「「「奴は四天王の中でも最強」」」;奴より強い勇者攻略
漆葉
プロローグ
第1話 奴は四天王の中でも最強!
いつぞやの、どこぞの会堂にて、三名の者が集い、卓についていた。
「魔王アーザが聖剣の勇者にやられたらしい」
屈強で巨大な肉体と、赤く鋭い目を持つ獣のような者が呟いた。
「うふふ…、四天王の面汚しだよねえ。あんな、剣に選ばれただけの人間に負けちゃうなんて」
褐色の肌と真っ白な髪で、作り物のよう人影が笑った。
「ケケッ、とはいえ勇者一行も手負…アーザ殿も無様に負けたが、無駄ではなかったぞ」
フードの内に影を落として顔を隠し、しわがれた老人の声がくぐもった。
「クク、とはいえ…問題だ」
「うん、問題ねえ」
「ケケケ、大問題ぞ! なにせ――」
「「「奴は四天王の中でも最強」」」
「だからな」「だもんねえ」「ですぞ!」
と、三名は互いに目も合わせぬままに言い合った。
――さて、
四天王と呼ばれる巨悪が人類を支配する遠いどこかの世界のこと。
最強の魔族である魔王アーザが人類との戦いに破れ、四天王は残り三名となってしまった。
武王 バリィ
法王 ダーラウ
三名はともに、自身の実力も、領分も、その配下たちの実力も、魔王のそれに劣っていた。ただの人間や有象無象の魑魅魍魎よりは遥かに強いから、という理由で、魔王に目を付けられて、四天王に数えられていたのである。世界のほぼ全てが四天王陣営が手中に収められたあとでも、魔王だけが別格であった。そんな四天王が、最大の勢力である魔王勢力を失ってしまったことで、残りの王たちは珍しく自主的に参集した。
彼らに対するは、魔を討ち祓い、勇なき者を拒絶する兵器・聖剣に選ばれし、人類の最後の希望、『勇者』。
すでに勇者は魔王を討ち、残るは三王と彼らの眷属のみとなり、魔族勢力は全盛期の半分にまで落ちた……それでも三人寄れば、はたして勇者に勝てるのか?
今まで寄ったことの無い三王にはそんなこと、分かりはしなかった。
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