第246話「久々の休息へ……」

ワレバットの街へ戻ったリオネル達は、冒険者ギルド本部へ。


無事、ブレーズとゴーチェを送り届け、オプション依頼も含め、

依頼を全て完遂した。


時間は午後2時過ぎ……


ここで帰宅してしまうと二度手間という事、

ブレーズとゴーチェも現場で依頼完遂の確認をして貰い、この場に居る事。

業務担当のエステルも冒険者ラッシュの時間外で、

ちょうど折り合いがついたので同席可能。

という好条件がそろった。


それゆえ、リオネル達は速攻で、今回の公式地図確認の依頼完遂報告と、

報奨金の精算、受け取りをする事となった。


ちなみにリオネルの回復魔法『全快』がさく裂。

溜まっていた疲れも吹き飛び、全員が元気はつらつとなり、

報告へ臨んだのは言うまでもなかった。


依頼完遂報告は全て問題なく受理され……

各自が受け取ったのは、結構な大金となった。


まず本件といえる公式地図確認の依頼完遂に対し、

報奨金が、金貨300枚。

リミットより35日早く完遂した割り増し金がプラス金貨35枚。


ブレーズ、ゴーチェのワレバットの街へ帰還までの同行、

護衛料がふたり合わせて金貨300枚。


トータル金貨635枚が全員へ支払われる分。

一旦、モーリスが預かるが、これは働きに応じて、各自へ分配される。

後ほど、4人で要相談というところだ。


そして、所属登録証に記録された、魔物を倒した討伐料報奨金は……


モーリスへは、金貨180枚、銀貨65枚。

ミリアンには、金貨780枚、銀貨35枚。

カミーユには、金貨660枚、銀貨74枚。


そしてリオネルには、何と、何と!!

賞金首だったルーキーキラーどもの捕縛報奨金が加えられ、

ダントツの金貨3,515枚、銀貨41枚。


……が、個別に支払われたのである。


今回、ほとんどを支援役に徹したモーリスは納得の金額。


ミリアンとカミーユは、初めて手にする大金に狂喜乱舞。

これまでの実績も踏まえ、冒険者ギルドのランクもそれぞれひとつずつアップ。

ミリアンがランク『D』へ、カミーユがランク『E』 となった。


一方、リオネルも大いに喜んでいた。

結果的には、これまでの案件で稼いだ金額と比べても、最高クラス。

6階層より下層で、大物を次々に倒した事。


また、アリスティドのいたずら、

宝箱の罠テレポーターで飛ばされた9階層のぼっち時にも、

数多の魔物を倒した事が、高額の報奨金を受け取れた原因である。


しかし、莫大な報奨金以上に、今回の英雄の迷宮探索で得たものは非常に大きい。


『ボーダーレス』の効果により得た、

全属性魔法使用者オールラウンダーの完全覚醒、

更に全属性魔法の行使を筆頭にして……


英雄アリスティドから授かった失われた未知の古代精霊魔法『転移魔法』に、

破邪魔法の奥義『破邪霊鎧』


必殺の『貫通撃!』『クリティカルヒット』『魔法剣』等々、

数えきれない収穫を得た。


チートスキル『エヴォリューシオ』『見よう見まね』習得に、

勝るとも劣らないくらい大きいかったのだ。


ちなみに、レベルは節目の『レベル20』となり、

身体能力他各スペックも大幅に上昇している。


レベルこそ常人レベルだが、

もはやリオネルは『賢者』以上の『魔人』と言っても過言ではない。


但し、『魔人リオネル』などと呼ばれば、

ダークな暗黒面の響きが増す。

なので、勘弁はして欲しいが……


そしてそして!

冒険者ギルドのランクもアップした。


リオネルは遂に!

一流と謳われるランク『A』となったのだ。

こうなったら、最高峰ランク『S』を目指すのみ!


この成長は自分自身の力だけではない。


多くの人々と邂逅し、支えて貰った結果である。


リオネルは自身もまた、数多の人々をさせようと、

改めて決意したのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


今回は、冒険者ギルド総本部発行の公式地図確認依頼を受け、

『ヘーロースの町』経由で英雄の迷宮に入り、探索し、

ワレバットの街へ戻って来た。


依頼を受けてから2週間ほどの短い期間、いろいろな事があった。

濃密な時間と経験をし、各自が課題をクリアし、大きく成長した気がする。

リオネル、モーリス、ミリアン、カミーユは全員そう感じていた。


今日は自宅において、「俺のおごりで『本打ち上げ会』をやろう!」

という、リオネルの提案により……


今日は店ではなく、市場で様々な料理と飲み物を買い、

持ち帰って、ホームパーティーをする事となった。


飲食店、露店等々を回り、美味そうな料理と飲料を山ほど買い込み、

4人は、馬車で帰宅した。


そして、パーティーは楽しくにぎやかなものとなった。


今日だけは全員がパリピ状態。


近所迷惑にならないよう注意して、大いに楽しんだ。


そして明日から、3日間は休養期間と決めた。


ただリオネルは充電期間と決め、

1日だけゆっくり休み、後は冒険者ギルドの講習を受けたり、

ワレバットの街で買い物をしがてら、必要なものを調達しておく予定だ。


ちなみに、パーティー前、リオネルは魔獣ケルベロスを召喚。

『ほどほどの灰色狼サイズ』になって貰い、正門の内側で番犬役を頼んだ。


ケルベロスが、ただ寝そべって座っているだけで、

大抵のふらちものは、この家を避けてくれるだろう。


その際、ささやかな慰労として、

市場で購入した特大の上級肉を与え、ケルベロスに喜んで貰った。


またアスプ達にもパーティー終了後の夜中、

誰にも知られないよう地下室で収納の腕輪から出し、

彼らにも大きな上級肉を与え、今回の働きに報いたのである。

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