美少女の持つ秘密

@sa__sy0730

第1話

「小鳥さん、おはよう」

長いまつ毛に大きな透き通る瞳ーーー

高く細い声の少女は、あくびをし、鳥かごをゆっくりと開けると、小鳥は少女の小さな手のひらの上に乗り、毛ずくろいをした。小鳥と会話するのは、毎朝の癒しだ。

「今日から華のJKになるんだ。 佳那(かな)がそろそろ迎えに来るから急いで支度しないと。 いい子でお留守番しててね! 帰ってきたらたくさんお話きいてね、 ぽこちゃん」

 純白な肌色にふわふわとした茶色の髪は長く、、窓の外から入る光に照らされ、より明るく神々しい。

「姫愛(りあ)! そろそろ時間よ」

「はーい、 今行く!」

階段の下から声をかけたのは、私の大好きなお母さん。今は育休中で妹の面倒を見るので精いっぱいだ。新生児の妹にでさえ嫉妬してしまうことがある。お父さんは、単身赴任で仕事が忙しく、何度か物心つく前に会ったきり。海外出張ばかりだが、私の大好きなお母さんを支えてくれたのは事実なので感謝している。

 鏡の前に立ち、制服に着替える。黒髪ウィッグを付けた後、 色白とした肌には、そばかすを書き、メガネをした。

 その瞬間、小鳥は鳥かごへ真っ先に帰っていった。

 ドアの鐘が鳴り響いたーーー

直後にドアの開く音が聞こえ、階段を上る足音がする

ガチャ

「りあー! おはよう! 相変わらず地味な格好だね」

親友のかなは、とてもいい子で明るく元気なスポーツ万能女子だ。

「かな、 おはよう。 友達出来るか心配だよ……」

 かなは、りあのかばんを持ち、足踏みをしている。

「あたしがいるから、 大丈夫だよ!」

 二人は靴を履き、玄関先で花に水やりをしているりあの母親に「いってきます」と告げ、学校へ向かった。

学校へ向かう途中に、両側に桜並木がずらっと並んだ坂がある。そこを下ると目の前に高校が見える。

二人は、 その坂を桜のシャワーを浴びながら、 期待と緊張を胸にどんな高校生活を送りたいか話しあいながら下った。

 高校へ着くと、 門の横に掲示されているクラス分けの張り紙を見た。 かなと同じクラスだった。

「やった! かなと同じクラス!」

りあは、 無邪気な笑顔でかなを見る

「また、 かわいいかわいいりあの顔を見ながら授業受けられるよ、 嬉しくて泣きそう。」

かなとは、 幼馴染で家が隣なので、幼稚園からずっと一緒だ。

かなは、 自らポケットに入っていたハンカチを手に取り、涙が出てもいないのに拭うそぶりをした。

「もー、 彼氏みたい! 涙出てないし」

 二人は、満面の笑みで笑った。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

美少女の持つ秘密 @sa__sy0730

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る