送られてきたバースデーカードが呪われていたようで、強制的にデスゲームに参加させられます。
西羽咲 花月
第1章
梅雨が明けて数日経過した、7月1日。
日差しの柔らかさは鳴りをひそめ、本格的に夏が訪れる気配があった。
空はとても青く、白い雲が心地よさそうに泳いでいるように見える。
そうだ、今年の夏は仲間と海でも行こうかな。
新しい水着を買って、透通る海で泳げたら最高じゃん!
……和樹も誘ってみようかな。
一緒に行ってくれるかなぁ海……。
明後日から始まる期末テストのことなんてほとんど頭になかった。
あるのはその次にやってくる夏休みのことばかり。
楽しい休みを想像して思わずニヤけてきたとき、自宅が見てきた。
灰色の壁に黒っぽい屋根が乗っかっている一軒家があたしの家。
「ただいま」
声をかけながら玄関を開けた時、たたきにハガキが一枚落ちていることに気がついた。
ドアにそなえつけのポストならなにか投げ込まれたみたいだ。
あたしは靴を脱ぐ前にそれを拾って確認した。
宛名は水野結子(ミズノ ユイコ)。
「あたし宛ての手紙?」
あたしは首をかしげて呟き、靴を脱いで玄関を上がった。
「おかえり~」
リビングからお母さんの声が聞こえてくる。
あたしは「うん」と返事をして、そのまま二階の自室へと向かった。
二階の一番奥の部屋があたしの部屋になっている。
部屋に入り、お気に入りのベッドに腰を下ろしてハガキを確認する。
《7月2日に誕生日会を開催いたします。
つきましては7月2日の夜12時に学校に集合してください》
それだけ書かれたハガキにあたしは瞬きをする。
ハガキ自体はバースデーカードのようにカラフルなペンで書かれている。
しかし、差出人の名前も住所も書かれていないのだ。
それに夜の12時に学校集合というのはどう考えてもおかしい。
明日が誕生日なら、放課後集まれるようにすればいいのに。
だいたい、夜12時に学校へ行ったって校舎に入れるとも思えない。
きっと誰かのイタズラだろう。
あたしはそう判断してハガキを部屋のゴミ箱に投げ捨てたのだった。
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