手紙
バブみ道日丿宮組
お題:熱い光 制限時間:15分
手紙
この手紙を君が読んでる時、僕はもう国境を超えて、遥か彼方に離れてるだろう。
ずっと一緒にいるって約束したけれど、ごめんなさい。
僕はやっぱり一緒にいられない。
もちろん、君のことは好きだし、離れたくはない。いつまでも側にいたい。お腹の子だって君を父親として迎えたいと思うだろう。
だけど、けれど、でもね。
立派な人ほど、近くにいると眩しくて、周りの人間は地の底に落ちそうになるんだ。
比較なんてすることないよと君はいうだろう。一緒に生きてくことに必要はないだろうともね。
わかってる。
でも、人間は比較する動物なんだ。
生まれるこの子は当然君と比べられる。優秀な君の子どもはさぞ優秀なのだろうとね。
そうして色んな人に注目されるだろう。
そして憎しみを僕に向けてくるだろう。
この子の親がこいつか、気持ち悪いな。
そんなふうに思うはずだ。
僕にはそれが耐えきれる自信はない。
子どもよりも先にだめになるだろうね。
君に迷惑をかけるわけにはいかない。
だから、この子はひっそりと外の世界で育てて生きます。
ずっと遠くに僕の血筋……銀髪の人間ばかりいる国があるらしい。
僕はそこに行きます。
君は追いかけてこようとするかもしれない。
それは君らしくないよ。
いつか。
いつか僕の気持ちが変わったり、子どもが父親に会いたくなったら戻るかもしれないし、戻らないかもしれない。
僕はまだまだ子どもで精神が不安定なんだ。
こうやって外に出たというのに、戻りたい気持ちも強くなってる。
すごくいい加減だ。
自分でもよくわからなくなってくるよ。
でも、もうやってしまった。決めてしまったんだ。
だから、泣かないでください。
僕は君の中で生き続ける。
僕も君を想って生き続ける。
それでいいんだ。
だから、さようなら。僕の大切な人。
手紙 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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