勇者パーティーに追放された
海鮮かまぼこ
役立たずと言われ追放された
「お前はこのパーティーを抜けろ」
僕が所属するパーティーのリーダーに呼び出された僕に待っていたのは、その一言だった。薄々気付いていた。僕以外のみんなは、昔からの縁なのだ。新参者の僕はみんなとの連携も上手くとれず、それに僕の職業「探鉱者」は近くにある金属を感知する能力があるが、これは金属の武器を持っている敵への索敵くらいしかできない。ダンジョンの敵はほとんどが素手だったり、木製の杖で魔法を使うので、僕は役立たず、雑魚と陰で言われていた。それでも前衛で戦ったり、後衛で弓で射ったりと、様々な工夫をしてきた。しかし、前衛に立てばリーダーの邪魔になり、後衛で弓を射ったらクソエイムすぎて味方に当ててしまった事もある。あまりにも役立たずすぎて、そろそろ辞表を提出しようと思っていたので、この言葉はむしろ好都合だった。
「そっか、ちょうどよかった」
そう言って辞表を提出すると、リーダーは少し驚いたような顔をしたが、すぐに冷徹な顔になると
「荷物をまとめてすぐに出て行け」
と言い切った。お世話になりました、とだけ言って部屋を出ると、あらかじめまとめておいた荷物を持ってパーティーハウスを出ていった。ギルドでクエストの受注をすると、目標の山へ向かった。ここの山肌に露出している鉄を回収してこいという内容の依頼で、探鉱者限定のクエストだ。こういう職業で限定されているクエストは報酬が多めに貰えるので、金稼ぎにはもってこいなのだ。そして鉄を回収していた僕だが、近くにスライムが出現したのでそちらを優先した。パーティーにいた頃使っていた剣で応戦した僕は、次の瞬間、地面に叩きつけられていた。そして、意識は無くなった。魂になって死体を見下ろすと、僕は思った。本当に僕は、役立たずで雑魚だったなあ。
その後、勇者パーティーは僕が抜けたことでスムーズに戦えるようになり、そして国でも有名な人気者になった。そして、みんな僕を覚えていない。
勇者パーティーに追放された 海鮮かまぼこ @Kaisen-kamaboko
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