サド
レックス・ジャック
1
男はシャベルで女を首まで鶏糞で埋める。
鶏糞、牛糞、豚糞。
あらかじめ三種類の肥料をちゃんと用意していたが、
男はあえて一番臭い鶏糞を選んだ。
無数の蠅どもが群がる。
とにかくもう鼻が曲がるような臭さだ。
男はにやりと笑った。
彼はサドだ。
変態だ。
残酷さのなかに快楽を感じるド変態男だ。
無抵抗の女に対して、容赦なく男はシャベルで女を首まで鶏糞で埋める。
「もう許して、ここから出して!」と女がしびれを切らしていう。「あまりにも臭くて息もできないわ」
「ものすごい大金を現金でくれたら出してやる」と男はからかって答える。
そして、女のからだを掘り出しにかかるができない。
鶏糞がまるで沼みたいなのだ。
人食い沼にかわってしまったのである。
「ねえ、冗談はよして。ここから出してよぉ」女はあえぎながらいう。
「ちょっと待ってろ、いま助けてやる」と男がいうが、
鶏糞がぴちゃっと女の顔にかかった。
「助けて、助けて」と女は取り乱して断末魔の悲鳴をあげた。
まったく人気のない家畜小屋の畑。
いまにも殺人鬼が現れそうな場所だ。
うっそうと生い茂る牧草と樹木の間に、
夏至らしい透き通った赤と青の対比色。
雲ひとつないブルーモーメントの夕暮れだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます