第436話「……懐かしいな、水晶」

リオネルは、大きく頷き、「ダン!」と迷宮の床を蹴り、

猛ダッシュしていた。


おお、初めて戦う銀製ゴーレムか!

勢子組が「意識して」追い込んでくれたに違いない!


感謝!


よし!

幸先が良い!


英雄の迷宮で初めてゴーレムと戦ったリオネル。

このフォルミーカ迷宮でも経験を積み、対ゴーレム戦は、もう手慣れたもの。


大きく頷いたリオネル。

まずは、魔力感知のギアを最大限にあげた!


見える!


奴らの頭部に刻まれた魔法文字が!


真理エメット』の魔法文字がはっきりと見える!


納剣していた愛剣スクラマサクスを抜き放ったリオネル。

今度は水の魔力を刀身に宿らせる。


ほぼ同時に、敵を行動不能とするスキル、

『フリーズハイ』レベル補正プラス40を連続で、ゴーレムどもへ放つ。


しっかりと狙いをつけ、魔法剣を振るう為に、『まと』を固定する!


スキルの効能効果発揮の確認も兼ねて。


ずっしいん! ずっしいん! ずっしいん! ずっしいん! ずっしいんん!


『フリーズハイ』のスキルは効力を発揮。


「脱力した」ゴーレム達は、轟音を立てて、迷宮の床に崩れ落ちた。


リオネルは軽快に迷宮の床を蹴り、ゴーレム10体の傍へ。

動けぬゴーレムの額へ、じっくりと狙いを定め……

高圧化した水を放つ魔法剣、水斬剣を振るい、

真理エメット』の魔法文字を削除。


リオネルは、ゴーレムの力の根源を破壊すると、

倒した銀製ゴーレム10体を収納の腕輪に『搬入』し、回収!した。


おお!

ばっちり!

上手く行った!


この調子で行こう!


ゴーレムの捕獲は作業上、属性魔法剣の訓練も兼ねられる。


まあ『真理』の魔法文字を上手く削るのは、風と水がベストだろう。

ティエラ様、パイモン様には申し訳ないけど、

岩弾、火弾だと威力の調整が難しい。

……「やり過ぎる」とゴーレムを破壊してしまうからな。


出来れば、ブレーズ様が使った東方の剣技『居合』も習得したいものだ。

もし居合を習得すれば、魔法剣なしで『真理』の魔法文字を削れそうだもの。


でも、焦らない、焦らない。

習得した魔法剣の熟練度を上げる事も大事。


ということで、自問自答したリオネルは納剣し、再び歩き出した。


一方、勢子組は、リオネルが速攻で銀製のゴーレムを倒した事を知ってか、

大いに張り切っているらしい。


またも念話で連絡が入る。


あるじ! 今度は水晶製のゴーレムを10体発見した!』

『レアゴーレムらしいぞ! 兄貴と一緒に追い込むぜ!』

『リオネル様! おいら、発光して囮になるよ!』


対してリオネルも念話で応える。

まずは銀製のゴーレムを追い込んだ礼を伝える。


『さっきは、ありがとう!』


そして、


『引き続き宜しく! ジャン、無理するなよ!』


と言い、すらっ! と剣を抜き放ったのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


リオネルの索敵……魔力感知でも捕捉していたが、


現れたのは……

初見『水晶製』のゴーレム10体だ。


補足しよう。

水晶とは、石英の無色透明なものを指し、

ロッククリスタル、玻璃はりとも呼ばれる。

アメジスト、シトリン、ローズクォーツなどは、色付きの水晶である。


水晶は浄化作用があり、身につけることで邪気や悪意を払う。

つまり災難を防いでくれる効果がある。

また、能力を引き出すことで自己の成長を促してくれる効果もあるので、

護符として使用される事も多い。


これは良く知られているが、水晶は過去、現在、未来を映し出すと言われ、

『水晶玉』は占術の代名詞的な道具として良く使用される。


ちなみに水晶は、魂、命を宿す宝石であると言われる。

ダイヤモンドには及ばないが、硬度もそこそこある事から、

疑似生命体であるゴーレムにはぴったりの素材ではある。


……懐かしいな、水晶。

冒険者デビュー間もない、駆け出しのころ、

ゴブリン渓谷で他の鉱石とともに、採集した記憶がある。


大きく頷いたリオネル。

魔力感知のギアを最大限にあげた!


見える!


奴らの頭部に刻まれた魔法文字が!


真理エメット』の魔法文字がはっきりと見える!


納剣していた愛剣スクラマサクスを抜き放ったリオネル。

今度は、風の魔力を刀身に宿らせる。


ほぼ同時に、敵を行動不能とする地の魔法、

『大地の束縛』をゴーレムどもへ放つ。


しっかりと狙いをつけ、魔法剣を振るう為に、『まと』を固定する!


ずっしいん! ずっしいん! ずっしいん! ずっしいん! ずっしいんん!


『大地の束縛』の魔法は効力を発揮。


魔法により、身体を縛られたゴーレム達は、轟音を立てて、迷宮の床に崩れ落ちた。


リオネルは軽快に迷宮の床を蹴り、ゴーレム10体の傍へ。

動けぬゴーレムの額へ、じっくりと狙いを定め……

高圧化した風を放つ魔法剣、風斬剣を振るい、

真理エメット』の魔法文字を削除。


リオネルは、ゴーレムの力の根源を破壊すると、

倒した水晶製ゴーレム10体を収納の腕輪に『搬入』し、回収!したのである。

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