第152話 出した答え

 時刻は20時前。


 酒場が最も賑わっていそうな時間帯にハンファレストへ戻った俺達は、すぐに1階の状況を確認した。



(やっぱりロビーはダメだな)



 深夜でもない限り、ロビーには身形の良い商人然とした者達が情報交換をしていることが多い。


 注文すれば1階のレストランから飲み物も提供されているため、この時間帯は現代のバーに近い、高級で静かな酒場の雰囲気になってしまっている。


(ウィルズさんは―――よし)


 横目でロビーを確認後、カウンター横で目を光らせている支配人ウィルズさんの下へと向かう。


 後ろに控える男達を把握しているのか、ウィルズさんも言葉を発さずにこちらの様子を窺うのみ。


「こんばんはウィルズさん。急ですみませんが、4階のアノ部屋は空いていますか? 宿泊者が既にいるようでしたら、向かいの部屋でもいいのですが」


「大丈夫ですよ。本日はまだ空いております」


「それは良かった。宿泊は2名で、食事はもう摂ったので朝食だけで結構です。もちろん料金は正規の値段で構いません。それでこちらの3名を部屋に入れても大丈夫ですか? 内密な話があるようでして」


「……承知致しました。一時的な入室であれば構いません」


「ありがとうございます。では行きましょうか」


「「「「……」」」」


 勝手は分かっているので、鍵だけ受け取り階段を上る。


 相手側からの勧誘行為で、わざわざ俺が40万ビーケも払って最上階の部屋を取るなんてバカらしい話だ。


 しかし、これも今後を考えれば止むを得ないことだろう。


 開口一番に「お断りします」というのは簡単で、その程度であればあのステーキ屋でもできたこと。


 だがヤーゴフさんからの情報を考えると、異世界人を抱え込みたいという各国の願望は相当強いように感じた。


 ただただその場で「ごめんなさい」「無理です」と躱し続けても簡単に諦めるとは思えず、あの手この手と接触を図ってくることは想像に難くないし、それが俺の面倒だけで済まずに周りへ波及する可能性も出てくる。


