『しあわせ』を紡ぐ

八稜鏡

端書

 戦後六十年。

 まるで戦争が無かったかのように発展した世界で唯一時代を物語ってくれる場所、ヨコハマ。そこは大戦から六十年経っても混迷と戦争の痕跡が残る港街。けれども住んでいる者にとっては、港湾区域と呼ばれる貧民街に近付きさえしなければ、生活のしやすく住みやすい善い街だ。

 この小説はそこで暮らす不器用で凸凹な家族の話。

 そう、これはとある世界の話だ。幾つも交差し存在する世界の内の一つ、異能と争いの無い世界のお話……。

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