ミーヤのこと・その3
今回はミーヤの背景、生い立ちとか、どうして宮に来たかとか、そういうことを語ろうと思います。
どこから来たか分からないお嬢さんですが、しっかりとどういう子かの設定はしてありますので、ちょっと語りたくなっています。
ミーヤの出身地はリュセルスから馬車で5日ほどかかる山の中の村です。ですが、生まれたのはそこから馬で半日ほどの距離にある、もう少し大きい町でした。
ミーヤのお母さんは職人であるおじいさんとその奥さんのおばあさんの一人娘で、その村で生まれ育ちましたが、おじいさんの仕事関係で町に来ることがあり、そこで同じ職人であるお父さんと知り合い、結婚してその町に住むようになりました。
そのうちにミーヤが生まれ、親子3人で幸せに暮らしていたのですが、ある年、町で疫病が流行り、その時に幼いミーヤをおじいさんの家に預けて避難させていたところ、残念ながらお父さんとお母さんはその病で亡くなってしまいました。
これがミーヤが2歳の時ですが、2歳違いのトーヤが4歳でお母さんを亡くしていますので、同じ年ということになります。
それからおじいさんの家で一緒に暮らしていましたが、今度は6歳の時におばあさんが病で亡くなり、それからはおじいさんと二人暮しになりました。
村には小さな神殿があり、そこでは神様を祀るだけではなく、幼い子どもに勉強を教えたり、大人の相談相手になったり、村の人たちの憩いの場ともなっています。
幼いミーヤはおじいさんが仕事で神殿に行った時にも付いていったりしていて、そこの雰囲気がとても好きになり、自分からすすんで神殿のお手伝いをするようになりました。
そしてミーヤが8歳の時、シャンタル神殿から侍女の募集があり、その条件が、
「神殿の手伝いをよくしている10歳以下の女の子」
であったところから、神殿の神官様に応募するようにすすめられました。
実はミーヤは本当は宮の侍女になれるなど、ほとんど思っていませんでした。
ですが、何かの時に神官様が話をしてくれるシャンタル神殿を一度見てみたいとの思いが強く、半分以上は物見遊山ぐらいの気持ちで王都に行ったところ、100名ほどの応募者がいた中の5名に残り、侍女としてシャンタル宮に仕えることになります。
「私みたいにいなかから来た女の子が通るはずがないもの、王都とシャンタル宮を見学してこよう」
そんな、遠足みたいな気持ちの方が大きかったもので、実際に合格し、もう村に戻れないのだと知った時には本当にさびしくてさびしくて、断って村に戻りたいとも思いました。
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