第462話「だが、旅立った頃のリオネルと、現在は全く違う」

冷たく言い放ったリオネルは、極大の貫通撃を込めた破邪聖煌拳はじゃせいこうけんの拳を、


どがががががんんんん!!!!!


と、竜のこめかみに、まっすぐ!思い切り、ぶち込んでいた。


「!!!!!!!!!!!!!!!!」


リオネル、渾身の一撃!!


独特な効果音とともに、イレギュラーで発生する、会心の一撃!!

通常の攻撃の数倍の効果がある『クリティカルヒット』も巻き起こしていた!!


極大の貫通撃を込めた破邪聖煌拳はじゃせいこうけんの効果は絶大。


リオネル渾身の拳を受けた竜は、声にならない悲鳴をあげ悶絶、白目をむき絶命した。


そして……


どっすんと、力なく地へ伏し、ぴくりとも動かなくなった。


竜3体をあっさりと倒したリオネルの心の中へ、


あの独特のランクアップファンファーレが鳴り響き、


内なる声が淡々と告げて来た。


チャララララ、パッパー!!!


リオネル・ロートレックは、レベル30に到達しました。


チートスキル『エヴォリューシオ』の効果により、


身体能力、五感が全般的に大幅アップしました。


体内魔力が大幅に増量しました。


魔力回復力が大幅にアップしました。


魔法攻撃力が大幅にアップしました。


物理攻撃力が大幅にアップしました。


対魔法防御力が大幅にアップしました。


対物理防御力が大幅にアップしました。


魔力軌道制御力が大幅にアップしました。


ここで終わりかと思ったリオネルであったが……


少し間を置き、内なる声が淡々と告げて来た。


……リオネル・ロートレックは、ドラゴンを3体、ノーダメージで倒しました。


チートスキル『エヴォリューシオ』の効果により、


ギフトスキル『ドラゴンスレイヤー』の称号を得ました。

『竜殺し』のふたつ名を獲得しました。


ドラゴン族への物理及び魔法攻撃力が30%アップします。


ドラゴン族からの物理攻撃が15%ダウンします。


ドラゴン族からの特殊攻撃が10%ダウンします。


おお!

遂に遂に!

俺は『レベル30』になったあ!


父や兄達からは、『レベル30』は「絶対無理だ!」と思われ言われ、

自分でも「絶望的な無理ゲーだ」と思っていたのに!


凄く凄く、感無量だなあ!!


そして、ギフトスキル『ドラゴンスレイヤー』の称号をゲットしたのか!


無敵となる『ドラゴンハンター』

つまり『獲物』として竜を狩る者とまではいかない。


けれど、スレイヤー……

竜を退治する者だから『竜殺し』って事か!


うん!

『竜殺し』のふたつ名はかっこいいな!


ギフトスキル『ドラゴンスレイヤー』の効果効能は……


ドラゴンへの物理及び魔法攻撃力が30%アップし、

ドラゴンからの物理攻撃が15%、そして特殊攻撃が10%ダウンか!

攻撃力、防御力が『そこそこアップ』って事だな!


まあ、『無敵』ってわけにはいかない。


でもでも!

これで今後、竜……ドラゴン一族に対し、ある程度優位性を持てる!


という事は、149階層までの探索がぐっと楽になる!


それに、地上へ戻っても、竜との戦いには余裕をもって臨む事が出来る!


もっともっと頑張ればドラゴンに無双出来る、

『ドラゴンハンター』の称号を得られるかもしれないぞ!


成果を確認し、しっかりと実感したリオネルは、満足そうに頷いたのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


最早、通過点に過ぎないが……

一応の目標としていたレベル30となり、

『ドラゴンスレイヤー……竜殺し』のふたつ名も冠したリオネル。


倒した3体の竜の2体の死骸を念の為、葬送魔法で塵とし、

最後の1体の死骸を収納の腕輪へ搬入した。


竜の死骸から採れる各部位は珍重され、鎧の材料等に役立ち、高値で取引されるからだ。


さてさて!

……引き続き、リオネルは、地下121階層の探索を続ける。


さっさと地下122階層へ降りないのは、この地下庭園の地形を熟知する為、

出現する魔物とも、戦い慣れする為だ。


ケルベロス、オルトロスの魔獣兄弟、火の精霊サラマンダーに擬態した火竜ファイアドレイク、鳥の王ジズを先行させ、

アスプ20体を伏せ勢にして、周囲を固める形は変えない。


相変わらず、シーフ職スキルを駆使し、


リオネルは『『隠形』『忍び足』で、すっ、すっ、すっ、と空気の如く進む。


密林、川、沼、そして岩だらけの原野、砂漠など……

を歩きながら、リオネルは独りつぶやく。

そして、改めて周囲を見回す


「……話には聞いていたし、地図にも資料にも記載があったけど……フォルミーカ迷宮地下121階層は、凄い世界だよなあ」


「でも! これまで地上でいろいろな場所を旅して経験した事が、凄く役に立ってる。ワレバットのギルド総本部で『サバイバル』の講座を受講し、実践の訓練をした事も!」


だが、旅立った頃のリオネルと、現在は全く違う。


例えば……


リオネルの前に切り立つ断崖絶壁がある。


高さは……50m近くあるだろう。


角度は直角に近く、登るのも困難。

足がかりはほとんどない。


常人なら諦めて、どこか、迂回路を探すはずだ。


しかし、リオネルは飛翔魔法を発動。


軽々と飛び越え、断崖絶壁の向こう側へ、すたっ!と、

華麗に降り立っていたのである。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る