 だったら今回の一度で、完全に諦めてもらうくらいの意気込みで臨んだ方がマシだろう。


 とりあえずこのレベルの部屋を躊躇無く取ると思わせておけば、今後金をチラつかせた勧誘は意味が薄いと理解もさせられるはずだ。



 目的の部屋に付き、リステといた時には使うことのなかった3人掛け程度のソファに腰掛け、ローテーブルを挟んだ向かいのソファーへ3人を誘導する。


 リルはリルで俺の横に座ろうとしてくるが、このような状況になるとリルの存在はマイナスにしかならない。


 思わず手で制止したのち、向かいの3人に話し掛ける。


「彼女は同席させなくてもいいですか? 別に部屋を取っているので、そこで待たせておきたいのですが」


「……失礼ですが、私達の目的はあなたではなく彼女なのです。彼女だけを残すなら分かりますが、逆ということでは意味が無くなってしまいますな」


「部屋を出たと思いきや、この町から出てしまうことも考えられますしね。せめてこの部屋にはいていただかないと」


 でしょうね。


 異世界人を自国に引き入れたいのに、狙っている当の本人がいないんじゃ何の意味も無い。


 でもこれで、俺の提案も通り易くなるだろう。


「分かりました。では、リル。奥のベッドで布団でも被ってて」


「あ、あぁ分かった……」


「「「……」」」


 俺も含めた男達がリルの姿を目で追えば、布団の中に潜ったのち、ヒョッコリ顔だけ出してこちらを覗いている。


 違う。なんか可愛いがそうじゃない。表情を読まれたくないから顔を出すなとツッコミたいが、リルはリルでこちらのやり取りが気になるのだろう。


 まぁ本気でヤバいと感じた時は【神通】で忠告すればいいかと、気を取り直して正面の3人に向かい直る。


「これで問題はないでしょう? あなた方からは常に見えると思いますし、どうしても本人に聞きたいことがあれば声も聞こえますしね」


「そ、そうですな……オホンッ! 申し遅れました。私はラグリース王国所属でマルタの監査主任をしておりますニローです」


「同じく、マルタで監査員をしているファンメラです」


「マ、マルタの衛兵長をしているジョイスだ」


「僕はロキ、向こうで布団被っているのがリルです。他国の間者を疑われているようですけど、どこかの国に属したりはしていません」


「ふむ……」


 こうは言っても素直に納得するわけないわな。


 そんなことは分かっているので、本当のことではあるけどあくまで挨拶がてらの格好だけだ。


 この場で何より優先しなければいけないのは、リルが女神様だとバレないこと。


 その上で俺が異世界人だと白状すべきかどうか。


 そこは状況に合わせつつ、後々の都合がよくなる方へ合わせていくしかない。



「さてと、それでは詳しいあなた方の目的などを伺いたいのですが……衛兵長は分かりますけどお二人は監査員、ですか?」


「えぇ。私ら監査員の役目は町中や町周辺に怪しい者や不届き者がいないかの調査、監視でしてな。これには他国の間者や、異世界人の発掘なんてものも含まれております」


「なるほど……それで、なぜ僕達に?」


「理由は2点ありまして――まずはジョイス、この少年で間違いないかね?」


「はい、間違いないでしょう」


「?」


「ロキ殿、今日の昼過ぎから夕刻に掛けて、マルタの西で強大な魔法を度々発動されましたな?」


「え……えーっと、まぁ魔法は何度か発動させましたね」


「町にも雷鳴と思しき音が断続的に轟きましてなぁ……天変地異の前触れか? と、兵に原因を探らせたのです」


「それでジョイスさんが俺の姿を目撃したと、そういうことですか?」


「そうなる。と言っても魔法に巻き込まれる可能性を考えて、かなり遠目からの確認しかできなかったのでな。今回改めて確認をしに来たと思ってくれ」


 もう自白しちゃったから今更だが、【探査】にしろ【気配察知】にしろ現状射程は30メートルなのだから、その範囲外からとなると俺は目視くらいでしか気付くことができない。


 特に今日の実験は夢中でのめり込んでしまっていたから、どこかで覗いてましたと言われてもそりゃ分からん。


 一瞬、魔力が黒いこともバレたか? と構えたが、魔力なんて発動の瞬間に出る程度だから、遠目から見たくらいで判別できるものではないだろう。


 そして俺が試していた【雷魔法】を強大な魔法なんて言っているくらいだ。


 リルという手に入れたい異世界人の横にいるのが俺だと確定したのであれば、逆に見られたことは強硬手段に出にくくさせるという意味でプラスだったかもしれない。


「まさか、今日の魔法がこの国の法に触れるとかじゃないですよね?」


「さすがにそれは……」


 そう言いながらもニローと名乗る禿げたおじさんは、横に座る眼鏡のファンメラさんをチラリと見た。


「私は【心眼】スキルを所持していましてね。今日本当に偶然ですが、見かけたことのない女性だったのでリル殿に【心眼】を使用したのです。―――まさか、書物にも記録がない【神眼】というスキルの、しかもレベル10を所持しているとは思いませんでしたよ。おまけにそれ以外のスキルは何一つ無い。こんなおかしな話、異世界人以外では起こり得ないでしょう?」


「……」


「ちなみにロキ殿の所持スキルは何も見えません。よって高レベルの【隠蔽】を所持されていることだけは分かります。このスキルの認知度、取得率が高いことは理解していますが、高レベルとなれば国の諜報を担う者である確率が高いと私達は判断しています」


「だから僕をどこかの国の間者と思ったわけですか」


「そうですな。ロキ殿の顔や肌色は東方の国の人間に近い。よって東のどこかしらの国が我が国で活動中にリル殿の存在を知り、勧誘したのち自国へ連れていく。ロキ殿はその役割を担っている可能性が高いとみておりますが――どうですかな?」


