第21話

俺と、先生と、途中から合流した渉流の三人は、日が落ちる前に先生のアパートに到着した。


アパートは綺麗な白い外観で、二階建ての建物。

先生達の部屋は広さ2DKほどであるらしい。



先生に続いて中に入ると、生活感漂うインテリアが目に映る。


「奥の部屋に妹は寝ています」



俺と渉流は顔を見合せ頷きあい、奥の扉を開ける。


ベッドに寝かされている少女がいた。


妹のひもろぎは、ショートカットの髪に、青色のパジャマを着ている。

チェック柄の寝具も、小花柄が散りばめられた室内も、実に年頃の女性らしい雰囲気だ。



おもむろに猪狩が妹のパジャマを脱がせる。



「うわっちょ!先生!」


慌てる俺に動揺せず険しく見つめたままの渉流。



猪狩はひもろぎの喉元から肩までの肌を俺達に見せた。


それは腐敗して灰色や茶や赤黒くに変色している肌だ。

爛れ粘つく糸を引いている。


「く、腐ってる」


ベッドから離れている俺達の距離にまでツンとした臭いが漂ってきた。



「腕の一部と、足の一部もだ。医者もお手上げだ。薬も何も効きゃしない。これは霊障だからね」



「先生、このことは最清寺の人間や真悳神社の人間に知らせていいかい?」


渉流が落ち着き払って聞く。猪狩は頷いた。



「妹はね、私以上の能力者なんだよ。幼い頃からどんな禍々しい妖魔も祓えた強気な娘。妹はあの晩、何かと出会い、そして対決したんだ。恐らく学園長を殺した人間と同じ相手」


「学園長だけじゃないな。この町を恐怖の渦に巻き込んでいる諸悪の根源、だ」


渉流が震えた声の猪狩に被せて返した。



「妹の神力は全て吸いとられている。このまま目覚めないかもしれない。そして置き土産のように残されたこの呪いが、いつか妹の体全体を包むかも……」


「そうならないように、青森神主と金龍和尚にも見てもらいましょう!」


俺も励ますように言った。



猪狩はこちらを見て不安な眼の色で小さく微笑むとこう言った。


「妹が目覚めたら、一体どんな術者と戦ったのか、少しは正体のヒントが知れる筈だよ…………。なあ、ひもろぎ。教えてくれ。おまえはどんなやつに………」


そう言って猪狩は眠る妹の頬を撫で下ろした。

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