L氏と「ポニーテールの彼女」

 短編集「小椋夏己のア・ラ・カルト」の記念すべき? 10本目の作品である「ポニーテールの彼女」ですが、後書きにもあるように事実を下敷きにしたフィクションです。


 私が初めて遊んだオンラインゲームで、作中の「ベオウルフ」こと腐れ縁の友人L氏と知り合いになりました。


 出会いはナンパです。

 私がL氏にナンパされました。


 当時、何かのクエストをクリアするのに合成した薬か何かが必要になり、仲間でちょうど条件が合ったのが私だけだったので転職してその職に就きました。


 その格好でたまり場でうろうろしてたら、知らないおじさんが、


「すみませんが合成お願いできませんか」


 と声をかけてきたので、心優しい私は、


「いいですよ」


 と作ってあげました。


 それがL氏との因縁の出会いでした。

 

 元々オンラインゲームが何たるかも知らない内に他の仲間たちとも一緒に始めたんですが、面白くてかなりハマってました。

 その元の仲間があるサイトで知り合った、たまたま関西の近場の人たちだったので、さらにそこに同じ関西の人も参加して、大阪、京都、神戸あたりでオフ会をやるようになりました。

 そしてマナさんこと、仮にポニテの「Pさん」としておきますが、この方も関西の男性で、一緒に遊ぶようになりました。お相撲さんではなく普通の会社員の方でしたが。


 そのPさんのキャラがポニーテールになっていた頃、ちょうどどこかで集まって遊んでたら他の仲間が「Pさんポニテ」と。


 なんのこっちゃと見てみたら、Pさん、短い髪を首の後ろでちょろんと輪ゴムで結んで、


「ポニテ~」


 とやってたのでうけたうけた。


 その後、L氏とゲーム内で話している時に私が、


「Pさんポニテだった」


 と言ったところ、顔色変えて(チャットなので見てないけど)食いつく食いつく。


 そうしてL氏は作中のように、深夜バスで遠路はるばる関西まで遠征してくることになりました。


 私たちは、


「L氏がPさんのことをポニテの女の子と思っているよ」

「それは本当のことを知らせてがっかりさせてはいけないね」

「そうだね、オフ会まで黙ってあげようね」


 と暖かく見守り、ついにL氏がPさんと出会った時の顔を私は生涯忘れることはできないでしょう。


られる……」


 なんとか生き延びて今日の日を迎えられたのは幸運としか言いようがありません。


 このL氏に、私が執筆活動をしていることをうっかり知られてしまったので、もうネタにしてやろうと書いてもいいか聞いたところ、


「女性関係のことは前もって見せること」


 との条件付きでOKをいただけたので、無事に作品化できました。


 他のも書いていいとは言われていますが、あまりお日さまの下に出せる話はない――

 おや、誰か来たようだ。

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