「……」


 今後の事を考えると思わず溜め息が出る。


 俺のスキルは女神様達ですら覗けない。


 だから人に覗かれる心配はしていなかったが――


 まさか女神様達の【分体】所持スキルが、なんてさすがにマズ過ぎるだろう。


 セットできるスキルが1つだけという制限がある以上、隠そうと思えば【隠蔽】を持ち込むことになるわけだから【神眼】は使えなくなる。


 これは早めに女神様達へ忠告しておかないと、見た目から興味本位で覗かれるなんてことも有り得そうだし、今後も同様のトラブルに繋がる可能性が高い。



 そしてここから2択――いや、3択のどれを選択すべきか。


 会話を引き延ばしながらも、少し酔った頭を回して必死に考える。


「他国の間者なんてことはありませんけど、そうは言っても信じてもらえないのでしょう?」


「証明すること自体が難しいでしょうからなぁ……なのでここは取引といきませんか? リル殿を私共に引き渡してもらえるなら、ロキ殿がどのような理由でマルタにいたとしても不問とさせていただく。それどころか異世界人の勧誘に助力頂いたとして、ラグリース王国から報奨金の支払いもお約束しましょう」


「もし、リルを引き渡さないと言ったら?」


「その時は止むを得ません。諜報の疑いでロキ殿と、そのツレとなるリル殿を一時的に拘束させていただくことになります」



「なるほど。率直な疑問ですが――僕達を拘束できると思いますか?」



 いざとなればリルは【分体】を消せばいいだけだし、俺は俺で飛んで上空へ逃げればまず追われることはない。


 無理だろうなと思いながら3人を見つめれば、その3人共がビクリと肩を震わせた。


 ――だが。


「「……」」


「め、命令が下りれば、マルタにいる全兵を以てしてでもやり遂げるしかない」


 監査員を名乗る2人と違って、実際に現場仕事をしているであろうジョイスさんは、腹を括ったように強い視線で俺を見つめた。


 敵対すれば死ぬ可能性があると分かっていても、それでも命令があれば動くのは、命を散らす戦争も当たり前のこの世界だからこそなんだろうなと痛感する。


 ふぅ~……


 天上を見上げ、しばしの逡巡。


(リルを引き渡せば俺は自由が利くようになる上、報奨金とやらも貰える。このパターンであれば俺は間諜扱いなので、今後異世界人として付き纏われる可能性はかなり低いだろう。それにリルを引き渡したところで【分体】を消せばそれでお終い。気付いて慌てたところで後の祭りだ。

 だがリルが一時的でも拘束されてしまうことに、ラグリース王国は大丈夫か? という意味で一抹の不安を覚えてしまう。それに俺自身の心情的にもリルを身売りするようでキツい。

 対して俺が他国の間者だと申告した場合は、引き渡しを拒否すれば……まぁ敵対確定だろうな。この場を力ずくで解決したとしても、俺はもうラグリース王国でまともに活動することができなくなるだろうし、ベザートに戻れるかどうかも怪しくなってくる。となると、やっぱりこれしか――)


