【必見!プロットを作る際のフォーマットをご紹介】
浅川
「神話の法則」12個のプロット
こんにちは、浅川です。
今回は「小説を書く上で役に立つ知識」というテーマで初めて作品以外の文章をカクヨムに上げていきたいと思います。
その第一回目が(そもそも二回目はあるか分かりませんが)
プロット作りに役立つ!物語の構造「神話の法則」です。
プロット作りにお悩みの方、どうやって書いていいのかいまいち分からないという方が多いと思いますが実は「人が面白いと思う物語」にはある程度、決まった型というのがあります。
それがどういった型なのかを書いていきます。
これを読めばプロット作りをする上でかなり明確な指標を知る事ができるのでそれにお困りの方は是非、最後まで読んでくださいませ。
では本題に入っていきます。
「人の成長を描いている」
小説に限らず漫画、映画でもどんなジャンルでも、少なくとも王道と言われる物語にはこの過程がほぼ間違いなく描かれています。
一応、補足しておきますけどここでいう成長とは「精神的な成長」です。子供から一段階、大人へと成長したと言えば分かりやすいと思いますけど間違っても身長が伸びて大人になったね〜なんていう「身体的な成長」とは解釈しないないでくださいね 笑
ではこの人が「精神的な成長」を遂げる物語を描くにはどんな流れにしていくのが適切か?
それがこれまでとは「異なる環境」へと行く事です。
これは実生活でも言える事です。今までと「同じ環境」にずっと居て、そこでいつもと変わらない日々を過ごしていても人は成長をする事はできませんよね。
つまり・・・、
「日常」→「非日常」へと飛び込む事で、
・今まで行った事がない場所へと行く
・今まで関わった事がない人と出会う
・今まで経験した事がない事を経験する
このような過程を経て己の世界が、視野が広がり人は「精神的な成長」を遂げる事ができるのです。
そのような視点で小説を読んだ時に自作の小説「青い薔薇」でも、
主人公、吉川真里は日常の世界では彼氏の磯村恭一郎と学校へも行かず互いに将来について明確なビジョンを持たないままただ今が楽しければ良いという生活を送っていた時に、
その彼氏の磯村をある日突然、交通事故で失い一気に非日常へと様変わりします。そんなショックで途方に暮れていて最後に磯村と共に過ごした神社へと辿り着き自分も消えたいという強い願望が時空に穴を空けて亜空間へと身を投げ出されます。
そしてタイムマシンに乗った未来人、結城凛に保護されて磯村の死という歴史を修正するべく過去へと遡り磯村を救うという行動に移します。
彼氏と何気ない日々を過ごした日常から、
彼氏の死に直面して、時空の外へと投げ出されて、タイムマシンに乗った未来人との遭遇、過去へと遡り彼氏の死という歴史を修正する・・・。
この小説を読んだ事がない人でもこれだけの非日常要素を経験して、乗り越えれば何かしらの精神的な成長は遂げるだろうとはわかるのではないでしょうか?
現に作中で彼氏は「なんか変わったね真里、目標でもできたの?」というセリフを言います。これはそんな背景を知らないから漏れる一言だと思いますが、いつもと違う印象を抱くという事は何かしらの「変化」を遂げたのは間違いありません。
このような事から繰り返し言いますが、
「精神的な成長、または変化」をするには・・・、
日常の世界から→非日常の世界へと「行く」ことが先ず条件になります。
そして非日常の世界へと行き、そこで様々な経験をした後にその成長、変化を登場人物が実感するためにはまた、
日常の世界へと「戻ってくる」事も必要になってくるのです。
まだ成長する前の場所へと再び戻ってくる事であの頃を振り返り、
「あぁ〜自分ってあの頃と比べて成長したな〜」と感じるわけですね。
例えば今度は誰もが知っているであろう作品を例にすると、
スラムダンクの桜木花道の「天才ですから」という有名なセリフ。
このセリフ、当初は問題児が何の根拠もなく偉そうに言っているようにしか聞こえなかったですがまさにラストの「天才ですから」はどうでしょうか?
全然、違った響きとして聞こえてきますよね。
ここでも桜木花道は一旦、腰を痛めてバスケットボールの世界から身を退いてリハビリ生活をする事になる、という事はここでもその「日常の世界」へと戻ってきたことを意味します。
そこで放たれたあの一言に桜木花道の成長が凝縮されているのではないでしょうか?
