第3話

俺の幼馴染でもあり、兄貴シンヤの幼馴染でもあるユナは泣いていた。男女がこれから事に及ぼうとしてる

場面をモロに見ちまったから。


「私が彼女なのに...」


「あなた、誰??」


ユナはシンヤの彼女である筈なのに。


兄貴の部屋には、

ユナの知らない別の女がいた。


だからこそ、ユナはあなた、誰?

と問いかけたのだ。


俺とシンヤと同じ高校に通い、

更に同じ学年。


更に更に、美少女な女がいた。


学校一の美貌を誇る女で。

マドンナと呼称されていた。


彼女の名前は林ユーコ。


男子からモテモテで。


いい気になっている節があった。


他の男子どもは林ユーコにメロメロになっていたが、

俺は目の前で兄貴と向かい合ってベッドの上に座り込んでいて。


ほぼ半裸でいる林ユーコが大嫌いだった。


何故かって。


それはな。


「やだ!馬鹿じゃない?

私がシンヤくんの彼女なのに、って、勝手に思ってただけで」


「私が、シンヤくんの大本命なのよ?」


「そんな...」


ユナは泣き崩れ、膝から落ちた。


手には茶色い紙袋持っていたんだけど。


しかもな、その紙袋のなかにはな、

ユナ手作りのワンホールのチョコレートケーキが入ってて。


今。

落としたことで。


折角のケーキがちょっと崩れたかも

しれなかった。





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