第3話 辺境の地にて 2
ダンジョン、それを聞いて何を思うか。
地下にアリの巣の如く張り巡らされ、僅かな宝と薄暗い大小のエリア、持ち前の洞察と注意と運を試される
軽い気持ちで踏み込めば痛めを、運が悪ければモンスターの餌食になるか二度と日の光を拝めなく命を散らすかだ。ギルド規定ランクが高かろうが低かろうが、気を抜けば死んでしまえばランクなど何の意味もない。威張る輩は一定層どこの世界にも存在する。威張る程の実力があれば口煩いと捉えればいい。だが実力と見合わない輩は逃げが速いか虎の威を借るなんとやらしか出来やしない。
だが
だがその台詞は一昔の意見に過ぎず、今現在にはダンジョン階層エリアの攻略行きと帰還を兼任する転移陣と安全地帯として改装されたセーフエリア共に設けられ、ダンジョン内の探索が行われている。まだ手を付けられていない財を求め深く、深く底に踏み入れ、自ら命を投げ出していく。
*
辺境の地ククルガのダンジョンの出入り口。見た目は洞窟か洞穴。発見当初はこの地を納める貴族、2代前の辺境伯が発見をしたらしい。どのうよな経緯で発見したのかは不明とされている。ククルガで発見されたダンジョンとしてククルガダンジョン、略してククダンと呼ばれている。
そこにグリムレッドがやって来た。辺境の地唯一のダンジョンに。
ククダンの付近には簡易的な宿泊所、食料品や必需品の売買、物や
実際商店と呼ぶには小さいテントに投擲用のナイフや針がセットで出品されている。ククルガの道具屋に置かれている投擲用のナイフは一本で銀貨10枚と銅貨6枚となるのだが闇広場では銀貨20枚で5本セットが買える。だが出されてる品が
だがダンジョンに潜り五体満足、
中には悪意を持って危険を犯す、
だが、ダンジョンは時に、本来生息はしない生体系を招き入れるアクシデントも発生する。ダンジョン内部には転移不明の魔法陣が何処かのエリアにある。そこから突如としてダンジョンのエリア一つを縄張りとして、元来生息しているモンスターを排斥し支配者となり、エリアのボスとして君臨する。元々のボスを座から引き下ろして。言ってしまえば外来種が在来種の生息地を奪うと同等である。
そして今回、ククダンの何処かの階層のエリアに
または、
はたまた、自分達の実力不足にパーティーの一人また一人を人柱として捧げ逃げ果せ身を隠している。
どちらにせよ、一人か二人は死んだというのは確実だろう。グリムレッドはそう結論と読みながら、行方知れずとなったパーティーを回収しに潜って行く。遺品をどうしようかは見つけた奴の気分か気質次第使ってよし。
「新米どもなら見たな。帰ってきないのか」
「あぁ」
煙草休憩をしている情報売りを捕まえ、金貨を前払いし情報を得た。
「まぁ、見た感じはイキってたガキ共だ。平均合わせて一〇と四か五と言ったどころか?俺たち最強~なんのと」
「編成は?」
「それよか聞きてぇなら、コレくれよ」
金をくれとジェスチャーを見せる情報屋。黒く黄ばんだ歯を見せながらにちゃあと笑う。ほれ、とグリムレッドが手持ちの金貨を一枚手渡す。情報屋は続けた。
「剣士と格闘家、魔法を使える女にスリングショットの狙撃主だったか。まぁ、熟練度は低く見積もって手負いをボコせば経験値になるだろ」
「……そうか、では監督署に注意を流してくれないか」
「おー、なんて」
「
「」
目が点になる情報屋。頭を掻き「稼ぎが減りそうだ」とぼやく。遠回しに
「まぁ、気を付けろ。あとサービスで転移石渡すから問題片付けろよ」
「あぁ」
「んじゃこれで」
「……無事ではない。そうだろうな」
そう確信し、ダンジョンにグリムレッドが足踏み入れ捜索を始めた。整備された入り口、一度踏み込めば実力と運次第の迷宮に、赤い甲冑が潜航を始めた。片や
*
ごり、ごり
石臼を磨るような音が木霊する。
バキバキ、バキバキバキバキ
鉄がひしゃげる音がする。
そこに転がる折れた杖。
グリムレッド Kelma @kelma
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