なふうに君に次のページを捲らせることだってできる。僕はこの世界を理解しているし、そこに干渉さえできるんだ。


 わかってくれたかい? 画面内の文字列をそのまま読んでくれれば、きっと僕の力は伝わったと思う。僕はこの力で物語を先に進めることができるし、急に現れて理不尽な結末を叩きつけることもできる。

 夢オチ? クリフハンガー? 雑なバッドエンド? 僕にかかればすべて可能だ。今流れてる文章にピリオドを打ち、ステータスを『完結済』にすればいいんだろう? 文字数制限? あぁ……さっきのパラグラフの量を増やせば足りるさ。


でも、今日やるのはそういうことじゃない。君と僕、2人だけのゲームだよ。君がやることは物凄くシンプルでいい。ただ想像を巡らせ、物語の世界に浸るんだ。

 画面上の文字列を目で追い、最後まで読んだら次のページに移動する。普通の小説と同じ。もちろん君の意思でページ移動を止めてもいいが、その時は君の負けだよ。ただ君の記憶には停滞した物語だけが残り、僕は目の前のゲームから逃げた、と君を笑うだろう。君はそれを知らないまま生きていく。単純な話だ。目の前に広がる物語から逃げて、もっと有意義なことに時間を使ってくれればいい。

 それでもゲームをやってくれるなら、僕は君に素敵な体験を与えられる。ナラティブを提供できるんだ。物好きで暇人な君は、こういうのが好きだろう?

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