日常の世界から非日常の世界へと「行く」そしてまた日常の世界へと
「戻ってくる」
そこで出発した頃の自分と比べて成長を実感する、これがある意味、お決まりと言える一つの流れになります。
(ちなみに最初に例を挙げた「青い薔薇」では残念ながら主人公はそこまで成長を実感したとは言えないラストだったのでここでは取り上げませんでしたw)
ではその基本的な流れが分かったところで、ここからはもっと細かく「物語の構成要素」というのをみていきましょう。
この流れを「三幕構成」で分けます。
Aパート(日常から非日常へ)
このパートでは5つの要素が含まれます。
1.日常の世界 2.冒険への
5.第一関門突破
この流れが「日常から非日常へ」と向かう大まかな流れになります。
簡単に説明すると・・・。
1.日常の世界
主人公の日常が描かれます。ここでの主人公はもちろんまだ成長を遂げていない主人公です。ただこの部分が長すぎるとお客さんが飽きる可能性があるのでけっこう短めにしている場合が主に映画では多いようです。
2.冒険への
この冒険とは「非日常」を指します。普通の生活をしていた主人公にある日、突然なにかをきっかけにその「非日常」への誘いが舞い込みます。
3.冒険への拒絶
とはいえその誘いを無条件で簡単に承諾するのも何だか人間の心理として納得いかない場合もあるので主人公は一旦それを拒否します。理由は様々で主人公が臆病者で怖がったり、或いは周りからやめておけと止められたりと、そんなシーンは言われてみれば思い浮かぶ人もいるのではないでしょうか?
4.賢者との出会い
そんな中でこの賢者に該当するような人物と出会う事で最後は「よし、じゃあ冒険に出よう」となります。
5.第一関門突破
つまり最初の物語が始まりを告げる条件が満たされたという事で第一関門突破です。賢者というのはRPGゲームであれば村の長老であったり、学者というような人物ではないでしょうかね?その知識人が最初に向かうべき場所を提示してくれたり、非日常の誘いに対して「これは世界が破滅する前兆かもしれん」と今すぐ行動しなければいけない事件だと分かり主人公がならやるしかないと決意するなど。
ここまでがAパートになります。
Bパート(非日常の世界での試練)
6.試練、仲間、敵対者 7.最も危険な場所への接近 8.最大の試練
9.報酬
6.試練、仲間、敵対者
非日常の世界へと向かった主人公はそこで新しい仲間との出会いや敵と言える人と出会ったり、新しい試練が立ちはだかりそれを乗り越えます。この仲間との出会い、敵との遭遇、新たな試練というのは成長を遂げるのに欠かせない全ての要素が含まれているのでここの部分が一番ボリュームが多くなると言われています。この過程で徐々に精神的、変化、成長が描かれます。
7.最もな危険な場所への接近
ここでいう最もな危険な場所とはやはりラスボスが待ち構える城などへ入ろうとする直前です。
8.最大の試練
ラスボスである以上はここまでの試練の中で最大という事になります。
9.報酬
そのラスボスに打ち勝ち報酬を得ます。ここでの報酬は何かしらの外部からの報酬です。ラスボスに勝って使い方を間違えると恐ろしい秘宝を取り戻したや仲間との絆がより一層深まった、最初は敵だった者がここにきていつの間にかラスボスと共闘して仲間になっており信頼関係が生まれたなど。「外部」からというのにも理由がありまして最終的な内面、精神面での成長はラストで感じる事にした方がいいので、ここでは外部からという表記を敢えて使っています。
ここまでがBパートになります。いよいよラストです。
Cパート(非日常から日常へ)
10.帰路 11.再生 12.帰還
10.帰路
さぁ、目的も達成してやっと帰れる〜と誰もが思っている事でしょう。が、物語をたくさん読んできた、観てきた方なら察しがつくと思いますがこのままで終わるはずがありません。ここで一旦、安心させておいてもう一山、物語は動きます。例えばその帰る途中にお城が崩れようとして一刻も早い脱出が求められる、倒したはずのラスボスがまだ生きていて追っかけてきた!など。
11.再生
再び危機にさらされた仲間たち、逃げる途中で道が崩れてしまい一番後ろに居た主人公だけが取り残されてしまった!
「お前たちだけでも行けー!」「○○(主人公の名前)ー!!」とヒロインの叫びに「もうダメだ行くぞ!」とここまで主人公の相棒的な存在が無理やり連れて行く。
そこには一対一で対峙する主人公とラスボス・・・「さぁ決着だ」
12. 帰還
崩れゆくラストダンジョン、ここで主人公はラスボスと共に死んでしまったのだろうか?と思わせますが王道RPGであればもちろん主人公は笑顔で手を振りながら、傷を負いながらでも帰還してきます。最後はRPGで例えましたがこのような流れのRPGであれば「空の軌跡・セカンド」ですかね。知っている方であれば確かに!と思うはずです。
一度は死にかけた主人公、しかし無事にその死の淵から再生を果たした事によって日常へと帰って行きましたとさ。このような流れでまた序盤のように日常風景が流れた時に登場人物たちは凛々しい顔つきとなっており、それをみるだけで何か内面が充実したものに観る側、読む側もなっているのではないでしょうか。
一言に成長といってもそれは何も言葉に表すことは必ずしもないと思うのです。そんな「あぁ〜帰ってきたんだな」と思うだけでも良い気がします。
はい、という事でこれが三幕構成、12個のプロットということになります。これはどんなに時代が変わっても人間が人間である以上はこれからもこのような要素が含まれた物語に感動する事は変わりがないであろうというくらい普遍的なものだと言われています。
