第448話「頼むぞ、お前達! 同胞10体を仲間にするんだ!」
キマイラ3体を『風弾! 貫通撃!』であっけなく倒したリオネル。
いつもの通り、葬送魔法『昇天』で塵にする。
……ケルベロス達は、どうしただろう?
「ふう」と軽く息を吐いたリオネルは、
地下101階層――
リオネルが赴いたのは、自身で捕捉し、且つケルベロス達が報せてくれた、
魔物の群れが現れた現場である。
しかし、倒したキマイラ同様、
既にリザードマン10体、バジリスク5体の生体反応もない。
反応があるのは、仲間たる魔獣ケルベロス、オルトロス、火の精霊サラマンダーに擬態した火竜ファイアドレイクの気配のみだ。
念の為、シーフ職スキルを駆使し、
『隠形』『忍び足』で、すっ、すっ、すっ、と空気の如く進むリオネル。
リオネルが、現場へ到着すると、迷宮の石壁、通路は真っ黒に焼け焦げ、
独特の臭いが鼻をつく。
やはりというか、リザードマン10体、バジリスク5体の痕跡は何もない。
塵さえも残ってはいなかった。
その代わりという言葉は妥当ではない。
だが、ケルベロス、オルトロスが通路の真ん中で堂々と鎮座、
火の精霊サラマンダーに擬態した火竜ファイアドレイクが、ゆうゆうと宙に浮いていた。
手を振って、リオネルは3者へ近づいて行った。
『お疲れ様、よくやってくれた』
リオネルが
ケルベロスが無表情で言葉を戻して来る。
『……
オルトロスもふん! と鼻を鳴らす。
そして吐き捨てるように言う。
『ああ、主。兄貴の言う通りだぜ。まあ戦闘不足のストレス発散にはなったが、雑魚のリザードマン、バジリスクでは歯ごたえも何もない。俺達はただ火炎を吐いただけだ』
『…………………』
ファイアドレイクも魔獣兄弟に同じく、楽勝! 火を吐いただけ! という、
意思の波動を送って来た。
3者の言動は、斜に構えてはいるが、「どうだい、えっへん!」という、
自慢げな気持ちの波動も伝わって来る。
リオネルに褒めて貰い、評価されたいという願望がはっきりと分かる。
『分かった! この調子で行こう、じゃあそろそろ出発するぞ』
微笑んだリオネルは探索の再開を伝えたのである。
という事で……
再びケルベロス、オルトロス、
火の精霊サラマンダーに擬態した火竜ファイアドレイクを先行させ、
探索を再開したリオネル。
地下102階層への階段を目指し、シーフ職スキル『隠形』『忍び足』を駆使、
すっ、すっ、すっ、と空気の如く進む。
まもなく地図で確認済みの地下102階層への階段へ到着したリオネル。
先に降りたケルベロス達を追い、躊躇なく102階層へ降りたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
102階層へ降りたリオネル。
やはりシーフ職スキル『隠形』『忍び足』を駆使、
すっ、すっ、すっ、と空気の如く進む。
今度も、約5分ほど歩いたところだろうか。
ここで、先行したケルベロス、オルトロス、ファイアドレイクから念話連絡が入る。
『
『くくく 兄貴重ね重ねサンキュー! 恩に着るぜ! 主よ! アスプは仲間にするんだろ? 兄貴と俺の威圧で足止めしておくから、アスプを送ってくれ。奴ら、同胞を見たら、降伏して仲間になるはずだ。そしてだ! 兄貴と俺、火竜でコカトリス10体、ガーゴイル10体をやる! 主には青銅製ゴーレムを任せる! ゴーレムを、仲間にするのはお手の物だろ!』
オルトロスの判断力、瞬時の作戦立案はなかなかのものだ。
ケルベロスが鍛えたいと言ったのが分かる。
『!!!!!』
相変わらず、ファイアドレイクも思念伝達で、
俺達へ任せろ! コカトリス10体、ガーゴイル10体をやる! と告げている。
『分かった! お前達に甘えて、この戦いでは、仲間を増やす事に専念しよう』
リオネルは念話でそう伝え、すかさずアスプ30体を搬出した。
相手10体に対し、3倍の数で説得し、降伏させ懐柔、
最終的には仲間にしようという腹積もりだ。
『頼むぞ、お前達! 同胞10体を仲間にするんだ!』
目の前に出現し、走り去るアスプ達へ向かい、リオネルは念話を送った。
アスプ達が飛ぶように走り去った後……
通路の奥から、石畳を踏み鳴らす重い音が聞こえて来た。
『さあて、じゃあ任された青銅製ゴーレムを倒し、仲間にしますかあ』
ふうと軽く息を吐いたリオネルは、呼吸法を使い、体内魔力を上げ……
現れるであろう、青銅製ゴーレムを待ち構えたのである。
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