3話二人の過去1-2

三人は家に戻ると優一は昨夜琴音が作った残り物と冷や飯を温めて夕飯を食べる。

「「美味しいです」」

「この茶色の幕を纏ったお肉は何ですか?」

「それは鳥肉を唐揚げ粉を塗して油であげた鳥の唐揚げでこっちが、クラムチャウダーと言って甲殻類をスープの素を入れて煮込んだやつ」

「優一さんの世界ではこんなに美味しい物があるのですね!一度行ってみたいです」

三人は料理を平らげるも満腹までにはならなかった。

優一は冷蔵庫の中を確認するも冷蔵庫には残り物はもうなく空っぽになっていた。

「食料がないから、明日は食料を調達しないといけないか」

「それでしたら私が明日調達しときます」

ミティシアはそう言って食器を運び魔法を唱える。

「『ウォータークーゲル』」

すると台所に水の球体が現れる。

「優一さん、石鹸は何処にありますか?」

「あっ洗剤はこのボトルの中に入ってるのと、このスポンジを使ってくれればいい」

ミティシアはボトルを握って洗剤を出す。

「コレは便利ですね!」

そう言って洗った食器を宙に浮いてる水球に入れて行く。

優一はその光景に暫く見惚れていた。

「よし!風呂掃除をしないとな」

優一は風呂場に向かうが水道が使えないことを思い出し、水をどうしようか悩んでいるとティファリアが風呂場にやってきた。

「優一さん何かお手伝いすることはありますか?」

「実は今水が出なくて困ってるところ。ミティシアさんにお願いして水を出して貰うか」

ティファリアは風呂場に入ると両手を上に翳す。

「『ウォータークーゲル』」

すると水の球体が現れる。

「これでいいですか?」

(この子凄いな…こんなに小さいのに俺より強いんだよな。人は見かけによらんな。

「あ、ああ。やっぱりティファリアは凄いな!ありがとう」

優一に褒められたのが嬉しくてティファリアは尻尾をフリフリと揺らす。

掃除が終わると、ティファリアの魔法で湯船に水を入れる。

「水は温めなくてもいいのですか?」

優一は風呂場のお湯炊きボタンを押すと音声が流れティファリアはそれを聞いて驚く。

「今、壁が話しました!」

「これは湯を沸かす機会で、電気を使って水をお湯に変える事が出来るんだよ」

ティファリアは不思議そうにボタンを見つめる。

(電気だけは自家発電だから何とか使えるみたいでよかった)

「凄いです!魔法を使わなくてもお湯を沸かすなんて」

二人が脱衣所で話しているとミティシアがやってくる。

「二人ともここにいたのですね。食器洗いは終わりました」

「ミティシアさんありがとう」

三人はリビングに戻るとこれからについて話を始める。

「これからの予定ですけど優一さんにはティファリアより強くなっていただきます」

「…分かった。でもティファリアはどのくらい強いんだ?」

そう言うとミティシアは玄関に置いてあった剣を持ってくる。

「優一さんこの剣を持ってみてください」

優一はミティシアから剣を受け取ろうとするとあまりの重さに持つことが出来ず床に落ちて凄い音が響く

ドン!!

「何だこの剣は!?」

「それは特別な剣で《希望の剣≫と言い、持ち主の魔力を剣に集めて一気に放つ事が出来る特別な剣です。あまりの重さで扱える者は極限られています。ですが剣に選ばれし者は全く重さを感じません」

「な、なるほど」

「最初はティファリアもこの剣を持つことが出来ませんでしたけど、今ではこの剣を普通に持つことが出来ます」

「… … …」

優一は沈黙してしまう。

「安心してください。私の考えてる鍛錬をこなせば優一さんならすぐにティファリアより強くなれます」

「俺はどんな修行をすればいい?」

「優一さん立ってもらってもいいですか?」

優一はミティシアに言われソファーから立ち上がるとミティシアは優一に向かって魔法を唱える。

「『グラビド』」

優一の身体は一気に重くなり両手両膝を床に着く。

「こ、れは!?」

「優一さんの体重を増やしました。今の優一さんの体重は二倍に増えてます」

(二倍!俺の体重が六十五キロだから今は百三十キロってことか)

優一は全身に力を入れて立ち上がる。

「はぁはぁはぁ~」

「ティファリアは自分の体重の十倍までは耐えることが出来ます」

「じゅっ十倍!?ティファリア体重なん」

優一が言い終わる前にティファリアは大きく咳払いをする。

優一は黙り込むとミティシアは優一にかけた呪文を解く。

「ふぅ~」

「休む時以外は基本、身体に負荷を掛けて過ごしていただきます」

「分かった…」

三人が話をしているとお風呂が沸いたと音声が流れる。

二人はその音にビクッと反応する。

「お風呂が沸いたみたいだな!ティファリア先に入ってきていいぞ!」

「いいのですか?」

「ん?それともお母さんにと一緒に入らないと不安か?」

ティファリアは赤面になって声をあげた。

「一人でも入れます!!」

ティファリアは怒りながら風呂場に向かう。

優一はゆっくりと二階に上がって二人が着れそうな変えの服を用意する。

親が来ていた服と琴音が来ていた古着を見つける。

(おっ!まだ残しておいてよかった)

優一はリビングに戻る前に自室を開けるが琴音はまだぐっすり寝ていた。

一階に降りると脱衣所にティファリアの着替えの服を置いて優一はリビングに戻る。

「良かったらこの服を使ってください。親が使っていた古着だけど」

「いいのですか?」

「ああ!見たところ二人とも着替えの服を持ってなさそうだったから」

「ありがとうございます。優一さんのご両親はあちらの世界におられるのですか?」

「俺と琴音の親は事故で亡くなったんだ。正確には行方不明なんだけど…」

「そうでしたのね。不謹慎な事を聞いて申し訳ございません」

「気にしなくていいよ」

優一はミティシアに着替えを渡して温かいお茶を入れる。


「良かったらミティシアさんとティファリアの事、この世界についてもう少し聞きたいんだけど良いかな?」

二人はお茶を飲みリラックスしているとミティシアは話を始めた。

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