エージェントと出会い

第2ミッション 一目惚れした

「ああっ!すみませんんっ!」


 ぶつかった衝撃と共にオレンジ色の液体が俺の足にかかる。氷水の冷たい感触が右足を覆い、地面に氷と黒い粒が散乱する。


「ごめんなさいぃっ!ごめんなさいぃっ!私ったらなんて事を……!」


 泣きそうな顔で謝る女性。年齢は推定20代前半。アジア系の容姿に言語は日本語。身長は5.1フィートくらい。胸囲はあるが全体的に細身の体。


「あっ、あの……本当にごめんなさいぃ……えっと、sorry……」


 俺がずっと黙ったままなので、言語が通じないのかと誤認させてしまった。俺は8ヶ国語話せるので、日本語も分かる。


「大丈夫。特に気にしていない」


 少し安堵した表情を見せる。茶髪のロングヘアーを片方で編み込んでいた。困った顔も良かったが、朗らかな顔はもっと可愛らしかった。


「本当にすみませんでした!あの!お召し物弁償します!」


「安物なので気にしないで……」


「なら、クリーニング代だけでも!」


 彼女が財布を出して日本円を渡そうとする。常に汚れてもいい格好をしている俺には、わざわざクリーニングに出す方がロスタイムになるので断った。


「でも……このままじゃ、こちらの気が済みません!何かお詫びをさせてください!」


「……では、あなたの時間を下さい」


「……へっ?」


 俺は彼女の手を握り、タレ目がちの眼を覗き込んだ。


「俺と付き合ってくれ」


 出会って30秒で告白した。そう、俺は彼女に一目惚れしたのだ。女性の好みなどない俺だが、稲妻に打たれたような感覚に陥り、後先考えず気持ちを伝えていたのだ。


「…………はっ、はい……」


 俺の勢いに押されて了承の返事をする彼女。その時は指定場所への移動中であったため、連絡先の交換をして別れた。


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