 たぶんベストではないよなぁと頭の中では理解しながら、自らが出した答えを呟く。


「まずあなた方の考えを訂正させてもらうと、僕は間者ではありませんよ。―――異世界人というやつです」


「……は? な、なんですと!?」


「……」


「そうか……そうだったか……」


 覚悟を決めた一言に、目の前の三人はそれぞれ反応を示し、背後からもやや驚きの混じった声が聞こえる。


「ロ、ロキ? 言ってしまって良かったのか……?」


「あー、うん。一番穏便に済ますにはこれしかなさそうだからさ。とりあえずリルも黙って聞いててね」


 リルに黙っていてくれと釘を刺しつつ3人に視線を戻せば、ジョイスさんだけは明らかに安心した表情に変わっているな。


 異世界人なら敵対することもないと安心したのだろう。


 ほんと、そうなってくれたら良いんだけど……


「僕も、ということはリル殿もやはり異世界人ということですかな?」


「そうですね。リルは僕の姉です」


「「「「……え?」」」」


 おいおいおい……黙っててって言ったのに、なんで後ろからも疑問の声が上がるんだよ。


「ロ、ロキ殿……? それは無理があるような……?」


「まったく似ていないですよね。彼女の目の覚めるような美貌と比較すれば、どうにも顔の造形が……」


「……リル殿も驚いていたように見えたな」



「僕が姉だって言ったら姉なんですよ。大事な姉ちゃんなんですよ。そこを否定されたら僕も怒りますよ?」



「「「「……」」」」



 リルを異世界人じゃない、けど女神でもない一般人と説得するのは、所持スキルがバレた以上無理が有り過ぎる。


 何をどうやってもそんな説得できる気がしない。


 ならば義理でもなんでも、姉弟という体にして強固な関係を匂わせた方が相手も動きづらくなるはずだ。


 そう思っていたのだが、想像以上に眼鏡が騒ぎ始める。


「ち、ちなみに証明はできますか!? 仮に姉弟という関係だったとして、異世界人であれば何かしら最高レベルのスキルを所持しているはずです!」


「……そのようなスキルを所持していたとして、それをこの場で公表するわけがないでしょう? そのための【隠蔽】スキルなわけですし、手の内を晒すようなものじゃないですか」


「ぐっ……そ、それは確かにそうなのですが……ただそうなると、ロキ殿が異世界人であるという証明が!」


「そもそも証明をする必要もないと思っていますけど……まぁ、良いです。ハイ」



――【飛行】――



 フワッ……



「「「う、浮いた……?」」」



 俺は目の前でソファーから尻を離し、軽く宙に浮いてみせる。


 どうせ異世界人だとバラしたのなら、【飛行】所持であることも理解させてしまった方が今後は何かと都合が良い。


「羽を持つ種族以外、この世界に空を飛ぶ人なんていないのでしょう?」


「た、たしかに……」


「ちっ、ちなみにこれは【飛行】というスキルで間違いありませんか!? 普通の人間では取得方法すら解明されていないはずですが! スキルレベルはやはり10なのですか!?」


「えーと、ファンメラさん? 目的は僕が異世界人であることの証明だったはずです。それを望んだのはあなたですよね? なぜさらに証明には不必要な疑問を僕にぶつけるのですか?」


「そ、そうは言ってもこれは非常に重要なことですよ!? 前代未聞の出来事を目の当たりにしているのですから! この情報がラグリース王国にとってどれだけプラスになるか分かりますか!?」


「それ、僕達には関係のないことでしょう? 先ほどもお伝えしたように、僕達はどこにも属していないわけですから」


「ですから、ここでどれだけ情報を持っているか私達に伝えていただければ、それがラグリース王国での地位に繋がって――」


「あ~……でしたらまずは本題をお伝えしなければいけませんね。僕達はどこにも属しませんよ。申し訳ありませんが勧誘は丁重にお断りさせていただきます」


「え……?」


 ファンメラさんは目に見えて落胆しているが、横にいるニローさんはこの展開も予想していたのか、すぐ様餌をぶら下げながら追撃をしてくる。


「……お二人には王都の一等地に住まいを与えられ、望む地位も得られるはずです。それでもですかな?」


「それでもです。地位にまったく興味がありません。逆に行動に制限が掛かりそうなので邪魔だと思っているくらいです」


「なるほど……お金は――困ってなさそうですしなぁ……」


「えぇ困ってませんね。なので先ほどファンメラさんがされたような疑問を、何かしらの対価と引き換えに答えるという『取引』ならまだ分かりますが、僕達自身を国で抱え込もうとするのは諦めてください。何度打診されようがその可能性はありませんから」


