『虚構の籠の青い鳥』
さくらぎ(仮名)
『虚構の籠の青い鳥』
それをひらいた時には既に誰もが青い鳥で、その目は死んでいる。何が嘘で、何が本当なのか、自分でも分かっていない状況で飛び回る青い空。一歩間違えれば奈落に落ちる。そこからは、底からは、もう、上がって来られない。しかしこれも嘘かもしれない。どこかで泥のようにぬるぬると液状化して、高い崖をどろどろと這い上がってきて、ついには空を飛んで、でも虚構の籠はどこまでも広く、だから自由に飛んでいると思っているのは自分だけで、それも嘘かもしれないし、籠なんて無いかもしれないし、でもそれは少し本当のようで、でも鳥である我々にはどうしようもないほどに干渉のしようがなく、そしてその虚構の籠を作り出したのもまた、我々と同じものであるということも、もはや本当かどうか分からなくなってしまったかもしれない。そしてそれゆえに、青い鳥は平和の象徴とされるのかもしれない。だから、そして、それゆえに、虚構が広がっているのは籠の中だけとは限らないかもしれない。
『虚構の籠の青い鳥』 さくらぎ(仮名) @sakuragi_43
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます