムを使い、いつものように慎重には慎重を期し……

意気込んで、古代遺跡3棟を探索、確認したリオネルであったが……

やはり何もなかった。


苦笑したリオネルだが、特にショックはない。


それはこれまでの探索も同様。


ゲットした『お宝』は、ろくに確認もせず、収納の腕輪へしまってあるからだ。


リオネルは再び、探索を開始。


ドラゴン10体、巨人族を10体倒し、レベルを『42』とし、

またも古代遺跡を見つけた。


今度は転移門と思しき、ストーンサークルはなく、形状も今までとは少し違った。


リオネルの目の前にあるのは、こじんまりした建築物が1棟。


大きさも小さめ。


……だが、何か不可思議さ、神々しさを感じるのだ。


またも、いつもの通り、魔導光球、ゴーレムを使い安全確認。


危険が無い事を確認し、リオネルが中へ入ると……


何と!


一番奥の片隅に武器が置いてあった。


「お? なんだ?」


黒いさやに入ったひと振りの剣である。


さやは1mほど。

刀身は多分、約60㎝強といったところだろう。


しかし、リオネルがいつも使っている剣……スクラマサクスとは、

全く趣きが違っている。


抜いて刀身を見ずとも、すぐ分かる。

まず柄の形状、仕組みが違う。


柄は何かの皮を巻き、その皮は丁寧に磨かれており、丈夫な糸で、

しっかりと巻かれていた。


「……見た事がない剣だ」


思わず、リオネルがつぶやくと、いきなり心の中に聞き覚えのない声が響いた。


『ほう! 凄まじい! 遂に、我にふさわしい者が来たか』


『我にふさわしい?』


これは内なる声ではない。


リオネルは比較的冷静でいられた。

既に経験則があるからだ。


そう、意思を持つ至宝『ゼバオトの指輪』と邂逅し、受け入れられた際、


全属性魔法使用者オールラウンダーであり、地、風、水、火……世界の根幹を為す4大精霊より加護を受けた偉大なる魔法使い……リオネル・ロートレックよ。なんじこそ、我のあるじにふさわしいのだ』


目の前のこの剣が、『ゼバオトの指輪』同様、意思を持つ剣、

インテリジェンスソードだとしたら!


リオネルはそう思い、剣へ呼びかけてみる。


『黒さやの剣よ、俺へ、言葉を発したのはお前か?』


対して、剣は肯定。


『うむ、そうだ』


更に、


『凄まじきお前の力に敬意を表し、先に名乗ろう。……我は、ヤマト皇国で生まれし太刀、ムラマサ。お前が住むのとは、違う異世界から来たのだ』


と、重々しい声で答えたのである。

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