「ふむ……ちなみにリル殿? 一応確認ですが、リル殿も同じ考えですかな?」


 その問いに俺も思わず振り向くと、リルは首だけコクコクと縦に振っていた。


 とりあえず黙っていてという効果は微妙に効いているらしい。


「そうですか……ではそのように国へ報告を上げる他ありませんな。今日は引き上げるとしましょう」


「ちょっと……ニローさん! 諦めるんですか!?」


「しょうがないだろう。お二人に時間を割いてもらって私達がやっていることは勧誘。納得をしてもらえる提案ができなければそれまでだ」


「ぐっ……」


 ジョイスさんは『異世界人の勧誘』が本来の仕事から外れているためか、リルの護衛のように映った俺が今日の轟音の犯人なのかを確認をしに来ただけという印象が強い。


 そして上司のニローさんもまともっぽいが……部下のファンメラさんは少々危ういな。


 勧誘を成功させた者のメリットが強烈なのか?


 諦めている様子がないし、今も俺ではなく、背後にいるリルの方へと纏わりつくような視線を送っている。


(リルは敵意があれば人も魔物も一緒と言ってたし、釘を刺しておかないとこの人達が大惨事になる可能性もあるか……)


「一応念のために言っておきますが―――」


 俺はファンメラさんに向けて言った。


「無いとは思いますけど、リルが【神眼】しか所持していないからといって、くれぐれも強硬手段なんかに出ないでくださいね? 何かあれば僕が姉を全力で守りますし、敵と判断すれば一切容赦をするつもりはありません」


「ッ……わ、分かっています」



 3人が席を立ちドアまで見送ると、最後にニローさんが口を開く。


「今日はこのような時間に申し訳ありませんでしたな。私共は異世界人と敵対するつもりなどないということは分かっていただきたい。それと、先ほど言われた『取引』という話は、国に報告をしても問題ないので?」


「そうですね……内容と対価にもよりますが、条件が合うならと言ったところでしょうか。あっ、でも王様とか偉い人に会うのは勘弁してくださいね。マナーなんて分かりませんし、会うだけで凄く疲れそうですから」


「ふ、ふははっ!……し、失礼。普通は一国の王と謁見できるとなれば喜ぶもの。これでロキ殿が異世界人であることがより確信できました。では王都に行く機会がありましたら、宮殿の門兵に『ニーヴァル様に会いたい』と伝えてください。ロキ殿と名乗れば話が通るようにはしておきましょう。ニーヴァル様ならまずロキ殿も気負わずに話せるかと思いますので。あぁ、もちろん興味があったらで結構です」


「ニーヴァル様ですね、分かりました。いずれ王都にも足を運ぶ予定ですから考えておきたいと思いますが……ちなみにニーヴァル様はどのような方なんです?」


「ラグリース王国の筆頭宮廷魔導士であり、国内随一の賢人ですな。だからこそ――『』なんてことも成立するのでは?」


「へぇ~……」


 ニローさん、良いね。


 俺のツボを分かっていらっしゃる。


 そうかそうか、この世界の凄そうな魔導士さんかー……それなら不足している情報を色々と補ってもらえる可能性も出てくる。


 俄然『取引』にも意欲的になるってもんだ。


「楽しみにしておきますよ」


 階下へ下りる階段に向かう3人へ呟けば、ニローさんが振り向きニコリとほほ笑む。



(はぁ~……)



 緊張の糸が解れたのか、俺の肺から大量の空気が漏れ出た。


 精神的に疲れたし、流れで異世界人であることもバラしてしまった。


 だが、その結果得られるモノも色々と出てくるだろう。


 当初から隠すか隠さないかはメリット次第だと思っていたし、勧誘相手に異世界人と公表した上で『取引』という妥協点を提案する。


 これが上手くいくのかいかないのかを試す上では良い機会なのかもしれない。


 3人の姿が見えなくなるまで、俺はそんなことを考えながら一本の長い廊下と、その先に続く階段を眺めていた。

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