外れスキルの屑と言われ追放された最底辺の俺が大逆襲のリスタート! 最強賢者への道を歩み出す!「頼む、戻ってくれ」と言われても、もう遅い!
東導 号
第1話「と、ある超劣等生」
ソヴァール王国名門魔法使い一家の末っ子に生まれた少年リオネル・ディドロは、
こざっぱりした茶色の短髪、綺麗なとび色の瞳を持つが、顔立ちは平凡な18歳。
背は175㎝とそこそこ高い。
彼は王立魔法学校を卒業したてのまだまだ未熟な魔法使いである。
ついでに言えば、バカがつくくらいひたすら真面目なのだが、大人しく暗~い性格でいわゆる陰キャ、女子には全くもてない。
それゆえ、生まれてから、ず~っと彼女居ない歴18年でもある。
家族は父に兄がふたり。
悲しい事だが、リオネルを兄たちよりも可愛がってくれた優しい母は……
彼が幼い頃、流行り病で亡くなっていた。
リオネルが生きるこの世界には能力やスキルに即した『レベル』が存在する。
魔法や武技等々を学び、深い知識と理解を得た上で実践するか、
もしくは敵や魔物などと、リアルに実戦を積むと経験値を得て、レベルが上がって行くのだ。
そして心で念じると……
己のレベルやその他もろもろを、他者には聞こえない『心の内なる声』が教えてくれる。
この内なる声とは、時には
つまり
現在リオネルのレベルはたった『5』
ちなみに……
魔法学校を首席で卒業する者は、既にレベル『20』を超えている。
トップクラスでレベル『15』以上。
半人前と言われる普通の生徒でもレベル『10』
だから、リオネルのレベル『5』は、成績的にとんでもなく下の下だ。
これが、リオネルの女子にもてない原因のひとつでもあった。
また最大のレベルは『99』と言われているが、これまで99に達した者はこの世界では存在しないと言われている。
リオネルは貴族ではない。
だが、名門魔法使い家の末っ子ゆえ、生徒達の中でも目立っており……
偉大な父や優秀な兄たちに似ず、超が付く劣等生だと、なおさら馬鹿にされていた。
でも、リオネル自身は魔法の勉強自体は好きだし、好奇心も旺盛であった。
自分なりに、一生懸命に努力しているつもりだった。
何故なら、3歳から魔法の修行を始め、18歳になるまでのこの15年間、ろくに休んではいない。
当然、魔法学校では、毎日授業をしっかり受けていて、さぼった事などもない。
だが成績、レベルは全く上がらなかった。
結局は、勉強の為の勉強……
「能力を向上する事」でなく、「勉強する事だけが目的」
つまり「学ぶ事が義務」であり、単に
成績が上がらないリオネルは……
気晴らしとストレス解消も兼ね、
魔法で足らない能力を少しでも補おうと、誰にも内緒で身体を鍛え……
自己流で剣や格闘の鍛錬もしていた。
この世界で魔法使いが持つ4つの属性……地・水・風・火。
リオネルの持つ属性は『風』である。
彼はほんの小さな風の塊をぶつける攻撃魔法の『風弾』
風の圧力を使う防御魔法の『風壁』を身につけていた。
勉強して身体を鍛えてはいても、リオネルには『致命的な弱点』があった。
リオネルの通う魔法学校において、魔物との実戦訓練は各自の任意で行われる。
生徒達は、教官役に騎士、兵士、冒険者などを選任し、雇用。
有償で指導を受けながら戦うのだ。
しかしリオネルは、魔物との実戦訓練はまだ未経験だった。
あまりにも悲惨な学校の成績に実家が呆れ、教官の雇用費用を出して貰えない事もあったが……
致命的な弱点とは……ひたすら真面目ではあるが、
ひどく『怖がりな性格』でもあり、自ら戦う意欲にも欠けていた。
この『意気地のなさ』も、リオネルの成績が、中々アップしない理由のひとつになっていたのである。
さてさて!
今日は……特別な日、『スキル』授与の日だ。
この世界の『スキル』とは、全宇宙を司る絶対神、創世神から授かる『特技』である。
この創世神を信仰する創世神教会が、この世界において最も信仰される『世界宗教』なのである。
スキル授与とは……
一般人の場合は基本的に20歳くらいまでに不定期にて、
『心の内なる声』から告げられて、
『何らかのスキル』をひとつ授かるといわれている。
残念な事に、中には「授からない者も居る」らしい。
一般人より魔力が高い、魔法学校に通う魔法使いの場合、『特別な儀式』が行われる。
卒業と同時に、創世神教会の司祭から、『何らかのスキル』を、
やはり『ひとつだけ』授かるのだ。
リオネルは今日「うきうき」していた。
彼が使う『風弾』『風壁』は威力が小さく、敵を撹乱するくらいしか役に立たない。
それゆえ、これから授かるスキルに、大いに期待していたからだ。
否、期待するというより、己の人生をこのスキル授与に賭けていた。
「そんなのはとても甘い考え方だ」と自分でも分かっている。
しかし……
現状で、どうあがいても先が見えない最底辺の人生を「一発逆転!」する為には、
「素晴らしいスキルをゲットする!」しかないのだ。
もしも役に立つスキルを貰えれば、超劣等生のリオネルも、魔物との実戦経験を積んで少しはレベルアップし、1人前、否、半人前の魔法使いくらいになれるかもしれない。
陰キャで意気地なしのリオネルに対し、級友以外にも口撃は酷かった。
血がつながった肉親の家族でさえ、リオネルを思い切り馬鹿にし、
もしも『何らかのスキル』が『そこそこ』のモノならば……
リオネルの、限りなくゼロに近い無才を嘆く高位魔法使いの父や、超が付くエリートの兄達からバカにされる事もなくなるかも……しれない。
『特別な儀式』によるスキルの授与は……
創世神教会の魔法水晶の中に、授けられたスキルが映り、司祭が確認、
厳かに告げるという形だ。
ちなみに、個人情報保護の為、授与を行う部屋は……
リオネルと司祭とふたりきりである。
スキル授与を告げる司祭は、創世神教会の戒律、王国の法律で……
その個人が与えられたスキルを、他者へ絶対に漏らしてはいけない事となっていた。
但し授けられたら『本人の判断』『自己責任』で、他者へ伝えても構わないことにはなっている。
「ふむ、ふむ。君が、名門魔法使いディドロ家の3男リオネル・ディドロ君だな?」
「は、はい! そうです。俺がリオネルです」
「よし! §〇ΘΨ……」
司祭は言い、専門の言霊を詠唱した。
そして……
「……な、何ぃぃ!!?? こ、これはっっ!!??」
リオネルの授かったスキルを確認しようと、魔法水晶を覗き込んだ司祭は大いに驚いたのである。
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