この流れに沿って物語を書けばある程度は人々が興味をそそられる、共感を得られるものが書けるはずですが、これはあくまで知識、簡単な指標ですのでこれをどう生かして中身をカスタマイズしていくかは本人のセンスが問われます。ましてや例に挙げた流れなどあまりにも聞き慣れている、飽きたと言っても良い流れで新鮮味は何もなかったと思いますし。
そんな分かりやすく説明するのを重視するあまり、かなり単純な例えになってしまったので最後にこれを意識して初めて書いた自身の小説があるのでこれを元にどんな流れになっているのかその具体例を提示したいと思います。
と、その前にまとめましょう。
・物語の基本は「日常」の世界から「非日常」の世界へと行き、
またそこから帰って来る事。
住み慣れた世界から離れて未知の領域へと足を踏れる事で、そこで様々な出会い、試練を経験して、乗り越えて精神的成長をして、またそこから元いた世界に帰ってくることでその成長を実感する事ができる。
・そこまでの構成要素は12個のプロットによって成り立っている。
これはハリウッド映画の脚本を書く時にも用いられているものなのですが、わたくしがこれを知ったきっかけというのがオンライン講座で「人をひきつける文章の書き方」とか「お客さんが商品を買いたくなる文章」といったものを学ぶ際に教えてくれたものなんです。そういった文章を書くならストーリーを織り交ぜるのが良いという発想らしいです。
要は主にビジネスで役に立つということで浸透している知識らしいのですが、これってそんな人達よりも食いつくのってまさに小説や脚本を書いている人達じゃないの!?と思ったわけですよ。
そこでもしかしたらそんな人たちには向けて発信はあまりされていない?と思いこうして小説投稿サイトにもシェアした次第ですが、自分の言葉に直して伝える事によってより自身の体にも染みつくかなと思ったので自分なりの表現に直しました。
是非これを参考にして皆さんも小説を書いてみてはどうでしょうか?
では以上になります、最後までお読みいただきありがとうございました。
・おまけ(最新作でもある「超能力者〜点在〜」第一話は初めてこのプロットの一部を意識して書きました)
1.日常の世界
主人公の中学生、三橋茂は今日も変わらず興味があまり無さそうに授業を受けている。本日最後の授業中、時計をじっと見ながら早く授業が終わって欲しい一心で「チャイムよ鳴れ〜」と念じると・・・(ここはほとんど描かず次へと移りました)
2.冒険への誘い
「キンコーンカーンコーン」なんとまだ終了時間でもないのにチャイムが鳴ってしまった。唖然とする三橋・・・。この時、自分がそう念じたタイミングと一致したことからまさかと思ってしまう。次の日、また昨日と同じ時間。三橋は今度は別の事を試してみようと思い立つ。それはある生徒の胸ポケットにしまってある携帯電話を意識して・・・。授業中にけたたましくなる携帯電話、それにより教師よりこっぴどく叱れる生徒。三橋はほぼ確信してしまう。自分にはある「力」があるかもしれないと。
3.冒険への拒絶
そんな「力」があるかもしれないと思うも三橋は恥をかかせてしまった生徒の姿も目に焼き付いており罪悪感から一旦、それを忘れようとする。テスト期間も近いという事もありそれに向けた勉強に没頭した。それが実を結び夏休み前の期末テストではなかなかの成績をおさめる。が、その勉強も一旦、終わり夏休みに入るとなるとまた気になり始めたあの力・・・。
4.賢者の出会い
この作品ではその人物は出てきませんが、再びこの「力」が本物なのかと色々と頭を使って試していきます。同じように携帯電話を鳴らせた、なら今度はどのくらいの「距離」なら有効なのか?テレビの前では無理そうだ、ならベランダから臨む事ができる小学校・・・その距離ならチャイムを鳴らす事ができた。
5.第一関門突破
三橋はこの能力を「完全」に自覚する。
そこからは三橋はこの能力を主に人を驚かせたり、怖がしたりする事に使いますがそれで思った以上に周りに迷惑をかけていると反省して、最後は人を笑顔にさせる事に使ってちょっと精神的に成長して幕を閉じます。
このようにこの短編小説は主にこのプロットのAパートを意識して書いたという事になります。
もしもこの続きを書くのであればお次は「新しい超能力者」が現れて、新たな展開になると予想されます。それは仲間なのか敵なのか?
その超能力を使ったバトルが繰り広げられるのならまさに「現代ファンタジー」舞台は現代の日本ながらファンタジー要素もある「ペルソナ」のような物語になるかもしれませんね。この小説を読んでくれたフォロワーさんが「この続きを読みたかった」という感想を言ってくれたのですが、これはまだ三幕構成のAパートであったからとも言えるでしょう。
ご興味ある方はさらにその仔細な表現に目を通してみてくださいませ。
今、個人的に思うのはこの全てのプロットを使う必要はないと思いますし、ちょっとこの先、どうしようかな〜と行き詰まった時に自分の書いている小説は今、どのあたりだろうと意識した上でこの構成要素を見れば、次の良い展開が思いついたなど、そのような使い方が良いのかなと思います。
この知識はクリストファー・ボグラー著
「神話の法則」ライターズ・ジャーニーという本に記載されているものを元に広まっているらしいですので買ってみようかなと考え中ですが、高い・・・!
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