第23話

定児が男と話している同時刻。

光の共鳴教教主飯塚稲荷のマンションにあるオフィスの中には沢山の信者が集まっていた。

皆揃って膝立ちをして、合唱のように経文を唱えている。

その中の一人に森野芳太郎がいた。


森野は一心不乱に自分の頭上に手を合わせ、どこを見てるのか定まっていない目付きで、読経に参加していた。



次第に口元の端から泡がブクブクと吹き出し、膝はガクガクと笑い震え、読経の声がブルブルと恐ろしくブレていく。


エクトプラズムのように森野の口から何か白い煙が抜けた、と同時に、彼は白目を剥いて昏倒した。


他の信者も同様に倒れている。


信者達から出た煙は稲荷の元ひとところに集められ、稲荷の体に吸い込まれていった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る