ダルのこと・その2

 あまりダルについては話すこともないかなという気がしないでもないのですが、とりあえずその2です。


「相変わらずひどいなあ」


 と、また同じように頭をかいてますが、終わらせようと思ったら「いい子」の一言で終わってしまいそうなんですよね、ダル。

 なので、もうちょっと背景なんぞを説明しておきます。


 ダルは三兄弟の末っ子ですが、上の二人とは少しだけ年が離れています。

 長兄とは7つ、次兄とは6つ、つまり上の二人は年子です。


 ダルだけ年が離れたのは、単純にできなかったからですが、もう一人女の子がほしいなと思っていた両親はすごく喜び、そして生まれた時にはちょっとだけがっかりしました。


 妊娠中の母ナスタの顔を見て、


「上の子たちとは顔つきが違うからきっと女の子だよ」


 と、みんなも言うし、母自身もちょっと今までとは違うようだなと思ったので、きっと女の子と余計に思ってしまったんですね。


 ですが、生まれてきたら男女関係なく大事な子。

 特にダルは小さい頃、少しだけ体が丈夫ではなく、すぐ熱を出したりもしていたので、仕事で忙しい両親の代わりに祖母のディナがつきっきりのような形になり、おばあちゃんっ子に育ちました。

 そして漁師の息子たちと荒っぽく遊ぶより、もう少しだけ控えめに女の子たちと遊ぶ方が好きでした。といっても、漁師の娘たちも結構元気なので、追いかけ回されて泣かされたりもしてましたが。


 そういう時にかばってくれてたのがアミです。

 その頃からダルはずっとアミが好きで、アミはアミで「自分がついててやらなきゃ」とますますしっかり、本人たち以外はみんな見てて二人の想いを知っているのですが、二人共全く動く気配がないもので、じれったく見守っていました。


 年の離れた二人の兄への憧れ、しっかり者のアミへの憧れ、両方を持ちながら元が生真面目なダル、一生懸命努力はするのですが、なんとなく何をやっても自信がない。そこへ現れたのがトーヤでした。そしてダルの運命はすっかり変わっていったのでした。


 トーヤたちが村に来た時、ルギは兄たちの部屋、トーヤはダルの一人部屋に泊まっていましたが、それだけ年の差があるので自然と部屋がそういう形に分かれていたというわけです。


 そうそう、ダルの兄たちの名前を決めていなかったんですが、ここでついでに発表しておきます。先日、車を運転しながらなんとなく浮かんだ名前がよかったもので。


 長兄がダナン、次兄がダリオ、そして末っ子がダルとダで始まる名前でまとめました。

 これから三兄弟揃ってお見知りおきを。

 

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